訪日客増えたので「宿泊税」実施します 京都市では45億円の増収見込み 東京都、大阪府に続き独自の宿泊税の導入へ

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京都市議会は9月の定例本会議で 「京都市宿泊税条例の制定」 について議案を提出しています。これは東京都や大阪府で既にホテル、旅館向けに導入されている宿泊税に関するもので、京都市議会の場合は 民泊に対しても宿泊税が掛かる という内容になっていることです。京都市の宿泊税が東京や大阪とどう異なるのか詳細に見ていきましょう。

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そもそも宿泊税とは何か:観光振興の為に観光客に課税するもの

一般生活の中ではあまり耳慣れない「宿泊税」ですが、全国で導入しているのは2002年10月から実施している東京、2017年1月から導入している大阪のみです。

東京都主税局のホームページによると、”国際都市東京の魅力を高めるとともに、観光振興のための事業、たとえば、旅行者に分かりやすい案内標識の整備、観光案内所の運営、観光情報の提供、観光プロモーションなどの経費に充てるため、東京都が独自に課税をする地方税” とされており、都内のホテル又は旅館に宿泊した場合に、1人1泊の宿泊料金が1万円以上の場合に課税されます。素泊まりの料金が1万円を来れない場合は課税されず、東京都の場合は1万円以上1万5千円未満の場合に100円、1万5千円以上の場合に200円となっています。

一方、大阪市の場合は宿泊税”大阪が世界有数の国際都市として発展していくことを目指し、大阪市の魅力を高めるとともに、観光の振興を図る施策に充当していく” としており、東京都同様に1人1泊の宿泊料金が1万円以上の場合に課税され、1万円以上1万5千円未満の場合に100円、1万5千円以上2万円未満の時に200円、2万円以上の場合に300円が課税されます。

つまり、観光振興のためにあれこれと予算がかかるので、その負担を訪問してくれた観光客にも負担してもらう、といったものです。

京都市で導入予定の宿泊税は最も高額:東京・大阪との大きな違いは「民泊も宿泊税対象になる」こと

京都市は2018年10月を目処に導入を進める考えで、これは 全国で3例目の宿泊税導入 となり、1人1泊の宿泊料金が1万円以下だと課税されない東京、大阪と異なり、宿泊料金が2万円未満の場合は200円、2万円以上5万円未満の場合に500円、5万円以上の場合は1000円となりますが、修学旅行生などは除く としています。上限額がそれぞれ200円、300円の大阪と比較すると、その税額は極めて高額 になっています。

さらに京都市だけの内容としては、旅館業法上のホテル・旅館だけではなく「無許可民泊」に対しても宿泊税が課される という点があります。東京の宿泊税は、旅館業法に規定するホテル営業又は旅館営業の許可を受けている施設が対象となるため、民泊やペンションな対象外 です。大阪府は2017年7月より簡易宿所及び国家戦略特別区域法に規定する認定事業に係る施設、つまり 特区民泊の宿泊者も対象 となっています。一方、今回の京都市の条例では民泊全般、つまり民泊新法により事実上解禁される 全ての民泊をも対象に含めるものであり、このケースは京都が初 となります。

その増収はなんと45億円:広がりすぎた観光公害への対応に当てられる予定

京都市の宿泊税は宿泊料金が2万円未満の場合は200円、2万円以上5万円未満の場合に500円、5万円以上の場合は1000円ということで、導入されれば 年間で45億6000万円の増収となる とされています。

京都市ではこの税収を 国際文化観光都市としての魅力を高め、及び観光の振興を図る施策に要する費用に充てる としています。京都市では訪日外国人観光客のマナーが悪すぎたために夜桜のライトアップ中止市バスに地元住民が乗れずにトラブルになるなどの問題が発生しています。こうした観光客の増加による、受け入れ体制の整備の必要性が高まっており、市内の観光振興、渋滞対策などの財源確保のために新税の導入が検討されていました。

「観光公害」とは何か?京都の夜桜ライトアップ中止に見る実際の観光公害事例

近年日本を訪れる訪日外国人の数は急増していますが、その中でも、京都を訪れる訪日外国人の伸びは他県に比べても圧倒的です。平成27年度の京都観光総合調査によると、平成27年1月〜12月に京都を訪れた外国人の年間外国人宿泊客数は初めて300万人の大台を突破し、過去最高となる316万人を記録 しました。これは 対前年比+約73%(+133万人)の増加 となり、訪日外国人観光客1974万人のうち、約6.2人に1人が京都に宿泊していた ことになります。こうした状況は観光収入という面ではありがたいのは...

そろそろ本気で考えなければならない『観光公害』 京都 増えすぎた訪日客による混雑解消のため、市バスの1日乗車券が値上げへ

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今までは「宿泊税」「駐車場税」「別荘等所有税」の3案で検討が進められていましたが、今回宿泊税を導入する事で方針がまとまったということです。また、京都市は2016年12月末までに無許可で民泊営業をしていた262施設について営業中止を指導するなど、無許可民泊の対策強化に乗り出しており、無許可民泊からの宿泊税の徴収も始まるということで、さらにこうした無許可民泊の特定と監視を進めていくようです。

違法民泊262件を営業停止に 京都市 闇民泊撲滅・民泊サービスの適正化に本腰

京都市はこのほど「違法な「民泊」施設の適正化指導の強化に向けた調査業務」に関して受託候補者を公募型プロポーザル方式による受託候補者の募集を開始しました。本業務は違法民泊(闇民泊)の摘発・指導をするために営業者を特定するなどの基礎的調査を委託するもので、委託費の予算は1,880万円。京都市の違法民泊の撲滅への本気具合が伺えます。 目次京都市 違法民泊262件に営業中止指導違法民泊調査について民間に委託公募開始京都府では現在約4,000件の民泊物件がまとめ:違法民泊撲滅に意欲的な京都 全国的な...

まとめ:京都市の観光振興を図るための切り札となるのか

2020年に4000万人の訪日外国人を受け入れるためには、様々な受け入れ体制の整備、各種の観光振興が必要だとされています。こうした目標を達成するために国土交通省は出国税の検討なども進めていますが、国内で外国人に最も認知されている観光地である京都は、東京都、大阪市の仕組みを参考に独自の宿泊税導入を進めます。年間で45億円もの税収となりますので、活用次第では大きな効果を生み出す事が出来るでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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