レッドオーシャンとは?意味や対義語、市場で生き残るポイントも紹介

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レッドオーシャンとは、競争が激しく、多くの企業がひしめき合う市場を指す言葉です。ライバルが多いため、商業的に成功するのが難しい環境を意味します。

特に観光・飲食・お土産宿泊業界などはインバウンド市場においても競争が激しくなりやすい分野です。競争が激化すると価格競争に巻き込まれ、利益率が下がるリスクがあるため、他社との差別化が重要になります。

本記事では、レッドオーシャン市場の特徴と、競争の中で成功するための戦略について解説します。

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レッドオーシャンとは

レッドオーシャンはビジネス用語のひとつで、競合の多い市場を意味します。ここでは、対義語であるブルーオーシャンと、類義語のニッチとあわせて説明します。

レッドオーシャンの意味

レッドオーシャンとは「競争の激しい市場、分野」という意味を持つ経済用語で、市場や分野といった幅広い意味だけでなく、業界内の特定のスポットのみを指すこともあります。

2005年にINSEAD(欧州経営大学院)の教授2名によって発表された「ブルーオーシャン理論」にて、「血で血を洗うような激しい価格競争が行われている既存市場のこと」をレッドオーシャンと呼んだのがはじまりです。

同じような意味を持つのが「競争市場」ですが、こちらは事業を展開する側の競争だけでなく買い手側の競争や、売り手と買い手が争い売買するといった意味を持ちます。

レッドオーシャンは競合の多い業界や分野と幅広い意味で使われますが、競争市場であれば証券取引所など特定の業界について述べるときに使われます。

対義語「ブルーオーシャン」とは

レッドオーシャンには、対義語として「ブルーオーシャン」という言葉があります。

似た言葉には「未開拓市場」があり、意味は「競争相手のいない市場や分野」で、レッドオーシャンとは真逆の穏やかな青い海が由来です。

どこも最初はブルーオーシャンなのですが、人が集まれば集まるほど競争が激化していく傾向にあり、このような状況をレッドオーシャン化といいます。

また、INSEAD(欧州経営大学院)の教授の論文のように「ブルーオーシャン戦略」という言葉も頻繁にみられます。競合が少ない、もしくは競合のいない未開発の市場や分野に入り込み、低コストで顧客への高い付加価値を高めることを狙う戦略です。

関連語「ニッチ」とは

ブルーオーシャンとよく似た言葉に「ニッチ」があります。「隙間市場」とも呼ばれており、特定の層から需要がある規模の小さい市場です。

よく似た言葉に見えますが、ブルーオーシャンはあくまで大きい収益が狙えそうな未開拓市場、ニッチは開拓済みで固定の顧客がいる小規模な市場という違いがあります。

競合が少ないかわりに見込める収益も低いため、大企業より中小企業やベンチャー企業に向いているといえます。

レッドオーシャンの特徴

すでに市場が拡大し、競争率の高いレッドオーシャン戦略はリスキーな印象が否めません。

確かにリスクは高いのですが、レッドオーシャンの長所を把握し、適切な対策を取っていくことでその長所を生かせます。

1. 価格競争が激しい

レッドオーシャン化した市場では、各事業がコモディティ化(一般化)したものを、本質は同じ中で差別化して顧客価値を上げている状況です。

顧客は数ある選択肢の中から、より良いものを選びたいと思っています。

顧客から選ばれ市場内のシェアを獲得するには、差別化によりブランドの価値を高めることが重要です。

中でも価格競争は激しく、多くの事業者は利益の少ない商品を多くの顧客に売る、薄利多売状態に陥っています。

2. 新規参入が難しい

レッドオーシャンはすでに成熟した市場のため、ブルーオーシャンだった時期から参入していて多くのシェアを獲得している企業や、ノウハウを持っている老舗企業などの強いライバルと戦う必要があります。

顧客の多くが振り向くような適切な対策が取れない限り、信用を重ねたライバルたちに勝つことは困難です。

状況によっては初期投資すら回収できずに事業をたたむ可能性も否めません。参入前の競合分析は必須となります。

3. 需要は高い

レッドオーシャンへの参入はリスクが高いように思えますが、ブルーオーシャンにも短所があります。

競合がいないかわりに見つけづらく、見つけたとしてもゼロからのスタートで、商品の開発や顧客に対する認知度拡大の加速度は資金力に左右されがちです。

反して、レッドオーシャンは確実な需要と多くの顧客が約束されています。これから参入するのであれば、競争市場の中で特定の層を狙った事業を展開していくのも成功の鍵です。

レッドオーシャン市場の具体例

ここでは、代表的なレッドオーシャン市場を業界別に紹介します。

飲食業界:競争が熾烈なラーメン市場

ラーメン業界は、日本国内でも特に競争が激しい市場の一つです。

全国各地にラーメン店が存在し、大手チェーンから個人経営の店舗までひしめき合っています。人気エリアでは、新規参入した店舗が短期間で閉店に追い込まれることも珍しくありません。

特に、都市部のラーメン市場はレッドオーシャン化しており、価格競争や独自の味を打ち出すための工夫が求められます。

例えば、博多ラーメン札幌味噌ラーメンなどの「ご当地ラーメン」はブランド力がありますが、新しい店舗が参入する際には、他の店と差別化できる要素がないと生き残るのが難しくなっています。

成功している店舗は、「低価格・高回転率戦略」や「プレミアムな高級ラーメンの提供」といった明確な差別化を図ることで競争を勝ち抜いています。

宿泊業界:大都市のビジネスホテル市場

東京や大阪などの大都市では、訪日観光客の増加に伴い、ビジネスホテルの建設が続き、競争が過熱しています。 例えば、東京都内には大手ホテルチェーンが次々と新規開業し、価格競争が激化しています。

宿泊予約サイト(OTA)の普及により、顧客は簡単にホテルの比較ができるため、価格や立地だけでなく、独自のサービスや特典がなければ選ばれにくい状況になっています。特に、格安ホテルは価格競争に巻き込まれやすく、利益率の確保が課題となっています。

この市場で生き残るためには、「高付加価値サービスを提供するブティックホテル」や「長期滞在向けのワーケーションプラン」といった差別化が重要になっています。

オンライン小売市場

通販で買い物をする際、日本国内ではAmazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングが圧倒的なシェアを誇り、多くの人がこれらのサイトで完結するのが現状です。

また、商品ジャンルに特化したプラットフォームも充実しており、洋服ならZOZOTOWNやSHEIN、個人事業者向けにはBASEやSTORESといった通販サービスが活用されています。

競争の激しい市場でファンを獲得するには、独自の戦略を持って取り組むことが重要です。

IT・デジタルサービス:動画配信市場

NetflixやAmazon Prime Video、Disney+などの大手が市場を独占している動画配信サービス業界も、激しい競争が繰り広げられているレッドオーシャン市場です。

これらのプラットフォームは、莫大な資金を投入して独占コンテンツを制作し、顧客の囲い込みを行っています。新規参入者が市場で成功するのは非常に難しいといえるでしょう。

たとえば、教育系動画配信サービスや、特定のジャンル(アニメ・ドキュメンタリー)に特化した配信は、ニッチ市場を狙うことで生き残る戦略を取っています。

美容業界:エステサロンの激戦

エステサロン業界も、特に都市部では新規参入が多く、競争が激しい市場となっています。

大手チェーンから個人経営のサロンまで多数存在し、「安価な施術」か「高級路線」かの二極化が進んでいます。 価格競争に巻き込まれると利益率が低下しやすいため、サロンごとの強みを打ち出すことが重要になります。

成功しているエステサロンは、「痩身特化」「オーガニック製品使用」「完全個室の高級サロン」といった、特定のニーズに応えることで差別化を図っています。

レッドオーシャン市場に参入するメリット

レッドオーシャン市場は競争が激しく、一見すると参入が難しいように思われます。しかし、適切な戦略を取ることで、既存市場ならではのメリットを活かして成功するチャンスがあります。

ここでは、レッドオーシャン市場に参入するメリットを3つ紹介します。

1. すでに成功モデルがある

レッドオーシャン市場はすでに成功事例やビジネスモデルが確立されているため、ゼロから試行錯誤するリスクを抑えられます。

競合の施策を分析し、差別化ポイントを見つけることで、マーケティングの最適解が見つけやすいといえるでしょう。また、すでに認知されている商品カテゴリーなら、顧客の購買ハードルが低い点もメリットの一つです。

また、観光地の飲食店宿泊施設では、観光客の一定の流れがあるため新規開拓の手間を省けるでしょう。

2. 競合との差別化が成功すれば、大きな利益が得られる

競争が激しい反面、他社と差別化することで一気に市場のトップに立つチャンスがあります。

ブランドのポジショニング次第で、高価格帯戦略も可能です。たとえば、高級旅館、オーガニック食品など、価格競争ではなく、高級路線・プレミアム体験を提供して競争を回避可能です。

ビーガン向け飲食店インバウンド向け和菓子店など、特定のターゲットに特化することで、独自市場を確立することもできるでしょう。

3. 競合の弱点を突くことで、市場の隙間を狙える

競争が激しい市場でも、必ずしもすべての顧客ニーズが満たされているわけではありません。 競合が見落としているポイントを狙うことで、差別化と成功のチャンスが生まれます。

競合の弱点(未対応のニーズ)を突くことで、独自の強みを作りニッチ市場を開拓できるでしょう。

たとえば、海外からの訪日観光客向けに、多言語対応のカスタマーサポートや特別なサービスを提供することで、特定ニーズに特化した領域でシェアを拡大することが可能です。

レッドオーシャンで勝ち抜くための戦略

競争の激しいレッドオーシャンで生き残っていくには「差別化」により自社のブランドに価値を与えること、市場内の特定の層を探し出すことが重要です。

レッドオーシャンで成功するための戦略について、詳しく説明します。

1. 差別化で付加価値を提供

レッドオーシャン戦略で勝ち抜くためには、商品の差別化でブランドに価値を付与し、他商品の顧客に選んでもらうことで市場内のシェアを獲得することを目標とします。

そのためには市場やライバル企業の分析を綿密に行い、市場内の特定のターゲット層を狙って事業展開し、他社がついていないポジションを確立することが重要です。

差別化の例としては、商品そのものではなく体験を売る、他社にはないサービスを付随させるなどが挙げられます。

2. ブルーオーシャンを見出す

レッドオーシャンの中にも、需要と供給がいまいちかみ合っていない顧客などが潜んでいます。

そういった顧客を市場内で探し出して訴求すること、つまり需要の高いレッドオーシャンの中に、競合のいないブルーオーシャンを見出せれば、競争市場の中でシェアを獲得できるかもしれません

商品を売るにしても既存商品より早い対応や手軽な対応を求めている顧客がいれば、彼らに合わせた事業展開をによって他社商品との差別化を進められます。

レッドオーシャンを正しく認識し、企業のマーケティング改善へ

レッドオーシャンはその名のとおり、血で血を洗うような激戦が繰り広げられる市場です。新規参入は高いリスクを伴いますが、確実な需要は大きな魅力です。

レッドオーシャンでのシェア獲得を目指すのであれば差別化は必須であり、レッドオーシャン内のブルーオーシャンを探し出すことは事業展開のキーポイントとされています。

これらをクリアしていくためには市場への理解と、参入前の調査が大きな意味を持ちます。無暗に価格競争に走るのではなく、戦略的に事業を展開する意識が必要です。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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