1950年から1度も途切れることなく毎冬開催されているさっぽろ雪まつりには多くの観光客が訪れており、外国人観光客数は今年は新型コロナウイルスの影響で大きく減少したものの、右肩上がりに増加しています。
外国人観光客が増加している理由は、さっぽろ雪まつりが行っているさまざまなインバウンド施策にあります。
さっぽろ雪まつりはなぜ多くの外国人観光客を誘致できるのか、その概要と魅力に迫りながら、インバウンド対策について解説します。
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さっぽろ雪まつりの概要とその魅力
札幌の冬の風物詩「さっぽろ雪まつり」は、国内外から多くの観光客が訪れています。
観光客を惹きつけるさっぽろ雪まつりとはどのようなお祭りなのか、始めに概要とその魅力をご紹介します。
さっぽろ雪まつりについて
さっぽろ雪まつりは、北海道札幌市の大通公園などで開催される雪と氷の祭典です。きっかけは、1950年に地元の中学生と高校生が6つの石像を大通公園に設置したことでした。
1959年に雪像制作に約2,500人が参加したことが新聞とテレビで紹介され、翌年の第11回には全国から観光客が訪れたという記録が残されています。第1回に約5万人が来場したさっぽろ雪まつりは、2018年の第69回には大通会場とつどーむ会場に世界から254万3,000人の来場者を誇るイベントにまで成長しました。
現在は約200基の大小の雪像・氷像が並び、北海道の食を楽しめるほか、ステージイベント等が行われ、札幌の冬の一大イベントとして大通会場、すすきの会場、つどーむ会場の3種類の会場で行われています。
なお、来冬のさっぽろ雪まつりは新型コロナウイルスの感染予防を考慮し、大雪像をつくらないといった規模の縮小をする見通しです。
国際色が豊か
さっぽろ雪まつりの期間中には、「国際雪像コンクール」が開催されています。このコンクールは、1974年の第25回から国際親善を深めることを目的にスタートしました。
第25回目以降、札幌と繋がりが深い外国地域の雪像が作られるようになり、瀋陽、アルバータ州、ミュンヘン、シドニー、ポートランドなども参加する国際色豊かなイベントに発展しました。
国際雪像コンクールは世界各国からチームが集い、雪像造りを競い合うイベントとして、拡大し続けています。外国人たちとの雪の戦いをライブで見られることもあり、観光客の人気を集めているイベントです。
飲食も充実
札幌は食の宝庫としても知られています。さっぽろ雪まつりでは、大通会場の1つである6丁目会場に北海道のご当地グルメを多数集結させた「北海道 食の広場」というイベントも開催しています。
ラーメンやカニ・ウニ・ホタテなどの海の幸をはじめ、ザンギやジンギスカン、豚丼などの道産の肉といった、北海道の魅力を余すことなく楽しめる工夫が施されています。
各会場やその周辺にも北海道の味覚を食せる屋台が出店しており、雪まつりを楽しみながら北海道のグルメも堪能できるお得なイベントでもあります。
さっぽろ雪まつりを訪れる外国人観光客
日本でも人気のイベントであるさっぽろ雪まつりは、外国人観光客からも人気を集めています。
さっぽろ雪まつりが外国人に知られるようになったきっかけと、人気の実態を解説します。
さっぽろ雪まつりが知られたきっかけ
1972年、札幌では冬季オリンピックが開催されました。この年に23回目を数えたさっぽろ雪まつりは、「ようこそ札幌」というテーマのもと開催され、世界でその名を知られるようになりました。
現在では、中国ハルビンで開催されるハルビン氷祭り、カナダのケベックシティで開催されるケベック・ウィンター・カーニバルとともに「世界三大雪まつり」としても有名です。
海外の国と地域が参加できること、スケールの大きさや作品のクオリティの高さが、さっぽろ雪まつりを世界で有名にさせた理由の1つでもあります。
外国人に人気のさっぽろ雪まつり
月間約180万人のユーザーが閲覧している「ジャパンガイド」の「Festival」ページで紹介されている日本の16のお祭を、過去1年間のPV数を基に作成したランキングがあります。
このランキングで1位にランクインしたのがさっぽろ雪まつりでした。2位にランクインした祇園祭のPV数と比較すると、倍のアクセス数という結果が出ています。
また、札幌市経済観光局観光・MICE 推進部 観光・MICE 推進課が行った「外国人個人観光客動態調査」では、札幌滞在中の目的や楽しみとしてさっぽろ雪まつりを上げる人が92.8%という驚くべき結果もあります。
さっぽろ雪まつりは外国人のなかでも知名度が高く、旅行の目的に設定する人が多いことがわかります。
インバウンドで人気の日本のまつりTOP16:ジャパンガイドでみる外国人に人気の理由をアクセスと口コミから分析!
1996年に設立され、現在、月間約180万人のユーザーが閲覧している「ジャパンガイド」では、アメリカ、オーストラリア、シンガポール、イギリスなどの英語圏からのアクセスが上位を占めています。 今回はジャパンガイドの「Festival」ページで紹介されている16のお祭に関して、国別の人気や、お祭りにまつわる訪日計画中のジャパンガイド・ユーザーからの質問などをみて行きたいと思います。 [cta_toc_upper_banner] 目次 インバウンドで人気の日本のまつりTOP16:...
さっぽろ雪まつりのインバウンド対策
外国人にさっぽろ雪まつりが人気になっている理由として、インバウンド対策が進んでいるという点があげられます。
さっぽろ雪まつりでは、外国人観光客が日本滞在時に特に困るという「言語」「決済」「Wi-Fi」の3つに積極的に対応しています。
さっぽろ雪まつりが行っているインバウンド施策を解説していきます。
クラウド通訳
株式会社オプテージが提供する「クラウド通訳」は、サービスリリース時から札幌パルコで導入されていました。トラブルが発生した際に柔軟に対応できる「通訳呼び出し型サービス」が高い評価を受け、2019年の第70回からさっぽろ雪まつりの会場で導入されています。
クラウド通訳は英語、中国語、韓国語、タイ語の4言語に対応しており、通訳スタッフによる質の高い翻訳が好評を得ています。
各会場にはタブレットが設置され、通話画面ではさっぽろ雪まつり公式キャラクターの雪だるまがアバターとして外国人観光客の対応をしています。
外国人観光客に人気の「さっぽろ雪まつり」で「クラウド通訳」が導入
目次「札幌パルコ」で利用された実績が導入のきっかけに対応言語、導入期間、導入場所について「札幌パルコ」で利用された実績が導入のきっかけにスマートフォンやタブレット端末を活用した通訳サービス「クラウド通訳」を提供している株式会社ケイ・オプティコムは、クラウド通訳が「第70回さっぽろ雪まつり」の公式ツールとして導入が決まったことをクラウド通訳のサイト上で告知しています。クラウド通訳さっぽろ雪まつりは札幌市の大通公園などで開催されており、大小さまざまな雪像が展示されることが特長です。同まつりは北...
決済サービス
さっぽろ雪まつりでは、外国人観光客にもスムーズに対応できるよう、さまざまな決済方法を導入しています。
世界最大の流通総額を誇るオンラインコマースカンパニーのアリババグループが提供する「Alipay(アリペイ)」と中国最大のSNS「WeChat」の決済機能である「WeChat Pay(ウィーチャットペイ)」もその1つです。
中国人が普段使い慣れている決算サービスの導入は、中国人観光客からも好評を得ました。そのほかにも、Visaのタッチ決済やLINE Payを導入しており、年を追うごとに幅広い決算方法の導入が進められています。
キャッシュレス決済サービスは、指差しでコミュニケーションが可能であり、言葉の壁を飛び越えられるため、訪日観光客と出店側の両者にメリットがある決済方法と言えます。
WeChat (微信:ウィーチャット) とは?ユーザー10億超え人気中国SNSの概要・インバウンド対策事例
「WeChat(微信:ウィーチャット)」は、中国の大手IT企業「テンセント社が提供するSNSアプリ」です。2018年10月時点の月間アクティブユーザー数は10億を超え、世界でもトップクラスにユーザーが多いアプリです。この記事では、WeChatの機能や使い方、中国人のユーザーが多いWeChatを活用したインバウンド対策を実施している企業の活用事例を解説します。関連記事WeChatとは? 基本機能と使い方WeChat(微信)のアカウントID登録方法目次WeChat(微信、ウィーチャット)とは?...
Wi-Fiサービス
さっぽろ雪まつりでは、外国人観光客の通信環境をサポートすべく、外国人観光客が利用しやすいWi-Fiサービスを展開しています。
その1つに株式会社ワイヤ・アンド・ワイヤレスが提供する「TRAVEL JAPAN Wi-Fi」があります。外国人はこのサービスで、さっぽろ雪まつりの会場を含め、全国で約20万か所以上あるWi2エリアでWi-Fiが利用できます。
株式会社NTTデータ北海道は第66回の開催時に複数の企業の協力の下、BLE Beaconと簡単な操作で写真撮影ができ、SNSに投稿する機能を有するアプリを使用した実証実験を行いました。アプリと連携した臨時の「フリーWiFiスポット」を整備し、観光客がSNSを通して情報を拡散することを狙った施策を展開しました。
そのほかにも、観光客向けの無料Wi-Fiサービス「Sapporo City Wi-Fi」や屋内用の無料Wi-Fiを展開し、外国人観光客の誘致に力をいれています。
インバウンド施策もなされた魅力あふれるさっぽろ雪まつり
国内でも毎年話題になるさっぽろ雪まつりでは、年々増加する外国人観光客に対応するために、毎年新たなインバウンド対策に取り組んでいます。
多くの外国人観光客を悩ませる言語の壁、日本ではまだ普及途中と言えるキャッシュレス決済や、十分とは言えないWi-Fi環境の整備を積極的に改善しようとする施策が、功を奏しています。
さっぽろ雪まつりのインバウンド施策は、イベントのみならず、多種多様な業種で活用できるものです。今後のインバウンド対策に、さっぽろ雪まつりは有益な事例の1つと言えます。
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