そろそろ本気で考えなければならない『観光公害』 京都 増えすぎた訪日客による混雑解消のため、市バスの1日乗車券が値上げへ

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今年3月に、京都を訪れる訪日外国人観光客のマナーが悪化したことが問題で京都の祇園の夜桜のライトアップが中止になったという話題がありました。最近はこのような形で増えすぎた訪日外国人観光客による弊害、つまり 「観光公害」 がときおり報告されるようになってきましたが、今度は京都市の市バスが混雑しすぎて乗れないという問題が発生しています。

「観光公害」とは何か?京都の夜桜ライトアップ中止に見る実際の観光公害事例

近年日本を訪れる訪日外国人の数は急増していますが、その中でも、京都を訪れる訪日外国人の伸びは他県に比べても圧倒的です。平成27年度の京都観光総合調査によると、平成27年1月〜12月に京都を訪れた外国人の年間外国人宿泊客数は初めて300万人の大台を突破し、過去最高となる316万人を記録 しました。これは 対前年比+約73%(+133万人)の増加 となり、訪日外国人観光客1974万人のうち、約6.2人に1人が京都に宿泊していた ことになります。こうした状況は観光収入という面ではありがたいのは...

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増えすぎた訪日外国人によって京都市民がバスに乗れない

報道によると、急増する外国人観光客が市バスの1日乗車券を頻繁に利用することでバスが満席となってしまい、市民からはバスに乗れないという苦情が多数寄せられている とのこと。この1日乗車券は観光地などを結ぶ路線が500円で1日乗り放題となるもので、2000年に700円だったものが500円へと値下げされています。その影響もあって発行枚数は急激に増えていき、2000年ごろは100万枚程度だった発行枚数は、2015年には6倍となる614万枚まで増えた と言います。

数年前から大型のスーツケースを抱えた訪日外国人観光客の利用などが増えており、停留所で待っていた地元市民がバスに乗れないケース、バス停の混雑の原因となる、バスの定時運行に大きな支障をきたすなどの問題が発生しているようです。

京都市バスの1日乗車券の100円値上げと合わせて、市バス・地下鉄で利用可能な1日乗車券を300円値下げ、市バスの混雑解消を目指す

こうした訪日外国人観光客急増を受けて、京都市では2018年より市バスの1日乗車券を、現在の500円から600円に値上げ。 また、今まで市バスのみを使用していた観光客に地下鉄も利用してもらい、市バスの混雑を解消出来るよう、京都市バス全線、市営地下鉄全線、京都バスで利用できる1日乗車券を現在の1200円から300円値下げし、同時期に900円にする方針 です。

背景には京都を訪れる外国人観光客の急増がある

京都を訪れる外国人観光客の数は 2年連続で300万人を突破 しています。京都市産業観光局の2016年の「京都観光総合調査」によると、平成28年には北米の旅行雑誌「トラベル・アンド・レジャー誌」の読者アンケートで5年連続人気観光地ランキングベスト10に、「コンデ・ナスト・トラベラー誌」の人気都市世界第2位に選ばれたことなどにより訪日外国人観光客がさらに増加。前年比で2万人増となり、過去最高となる318万人を記録しています。

国籍別に見ていくと平成28年で 中国出身の観光客が74.4万人と最も多く、次いで台湾出身の観光客が62.1万人、アメリカ出身の観光客が32.6万人 となっています。平成27年比で最も伸び率が大きいのが 韓国の124.9%で、次いでドイツが平成27年比で122% の成長となっています。

訪日外国人観光客が京都で最も多く使用している交通機関は鉄道、路線バスは2番目

同じく「京都観光総合調査」によると、訪日外国人観光客が最も利用している交通機関は 鉄道(34.6%)となっており、次いで路線バス(32.1%) となります。京都市としては市バスの1日乗車券を値上げすること、そして市バス・地下鉄で利用可能な1日乗車券を値下げすることで、路線バスの利用比率を下げたい狙いです。この表からは、観光で良く利用されると思われがちな タクシーの利用率が2.6%と非常に低い といったことも同時に見て取れます。

訪日外国人観光客の京都への来訪動機で最も多いのは寺院、神社

同じく「京都観光総合調査」からは、出身国に関わらず、訪日外国人観光客が最も訪問したいと思っているのは 寺院、神社、名所、旧跡 であることがわかります。その次に人気があるものは伝統文化鑑賞、そして食事となっています。国籍ごとに見ていくと、特に欧州、台湾出身の外国人は寺院、神社などを訪れたいという思いが強いということが見て取れます。

訪日外国人観光客のデータ・調査に関する詳しい資料のダウンロードはこちら

まとめ:訪日外国人が増加するごとに、地元市民の生活とのバランス設計が重要となる。

今回の京都の例で考えると、平成24年以降に急増した訪日外国人によって弊害も生まれていることがわかります。インバウンド対策では「いかに訪日外国人を増やすか?」ばかりが語られることが多いですが、「訪日外国人が増えすぎた場合にどのような弊害があり、その対策をどうするのか?」という事を本格的に検討すべき段階に来ていると言えるでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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