人気観光地の京都には桜を楽しめるスポットも多く、春には国内外から多くの観光客が観桜を目的に京都を訪れます。
特に人気があるのは夜桜で、京都府内に点在する桜の名所では開花時期に合わせてライトアップも行われています。
しかし、近年では観桜目的の観光客による観光公害も多く発生しており、一部ではライトアップが中止されることもありました。
この記事では、京都府内の夜桜を楽しめるスポットと観光公害およびその対策について解説します。
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京都の夜桜スポット
京都は夜桜の名所が多いスポットとして有名です。
歴史的建造物や史跡が多く昔ながらの街並みを残すための施策に取り組んでいることもあり、自然を楽しめるスポットが多い点は京都の魅力の1つでしょう。
以下では、京都の夜桜スポットについて解説します。
春・夜の特別拝観:清水寺
清水寺は京都で最も有名な観光地の1つですが、それだけでなく桜の名所としても知られています。
ソメイヨシノやヤマザクラなど、約1,000本の桜の木が清水寺を取り囲むように生育しており春には多くの人々が桜を見るために訪れます。
開花シーズンに合わせてライトアップをする夜の特別拝観は例年好評です。
2020年の春の夜間特別拝観は3月6日〜3月15日の予定となっています。21:00受付終了、21:30閉門です。
観桜茶会:平安神宮
桓武天皇をご祭神とする平安神宮は平安遷都1100年を記念して1895年に創建された神宮です。
大きな池を中心に配し、その周りを園路とする池泉回遊式庭園として知られており、園内にはしだれ桜が生育しています。
夜間に催される観桜茶会では園内のしだれ桜が幻想的にライトアップされる様子を見られる上、有料でコンサートも行われています。
2020年4月1日〜4月14日9:00〜16:00ごろの予定となっています。茶会はチケットがなくなり次第終了となります。
平野神社ライトアップ:平野神社
京都市の北部に位置する平野神社は神紋に桜を掲げています。
早い時期から咲き始める魁桜(さきがけざくら)と呼ばれる品種の桜は平野神社が発祥であるとも言われており、桜の時期に合わせてライトアップやコンサートが催されます。
また、毎年4月10日には1000年にわたって平野神社で行われている桜花祭も催されておりにぎわいを見せています。例年通りであれば、4月上旬ごろに楽しめます。
二条城桜まつり2020:元離宮二条城
二条城は徳川家康によって築城された城で大政奉還の舞台となった場所として知られています。
城の敷地内には50品種300本もの桜が生育しており、品種によってそれぞれ開花時期や満開時期が異なるため約1ヶ月間にわたって観桜ができます。
敷地内には重要文化財も多く、史跡を背景に美しくライトアップされた桜は春の夜に彩りを添えます。
3月下旬~4月中旬ごろの開催予定となっています。
夜の特別公開 東寺 夜桜ライトアップ:東寺
五重塔で有名な東寺も桜の開花時期に合わせて夜間のライトアップをしています。
東寺境内の不二桜と呼ばれる八重紅枝垂桜は樹齢130年の大樹であり、灯りに照らされて五重塔と立ち並ぶ様子は壮観です。
生育している桜の本数としてはそれほど多くはないものの、歴史に想いを馳せながら立派な桜を見られるという点は非常に魅力的です。
3月14日~4月12日に夜桜ライトアップ(金堂・講堂夜間特別拝観)が行われる予定です。18:30~21:30終了で21:00受付終了です。拝観料は中学生以下500円、他は1,000円です。
2020年も開催なるか!?祇園白川さくらライトアップが中止になったワケ
祇園を流れる白川の沿道は例年多くの人々が観桜に訪れる人気スポットですが、その人気故の問題も発生しており一時はライトアップが中止される事態となりました。
しかし、2019年には祇園白川さくらライトアップが3年ぶりに再開され、古都をゆるやかに流れるせせらぎと夜桜の美しさに多くの人々が魅了されました。
以下では、祇園白川さくらライトアップが中止となった原因や人気観桜スポットにおけるマナー違反について解説します。
中止になった原因
1990年に始まった祇園白川沿いの桜のライトアップですが、その人気ぶりは年々熱度を増しており2016年には30万人もの人々が押し寄せました。
あまりの混雑に観桜客と車両の接触、観桜客の川への転落などの事故、撮影のための私有地侵入、桜の木の枝を折るなどの問題が発生し、地元の住民や店舗が迷惑を被っていました。
有名な観桜スポットであることや観桜に訪れる人々によって地元に大きな経済効果がもたらされていたこともあり、中止については賛否両論があったものの人々の安全やモラルのない観光客による地元住民、店舗の被害を考慮して2017年には中止される運びとなりました。
桜の名所でのマナー違反
祇園白川においてライトアップが中止となった背景には上記に挙げたようなさまざまな問題が存在しますが、これらは祇園白川以外の名所においても発生しています。
手入れされている植え込みに足を踏み入れ無理な撮影をしようとする行為や飲食物やゴミの放置、ポイ捨てなど、桜の名所において発生している諸問題を挙げるときりがありません。
また、祇園白川で特に問題となった行為として歩道を越え車道へと広がっての通行があります。 ライトアップが中止となった後も責任意識や自覚の無い観光客は後を絶たず、観光客のマナー違反が多く見受けられます。
観光地で問題となっている観光公害
観光地において観光客の訪問によって懸念や問題が発生する観光公害は京都に限らずさまざまな場所で起こっています。
近年のインバウンド市場拡大に伴い観光立国推進を目指す日本においても観光公害は無視できない問題の1つです。
以下では、観光公害の概要、事例について解説します。
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観光公害とは
観光公害とは観光地において訪れる観光客やその行為によって発生する下記のような諸問題のことを指します。
- 車両の排気ガスや渋滞
- ゴミのポイ捨て
- 私有地や敷地への無断侵入
- ルールを守らない撮影や喫煙
などが代表的な例で、世界遺産に登録された富士山がゴミのポイ捨てによって世界遺産登録抹消の危機にさらされた問題は記憶に新しいでしょう。
近年の日本では国内旅行による観光客よりも海外からの観光客が主である観光地が多く、国によるマナーの違いや言葉の壁による注意換気の難しさが観光公害を加速させています。
宿泊税の導入で環境整備
観光公害の解決に苦慮している京都市では2018年10月より京都市宿泊税条例が施行され、市内の宿泊施設を利用する宿泊客から1泊につき200円から1,000円までの範囲で宿泊税を徴収することとなりました。
宿泊税の導入によって増加した税収は国内外に向けたプロモーションや観光客の受け入れ体制拡充、オーバーツーリズムを未然に防ぐためのインフラ整備などに利用される予定です。
一方で未だ広く認知されていない宿泊税の徴収にあたり宿泊施設では宿泊客に対する説明や対応に追われており、慣れない対応からクレームやトラブルにつながってしまうケースも少なくないようです。
しかし、宿泊税導入によるメリットも確かに存在しており、人気観桜スポットでは補助金によって警備体制の強化が図られています。
年間45.6億円収益見込む 1泊最大1,000円の「宿泊税条例」施行の背景にある京都のジレンマとは
2018年10月1日に、京都市宿泊税条例が施行されました。利用客は、宿泊料金に応じて1泊200円から最大1,000円まで宿泊税を支払い、納められた税金は京都市の観光振興・整備に充てられます。導入前から賛否両論あった条例ですが、実際のところ利用客が支払いを拒否するといったトラブルも起きています。ここで改めて制度についての理解を深め、導入後の現場の状況を見ていきましょう。目次京都市宿泊税条例施行により宿泊税の徴収スタート 宿泊客が負担する税額は?京都市宿泊税条例施行に至った経緯ジレンマを抱えて...
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観光客と住人が共生できる環境作り
人気観光地である京都では多くの観光客が訪れることによって悪影響を及ぼす観光公害が問題となっており、大人気であった桜のライトアップを一時中止する事態となりました。
また、観光立国推進を目指す日本においては今後各地でさまざまな観光公害の発生が予想されます。
対策として観光客と住民が共生できる環境を自治体レベル、国レベルで整えていくことが重要でしょう。
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<参照>
清水寺:音羽山 清水寺
京都市観光協会:京都観光Navi
京都スポーツ&観光web:二条城桜まつり2020
【インバウンド情報まとめ 2024年11月後編】中国、タイの2025年祝日発表 ほか
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