2019年のインバウンド消費額ではヨーロッパ3位を記録し、また長期滞在を主流とするドイツ市場は、今後もインバウンド消費の拡大に大きく寄与することが期待されています。
しかし、新型コロナウイルスの影響で日本とドイツの間では現在入国制限の措置が取られており、互いの国からの渡航者は原則入国できないことになっています(8月8日時点)。
このような状況下で有効なアプローチ手段の1つとして考えられるのが、ドイツで視聴されている「日本情報メディア」です。
ドイツ人が日ごろ日本旅行や日本文化についての情報収集をする際に利用しているメディアを活用することで、直接現地に足を運ぶことが叶わない現在の状況でも、アフターコロナに向けてドイツ人にプロモーションを行えます。
実際に広告を打ったりタイアップを依頼したりすることを検討していない場合でも、ドイツ人によく利用されている日本情報メディアについて知っておくことで、今後のアプローチの参考になるでしょう。
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ドイツで見られている日本情報メディア:YouTube
日本旅行や日本文化についての情報を探しているドイツ人は、YouTubeチャンネルを1つの情報源として参考にしています。ここでは、特にドイツ人が注目する、日本情報に関する3つのYouTubeチャンネルについて紹介します。
※動画の再生回数やいいねの数などは、すべて8月8日時点のものです。
visitjapan(ビジットジャパン)
「visitjapan(ビジットジャパン)」は、JNTOが運営する訪日外国人向けの観光プロモーションチャンネルです。チャンネル登録者数は約7万7,000人となっており、英語話者を中心に世界中で視聴されています。
同チャンネルに投稿されている動画の多くは英語であるものの、ドイツ人にも人気があります。
その背景として、ドイツ人は英語ができる人が多いため、英語で情報収集をすることもごく一般的であることが考えられます。またドイツ語での日本旅行関連の情報が少ないことや、多くの場合英語の情報やコンテンツのほうが良質であることも、同様に理由として挙げられるでしょう。
「visitjapan」の動画コンテンツは、日本の美しい風景をまとめた映像が中心です。どれも高画質で、日本の魅力が最大限伝わる仕様になっています。
そのうちの1つ「JAPAN - Where tradition meets the future | JNTO(日本ー伝統が未来と出会う場所ー)」は、日本の自然や文化、地域の魅力などを紹介する内容が印象的な動画で、すでに930万回再生されています。
また、ドイツ人女優ジャニナ・ウーゼを起用したドイツ語の動画では、東京・京都・大阪・高野山を巡る日本縦断旅行をテーマとし、各地の食べ物や街の様子・自然について発信しています。
https://www.youtube.com/user/visitjapan
Life Where I'm From(私の出身地の生活)
「Life Where I'm From(私の出身地の生活)」は、日本人の妻と子どもたちと一緒に東京で暮らしているカナダ人グレッグ・ラム氏が運営するチャンネルです。チャンネル登録者数は約133万人と、非常に人気があります。
同チャンネルでは、日本での日常生活や旅行の様子などを中心に投稿しています。動画は英語で構成されているものの、ドイツ人の特に若者層に人気があるといいます。
「What Japanese Breakfast is Like(日本の朝食ってどんなもの?)」という動画は、1,780万回の再生回数を記録しており、24万ものいいねを獲得しています。
子供たちが味噌汁を出汁からとって作る様子や、海外では珍しい梅干しや納豆を食べる様子など、日本のリアルな日常が垣間見える点がドイツ人の興味を引くようです。
https://www.youtube.com/c/LifeWhereImFrom
ninotakutv(ニノタクTV)
「ninotakutv(ニノタクTV)」は、声優・作家活動を行うドイツ人クリエイターのニノ・ケルル氏によって運営されているチャンネルです。チャンネル登録者数は約40万人で、日本のアニメの情報を中心に、日本での生活や旅行の様子についても発信しています。
同チャンネルは、ドイツ語で発信されている日本情報に関するYouTubeチャンネルのなかでも特に再生回数やチャンネル登録数が多いことから、ドイツ人のアニメファンを中心に多くのファンがいると考えられます。
ドイツでも日本のアニメ人気の高まりがみられることから、ドイツ人目線でのアニメ解説動画は重宝されているといえます。
https://www.youtube.com/user/ninotakutv
ドイツで見られている日本情報メディア:テレビ番組
ドイツのテレビ番組では、日本文化や日本の風景、旅行情報などを発信するものもあり、ドイツ人が日本に興味を持つきっかけになっています。ここでは、ドイツ人が観る、日本の情報を扱うテレビ番組を2つ紹介します。
Japan von oben(日本を上から)
「Japan von oben(日本を上から)」は、日本について紹介するドキュメンタリー番組です。ドキュメンタリー番組を多く手がけるドイツの放送局「PHOENIX」で放送されています。
これまでには、「伝統の発祥地・京都」「北海道の自然」「東京への旅」といったテーマのドキュメンタリー番組を手がけてきました。多くのドイツ人は、こういったテレビ番組を観て日本を旅行先として意識するようになるといいます。
https://www.phoenix.de/sendungen/dokumentationen-s-121583.html
Wildes Japan - Land der tausend Inseln(自然の日本ー千島の国ー)
「Wildes Japan - Land der tausend Inseln(自然の日本ー千島の国ー)」は、「Japan von oben(日本を上から)」と同じく、PHOENIXで放送されている日本についてのドキュメンタリー番組です。
北海道や本州といった地方ごとに、日本の豊かな自然の様子を発信しています。東京などの有名観光地だけでなく、全国の地域の魅力を紹介しているのが特徴です。
https://www.phoenix.de/sendungen/dokumentationen-s-121583.html
ドイツで見られている日本情報メディア:Webサイト
多くのドイツ人は、日本についての情報を収集する際、Webメディアも利用しています。日本の観光や旅行先の情報をはじめ、安全に日本旅行を楽しむためのヒントや日本文化などを発信する、3つのWebサイトを紹介します。
JAPAN.DE
「JAPAN.DE」は、ドイツのツアーオペレーター会社「DIAMIR(ディアミール)」が運営する日本旅行に関するポータルサイトです。
同サイトでは、日本の観光地や国立公園、島など、旅行の目的地に関するさまざまな情報や、日本の歴史、言語、政治、生態系など、幅広く情報を発信しています。記事コンテンツとしては、「日本のベスト旅行シーズンと気候」「日本の祝日とお祭り」などがあります。
訪日旅行の初心者にもわかりやすいよう、各トピックについて細かく解説している点が特徴的です。情報の網羅性が高く、かつドイツ語で構成されていることから、ドイツ人に支持されています。
https://japan.de/reiseinformationen/
JAPANDIGEST(ジャパンダイジェスト)
「JAPANDIGEST(ジャパンダイジェスト)」は、ドイツ語の日本総合情報サイトです。ヨーロッパを拠点とする日本語情報メディア「NewsDigest(ニュースダイジェスト)」の運営会社が提供しています。
元々はフリーペーパーとして始まった「JAPANDIGEST」は、2012年からドイツ国内の日本関連イベントや日本食レストラン、学校などを中心に配布されています。
当初は年に1回の発行でしたが、2018年からは発行回数を年4回に増やし、毎回6万部を発行しています。最近では、九州の阿蘇くじゅう国立公園に関する特集や、2020年に予定されていた東京オリンピックに関する特集が組まれました。
ポータルサイトが開設されたのは2016年で、同サイトでは、全都道府県における観光情報から生活情報までを網羅しています。旅行、日常生活、伝統文化、ポップカルチャー、日本食のレシピなど、さまざまな趣味嗜好を持つドイツ人の興味関心を満たす内容が特徴です。
Auswärtiges Amt: Japan: Reise- und Sicherheitshinweise(ドイツ外務省:日本 旅行と安全のヒント)
「Auswärtiges Amt: Japan: Reise- und Sicherheitshinweise(ドイツ外務省:日本 旅行と安全のヒント)」は、ドイツ外務省の公式サイト内にある、日本への旅行者のための情報をまとめているページです。
日本の外務省による「海外安全ホームページ」と同じような位置付けで、日本の概要や日本旅行のヒントなどを掲載しています。
日本の治安情報や気候、インフラ、通貨やクレジットカード利用などについて詳しく解説されており、初めて訪日するドイツ人がよく参考にするWebサイトの1つです。
現在は、日本における新型コロナウイルスの感染状況や水際対策に関する情報も掲載しています。
https://www.auswaertiges-amt.de/de/aussenpolitik/laender/japan-node/japansicherheit/213032
ドイツで見られている日本情報メディア:個人ブログ
ドイツ人はより詳しく日本の現地情報を収集するために、個人ブログも参考にする傾向があります。ドイツ人の旅人や日本在住のドイツ人がニッチな日本情報を発信する、2つのブログを紹介します。
旅人
「旅人」は、「Japan Almanach(日本カタログ)」という日本情報サイト内にあるブログで、ドイツ人旅人マティアス・ライヒ氏によって運営されています。
同ブログでは、日本での日常生活やトレンドニュースなどを紹介しています。これまでには、日本で精米をしに行った経験や北海道の都市別の詳しい観光情報、日本における新型コロナウイルスの最新情報などを発信しています。
https://www.tabibito.de/japan/blog/
8900km.
「8900km.」は、ベルリン生まれのドイツ人、クラウディア氏の個人ブログです。クラウディア氏は2008年から2009年にかけて日本でワーキングホリデーをした際に現在の夫と出会い、2011年に結婚したのち、現在は東京近郊に住んでいます。
同ブログでは、日本での日常生活や、日本全国の旅行に関する記録などの記事が投稿されています。沖縄の石垣島へ旅行に行った際の旅行記や、東京都台東区にあるノルウェーパンの店を訪ねた際のレポートなど、ドイツ人から見た日本を発信しています。
日本情報メディアを通じてドイツ人にアプローチ
YouTubeとWebサイト、個人ブログ、テレビ番組の4つのカテゴリーにおいて、ドイツ人が参考にするメディアをそれぞれ紹介しました。
現在はコロナ禍によるインバウンド需要の落ち込みが顕著となっていますが、アフターコロナのインバウンド回復期を見据えた対策を今から始めることが重要です。
直接現地でプロモーションができない状況では、ドイツ人がよく視聴・参照しているメディアに広告を出したり、またタイアップを依頼したりすることが効果的だと考えられます。
また、インバウンドのドイツ市場における認知拡大に向けて、ドイツ人が参考にするメディアから彼らの興味関心を分析することも、プロモーション施策の1つの方法といえるでしょう。
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