奈良県は、東大寺や奈良公園など外国人に人気の観光スポットを有し、多くの訪日外国人が訪れる県です。
日本の古都として有名な奈良県のインバウンド基本データや訪日外国人に向けた施策を紹介します。
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古都奈良県のインバウンド事情
奈良県は古い歴史遺産を有する観光地として外国人に人気があります。
2018年のデータでは、訪日外国人の奈良県訪問率は8.95%、訪問者数は2,790,891人で全国第6位でした。
奈良県のインバウンド需要
奈良県は、訪問率、訪問数においては全国第9位に属しており、京都に次ぐ歴史観光地としてインバウンドでも一定の知名度を得ていることが数値からも確認できます。しかしながら、訪問者数の割に宿泊人泊数は全国平均並みとなっています。これは、平均泊数が0.8泊と1を割っていることから、「訪問はするものの宿泊をしない」つまり素通りの訪日外国人観光客が多くいることを示しています。
奈良県の国別訪日外国人の割合
奈良県を訪問する訪日外国人の国別データでは、中国が半数以上(53.11%)を占めています。2位は台湾、3位は韓国です。

奈良県での滞在日数は少ない
訪問者数では全国6位と高位にいる奈良県ですが、訪日外国人の宿泊者数は438,670人泊で全国第24位であり、訪問者数と比較すると低い数字です。
さらに、訪日外国人の滞在日数で見ると奈良県はもっと低く、平均宿泊日数は0.5泊でこれは全国最下位です。
奈良県には個人旅行客だけでなくツアー利用での訪問者も多く、日帰りで奈良県で寺社観光を行った後、隣県の京都や大阪に泊まる団体観光客も多くいることが関係しているようです。
1人当たり旅行消費単価が低い
日帰り旅行者が多いこと、寺社観光が中心であることが原因となり、訪日外国人の奈良県での1人1回あたり旅行消費金額は6,727円と全国最下位です。
訪日外国人の訪問者数に比べて観光消費額が少ないのが奈良県の現状です。
これは奈良県での宿泊日数が低いことが影響していると考えられます。
なお、欧米・豪州からの観光客の消費単価は、アジアの観光客の消費単価と比較して高くなっています。
奈良県のインバウンド事例
奈良県ではどのようなインバウンド対策が行われているのでしょうか。
以下では、奈良県で行われているインバウンド事例を3つ紹介します。
「奈良公園」の事例
奈良公園は「トリップアドバイザー」の「外国人に人気の日本の観光スポットランキング2019」で第14位にランクインしており、日本のなかでもかなり有名な観光地と言えます。
訪日外国人が多く訪れる奈良公園では、Webサイトの多言語対応を充実させています。
奈良公園のWebサイトは、日本語と英語、韓国語、中国語(繁体字・簡体字)の5か国語に対応しています。
他にも外国人向けに「奈良の鹿」との接し方をガイドする動画を配信しています。
奈良公園では、名物の鹿と写真を撮ることが訪日外国人に人気を得ています。
日本語がわからない訪日外国人にもマナーを守って鹿とふれあってもらうために、奈良県は「The deer in Nara (奈良のシカ): a simple explanation」という動画を配信し、鹿との接し方を英語で解説しています。
さらに「奈良公園・多言語通訳センター」という外国人向けセンターを開設しました。
奈良公園内の宿泊施設や飲食店などで、電話による 24時間多言語通訳サービスを行っています。
インバウンド人気観光地ランキング11位「奈良公園」の人気の理由・インバウンド対策とは
奈良公園は、奈良県奈良市にある都市公園です。鹿と触れ合うことができ国内のみならず海外の観光客からも人気の観光スポットとなっています。
観光案内所「Nara Visitor Center & Inn」の事例
奈良県は、奈良市に「Nara Visitor Center & Inn」という外国人向け観光案内所を設けています。
こちらの観光案内所ではラウンジを利用し、旅行者一人ひとりの対応をしっかり時間をかけて行い、コミュニケーションを重視した観光案内を行っています。
利用者の満足度は非常に高く、「トリップアドバイザー」で奈良市内観光スポット中、第1位のスポットとなりました。(2018年1月現在)
奈良県中部への誘客取り組みの事例
日帰り観光客が多く、観光消費額が少ない奈良県では、県内で奈良市以外への回遊を促し、宿泊への動機付けとなるような取組が行われています。
奈良県中央部の桜井市は、古墳時代に日本を統治した「ヤマト王権」の中心地であったと言われています。
この桜井市を含む8つの市町村エリアを「YAMATO」とネーミングし、古都としてのブランディングを外国人に向けて行っています。
また、日本政府がフランスで主催した「ジャポニスム 2018:響きあう魂」というイベントでは、奈良県の興福寺国宝である「木造金剛力士立像(阿形・吽形)」を出展し、PRを行いました。
このように、奈良県への訪問者数増加や観光消費を増大させるべく、日本の古都としての奈良県を発信する施策がとられています。
奈良県が策定する『奈良インバウンド観光戦略20年ビジョン』
上記のように奈良県では様々な団体や市区町村がインバウンド対策を行っており、また県としても明確な観光戦略の指針を掲げています。
『奈良インバウンド観光戦略20年ビジョン』と呼ばれるこの指針は、2037年のリニア中央新幹線の「奈良市附近」駅の設置を見越し、県が2019年8月に策定しました。
以下では、このビジョンを支える4つの柱を紹介します。
1. 観光地としての奈良の魅力づくり
滞在型観光の実現「泊まる奈良」
宿泊施設の充実及び、多言語案内やキャッシュレス促進など、訪日外国人に向けた滞在環境の快適性向上を目指します。
移動・周遊環境の充実「巡る奈良」
奈良県の各観光地へのアクセスの強化や、道路整備を行います。
豊かな観光資源の活用「活かす奈良」
自然・歴史・文化資源を保全し、それらの観光資源を生かしたイベントや体験メニューを用意することで「楽しい奈良」を実現させます。
2. 対外プロモーションの強化
外国人目線の情報発信を行うとともに、奈良の魅力を活かした商品造成に取り組みます。 また政府機関等との積極的に連携し、奈良県をPRします。3. 国際交流等の推進
文化財保護分野に関する国際協力を推進します。また、MICE誘致競争力の強化や訪日教育旅行を促進し、観光目的以外で奈良県を訪れる人を増やします。4. 観光振興の土台づくり
観光関連データの質と量を充実させ、 観光関係者が活用できる体制作りを行います。県と市町村の連携及びDMO法人形成を推進し、観光人材の育成、体制強化を図ります。
地域の強み・弱みに合った対策をしてインバウンド誘致に活かす
奈良県には、歴史遺産などの観光資源に恵まれているという強みと、一方で滞在日数や観光消費が少ないという弱みがあります。
こうした強みと弱みに対して県はしっかりと明確な指針を策定し、県内の各団体・組織もインバウンド誘致や対策にさまざまな工夫をしています。
地域の現状に適した対策を行うことで、今後奈良県のインバウンド市場はより盛り上がっていくのではないでしょうか。
<参照>
自治体国際化協会:古都“YAMATO”のブランド力で、奈良県中部への誘客・観光消費の増加を目指す!
奈良県:奈良インバウンド観光戦略20年ビジョン第Ⅰ期計画 骨子(案)
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「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
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【インバウンド情報まとめ 2025年5月後編】2025年の訪日客数「4,500万人」へ、観光庁長官の見解は? ほか
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