初めての訪日旅行の観光地として人気がある京都ですが、近年はリピーターも増加傾向にあるため、その対策が急がれています。京都市内の主要観光地だけでなく、市内外のさまざまな観光資源も組み合わせた周遊旅行をPRすることで、リピーターの確保と需要の分散化を目指しています。
今回は京都市観光協会のレポートを参考に、京都を訪れるリピーターの傾向を分析し、今後求められるであろう対策を紹介します。
【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
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京都観光はインバウンドの欧米市場に支えられている
![▲[各地の訪日外国人観光客の市場別割合]:京都市観光協会 各地の訪日外国人観光客の市場別割合 京都市観光協会](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/5193/main_f8bf1450b3b83d9c25395f667e0094e4.png?auto=format)
京都は関西国際空港からアクセスが良いにもかかわらず、半数近くが首都圏方面からの訪問となっています。
欧米圏からの就航路線が成田空港と羽田空港に集中しているため、訪日客は首都圏を経由してから、ゴールデンルート上の京都を訪問していると考えられます。
上のグラフを参照すると、京都を訪れる欧州・北米・豪州からの観光客の割合は約35%と、「関西空港」や「日本全体」の3〜5倍となっています。
リピーターが多いアジア圏は地方周遊の傾向に
![▲[居住エリア別の「京都と比較検討した旅行作」の回答率]:京都市観光協会 居住エリア別の京都と比較検討した旅行作の回答率 京都市観光協会](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/5184/main_8c0bf69257956416adaff992b856250f.png?auto=format)
近年では訪日市場全体において、初訪日客の割合は減少傾向が続いています。背景として、インバウンドのアジア市場におけるリピーター増加が挙げられます。京都はアジア市場への依存度が比較的低いため、これまではリピーターではなく初訪日市場の取り込みが重要とされてきました。
しかしオリンピックなどを機に訪日観光をする人が世界的に増えていけば、必然的にリピーターの絶対数も増えます。これからは京都もリピーター獲得対策に乗り出す必要があるとしています。
京都観光総合調査によって、リピーターのほうが地方周遊をする傾向にあることが明らかになりました。訪日観光リピーターの割合が高い香港・台湾・韓国では、京都と比較検討した旅行先として、日本国内の他都市を挙げる傾向が見受けられます。
2020年の訪日外国人旅行者数は推計3,430万人、市場は量から質への追及に転換:JTB「2020年の旅行動向の見通し」
目次日本人・外国人の旅行動向2020年は東京五輪前後に4連休ありインバウンドは充実、年間で前年比7.9%を予測日本人・外国人の旅行動向JTBは、12月20日に旅行動向見通しについてまとめ、発表しています。2020年度の年間訪日外国人旅行者数は、前年比7.9%の増加になると予測。東京オリンピック・パラリンピック大会の波及効果、宿泊施設の充実、リピーターの対応などにも力を入れていることが理由としてあげられます。JTB・2020年の旅行動向見通し2020年は東京五輪前後に4連休あり昨年10連休で...
インバウンドリピーターは地域ならではの自然や日常体験がカギ
京都観光総合調査によると、訪日リピーターは「旅行費に影響を与える『宿泊』『物価』に満足できるかどうか」が総合満足度のカギになる傾向がわかりました。
その一方で、観光に慣れることにより、案内や標識の重要度は下がる傾向にあります。
![▲[訪日リピーターが京都を訪れる動機]:京都市観光協会 訪日リピーターが京都を訪れる動機 京都市観光協会](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/5187/main_2a80d5bbf5cb6af2b4e0f15f727197d8.png?auto=format)
京都を訪れる動機は、初訪問の際は「寺院・神社、名所・旧跡」が85%、「伝統文化鑑賞」が52%と高い割合ですが、次回来訪時の希望としては「祭り」や「桜・紅葉等の自然」「温泉」の回答率が大幅に増加しています。
リピーターになると、日本人の日常生活や地域ならではの伝統、自然といった、よりニッチな分野の体験を期待しているといえます。
京都の夜桜が楽しめるライトアップスポット! 見所と観光公害について解説
人気観光地の京都には桜を楽しめるスポットも多く、春には国内外から多くの観光客が観桜を目的に京都を訪れます。特に人気があるのは夜桜で、京都府内に点在する桜の名所では開花時期に合わせてライトアップも行われています。しかし、近年では観桜目的の観光客による観光公害も多く発生しており、一部ではライトアップが中止されることもありました。この記事では、京都府内の夜桜を楽しめるスポットと観光公害およびその対策について解説します。関連記事鹿以外も見て…?」奈良県の悲願、脱・日帰り県!京都通は「朝」に「さらに...
2020年京都観光はリピーター向けに季節を感じる周遊観光をPR
京都を訪れる訪日外国人観光客は、日本の玄関口である東京や、京都から近い大阪や奈良と合わせて訪れるケースが主流です。しかし次回の訪日旅行で訪れたい地域としては、東京(18%)や大阪(8%)以上に北海道(48%)が人気を集めています。
インバウンドリピーターが北海道に期待することを分析したり、リピーターの訪問先として注目されている地域と連携したりすることも、リピーター誘致促進における選択肢だといえるでしょう。
![▲[京都への訪問回数別の訪問地域の傾向]:京都市観光協会 京都への訪問回数別の訪問地域の傾向 京都市観光協会](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/5188/main_e1358838fd0e19a1fb6dd2568cab2719.png?auto=format)
また京都への訪問回数が多いリピーターほど、伏見や大原、京北・高雄、宇治、亀岡など、京都市内の周辺地域や隣接する地域への訪問率が高いことも明らかです。
知られざる京都の魅力が体験できる周辺スポットこそ、リピーター誘致のカギになると考えられます。周辺地域の魅力を発信したり、自治体と連携をとったりすることで、京都を持続可能な観光地としてPRすることを目指します。
京都観光はリピーターの地方周遊ニーズを取り込もう
初訪日客を中心に選ばれてきた京都ですが、関西国際空港におけるLCCの就航路線拡大や、日本全体でリピーターの訪問が増加することをふまえると、リピーター対策は急務と言えます。
京都市内の有名観光地のみならず周辺地域の観光地のPRも強化していくことで、県内の周遊観光の促進が期待できるでしょう。
<参照>
・京都市観光協会:訪日リピーターによる地方周遊化への対応
・京都市観光協会:訪日市場を牽引する京都のインバウンド動向〜京都のライバルはどこ?〜
【7/9開催】消費額1.7兆円超!最新中国インバウンド市場の攻略ポイント
2024年、訪日外国人による旅行消費額は過去最高の約8兆1,257億円を記録。 そのうち中国は1.7兆円超(全体の約21%)と圧倒的な1位を占めており、宿泊日数や訪問者数でもトップクラスの存在感を示しています。
これだけ市場が大きく、経済インパクトのある中国インバウンド。 いま多くの企業が「中国向けに本格的な戦略を立てるべきではないか?」と検討を始めています。
しかし中国では、Googleをはじめとする多くのサービスに規制があり、中国現地のSNSや地図サービスを活用するなど、独自のカスタマイズされた対策が必要です。
本セミナーでは、インバウンド戦略の基本を押さえた上で、「中国市場の最新動向」と「具体的な対策」について、わかりやすく解説します。
<本セミナーのポイント>
- インバウンド戦略の基本が学べる!
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→消費額1.7兆円超!最新中国インバウンド市場の攻略ポイント【7/9開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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