株式会社帝国データバンクは3月12日、「旅館・ホテル市場」 の動向に関する調査結果を発表しました。
2024年度の旅館・ホテル市場は、インバウンド増などの追い風によって事業者売上高ベースで5.5兆円に達し、過去最高を更新する見通しです。
関連記事:日本の13ホテルが5つ星獲得 「フォーブス・トラベルガイド2025」発表
インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)
帝国データバンク、2024年度「旅館・ホテル市場」 動向調査発表
帝国データバンクは同社が保有する企業信用調査報告書ファイル「CCR」を基に、2024年度の旅館・ホテル業界の企業931社における業況(売上高)について調査と分析を行いました。
旅館・ホテル市場は5.5兆円 過去最高を更新する見込み
2025年2月末までの各社業績推移と業績予想に基づいた、2024年度通期*の旅館・ホテル市場(事業者売上高ベース)は、5.5兆円に到達する見込みです。
コロナ禍で大幅に宿泊需要が落ち込んだ2020年度(2兆9,987億円)の1.8倍規模に拡大し、コロナ前の2018年度(5兆2,062億円)を上回ることが確実視され、過去最高水準になると予想されています。
*2024年4月〜25年3月期

インバウンド需要の回復が追い風に
また、2月末時点で2024年度の業績が判明している旅館やホテル約3,400社のうち、33.8%の企業が前年度から増収となったことが明らかになりました。コロナ禍に伴う行動制限緩和や水際対策撤廃により、インバウンド需要の回復が業界全体の追い風となっています。
都市別の分析として、大都市圏では観光・ビジネス目的の宿泊客が戻り、客室稼働率の改善が顕著でした。また地方における国内旅行支援策の後押しによって、温泉地やリゾートホテルなどの施設の稼働率が回復したことも、全体を押し上げた要因として挙げられています。
北陸地方については、能登半島地震の影響で一部地域の旅館・ホテルで収益の伸び悩みが見られたものの、円安を背景とした訪日客需要の獲得によって宿泊料金の上昇が進みました。その結果、高級ホテルからビジネスホテル、旅館まで幅広い施設で好調な業績を記録しました。
増収の割合が最も高いのは「和歌山県」
都道府県別に見ると、2024年度に増収となった旅館・ホテルの割合が最も高かったのは和歌山県で、56.0%が増収となりました。ほかにも福岡県(50.0%)や長崎県(44.7%)など、九州地方で増収となった割合が高い県が多くなりました。

同社は、アジアを中心としたインバウンド客による宿泊需要が旺盛だったほかに、大都市部からの出張需要を取り込んで高い稼働率を維持した企業が多かったと分析しています。
2025年度も市場拡大に期待 一方で人手不足による課題も
一方で前年度からの推移を見ると、増収割合はコロナ以降で初めて低下し、減収が2年ぶりに1割を超えています。
清掃スタッフなどの人手不足による稼働率低下や、従業員確保のための人件費増、エネルギーなどのコスト上昇により、利益面で課題が残る企業も多かったとしています。

今後について同社は、国内市場では旅行需要回復の落ち着きや節約思考の高まりから、高価格帯の宿泊施設は厳しい競争環境に直面する可能性があるとしたものの、訪日需要が引き続き高水準で推移する見込みなどから、全体としては国内の旅館・ホテル市場は今後も好調を維持するという見解を示しました。
一方課題として、2025年度は労働力不足の影響がより表面化すると考えられ、同社の調査では、2025年1月時点で旅館・ホテル業界の人手不足割合が5割を超える結果となっています。
宿泊現場では人手不足から客室稼働率を制限する場合もあり、旺盛な需要の取り込みが難しい状況も見られます。そこで、外国人材の登用やデジタル化・省人化投資などの取り組みが求められており、人手不足への対応が旅館やホテル事業者の成否を分けるポイントになると分析されています。
インバウンド対策にお困りですか?
「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!
<参照>
株式会社帝国データバンク:旅館・ホテル市場、24年度は5.5兆円 過去最高を更新へ 3割超が前年度から「増収」インバウンドの獲得追い風
【3/25開催】データで変わる多店舗経営!可視化と分析で売上・顧客満足度を向上させる最新手法
本セミナーでは、多店舗・多拠点ビジネスの経営改善をリードする3社が登壇し、データの可視化と分析を活用した売上・顧客満足度向上の最新手法をご紹介します。従来の直感や経験に頼った経営判断から脱却し、口コミデータ・経営データ・音声データを基に、効果的なPDCAサイクルを回すための実践的なノウハウを共有。データドリブンな意思決定で業務効率化とCX向上を実現するための具体的な事例をお届けします。
<本セミナーのポイント>
- データに基づいた最適化や意思決定のポイントが学べる!
- AIやデータ分析の導入を検討しているが、どこから始めるべきかが分かる!
- 顧客満足度(CX)を向上させるための具体的な施策が学べる!
詳しくはこちらをご覧ください。
→【3/25開催】データで変わる多店舗経営!可視化と分析で売上・顧客満足度を向上させる最新手法
【インバウンド情報まとめ 2025年3月前編】万博まであと1か月!インバウンド需要は?JNTOの方針は? ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。
この記事では、主に3月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→【万博まであと1か月】インバウンド需要は?JNTOの方針は? ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年3月前編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!