キャッシュレス決済とは?種類やメリット、導入のポイントについて解説

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【連載:マーケティング用語・施策の基礎解説】

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キャッシュレス決済とは、現金を使わずに商品やサービスの代金を支払う方法の総称です。近年、日本を含む世界中で利用が拡大しており、私たちの日常生活に欠かせないものとなっています。

クレジットカード、デビットカード、電子マネー、そしてスマートフォンを用いたQRコード・バーコード決済など、その種類は多岐にわたります。

本記事では、キャッシュレス決済の基本的な知識から、主要な種類、利用するメリット・デメリット、そして導入を検討する際のポイントまで、網羅的に解説します。

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キャッシュレス決済とは

キャッシュレス決済とは、現金(紙幣や硬貨)を使わずに、商品やサービスの代金を支払う方法の総称です。現金支払いとは異なり、カードやスマートフォンなどのデジタルツールを用いて取引を行うのが特徴です。

近年、キャッシュレス決済の普及が急速に進んでいる背景には、利便性の向上、ポイント還元などの経済的メリット、そして政府によるキャッシュレス推進政策などがあります。

日本でも、2019年の消費税増税に伴う「キャッシュレス・消費者還元事業」をきっかけに、多くの消費者がキャッシュレス決済を導入し、利用する機会が増えました。

ポイント還元制度とは

多くのクレジットカード会社やスマホ決済サービスでは、独自のポイント還元プログラムを導入しています。還元率はサービスごとに異なりますが、期間限定のキャンペーンなどにより、通常よりも高いポイントが付与されることもあります。

  • 還元率:サービスごとに異なり、通常0.5%〜1.5%程度が一般的
  • キャンペーン:期間限定で通常よりも高い還元率が適用されるキャンペーンが頻繁に開催される

キャッシュレス・消費者還元事業とは

2019年10月から2020年6月まで実施された「キャッシュレス・消費者還元事業」では、対象店舗でのキャッシュレス決済に対して最大5%のポイント還元が行われました。

​この事業は消費税増税による消費の低迷を避けるために行われたもので、全国で115万店が参加しました。参加した店舗の内訳は中小・小規模事業者が約105万店、コンビニ以外のフランチャイズチェーンが約5.2万店、コンビニが約5.5万店です。

還元事業をきっかけにキャッシュレスを始めた、もしくは支払手段を増やした消費者は全体で約5割でした。また店舗では、2019年9月のキャッシュレス導入率は26.7%だったのに対し、2020年5月には35.7%に上昇しました。

2019年10月1日から2020年3月16日までで、対象決済金額は約7.2兆円、還元額は約2980億円でした。

このようなポイント還元制度は、消費者にとっての節約効果だけでなく、キャッシュレス決済の利用促進や店舗の集客力向上にも寄与しました。

キャッシュレス決済を利用できるお店

キャッシュレス決済ができるお店はコンビニやスーパー、百貨店や家電量販店などさまざまあります。

キャッシュレス決済には多くの種類があり、電子マネーであればEdyやIDなど、スマホ決済であればPayPay楽天ペイアプリLINE Payなどがあります。

店舗によって使用できる決済方法が異なるので注意が必要です。

使用できる決済方法は、出入り口付近やレジ付近などに掲示されていることが多いのでそちらで確認が可能です。

また、各決済方法のアプリやホームページから利用できる店舗を確認することも可能です。

キャッシュレス決済の主な種類と仕組み

キャッシュレス決済には、大きく分けて以下の4つの種類があります。それぞれの特徴と仕組みを理解し、自身のライフスタイルや店舗のニーズに合った方法を選ぶことが重要です

クレジットカード

クレジットカードは、カード会社が定めた利用限度額の範囲内で「後払い」ができる決済手段です。利用金額は毎月決まった期間に集計され、指定の支払日に銀行口座から引き落とされます。

手元に現金がなくても支払いが可能で、高額な支払いも分割払いやリボ払いにすることで複数回に分けて支払うことができます。

利用額に応じてポイントが付与されたり、旅行保険などの付帯サービスが充実している場合が多いのも特徴です。

Visa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Clubといった国際ブランドがあり、国内外の幅広い店舗で利用できます。

デビットカード

デビットカードは、銀行の預金口座と紐づけられた決済カードです。利用すると、その場で預金口座から即座に引き落としが行われる仕組みです。

預金残高以上の金額は使えないため、使い過ぎを防ぐことができ、口座の残高内で利用するため現金払いに近い感覚で支出管理が可能です。

クレジットカードのような審査が不要な場合が多く、未成年や学生でも作りやすいのが特徴です。VisaデビットやJCBデビットなど、国際ブランド付きであれば国内外の幅広い店舗で利用できます。

電子マネー・プリペイドカード

電子マネーやプリペイドカードは、事前にお金をチャージ(入金)して利用する「前払い」の決済方法です。チャージされた金額の範囲内で支払いが可能なため、使い過ぎの心配を軽減できます。

専用リーダーにかざすだけで決済が完了するためスピーディで、小銭のやり取りも不要です。

交通系ICカード(Suica、PASMOなど)、流通系電子マネー(WAON、nanacoなど)、クレジットカード系の電子マネー(iD、QUICPayなど)といった種類があり、コンビニ、スーパー、ドラッグストア、公共交通機関など幅広いシーンで利用されています。

スマホ決済(QRコード・バーコード決済)

スマホ決済は、スマートフォンにインストールしたアプリを使って支払う方法です。店舗に提示されたQRコードを読み取るか、アプリに表示されたバーコードやQRコードを店舗に読み取ってもらうことで支払いが完了します。

スマートフォン一つで決済が完結し、財布やカードを持ち歩く必要がない手軽さが魅力です。

独自のポイント還元キャンペーンが頻繁に行われるため、お得に利用できるケースが多いのも特徴です。PayPay楽天ペイなど、様々な企業がサービスを提供しています。

キャッシュレス決済のメリット

キャッシュレス決済は顧客側、店舗側の双方にメリットがあります。どのようなメリットがあるのか解説します。

顧客側のメリット

まずは、顧客側のメリットを確認してみましょう。

支払いの手間が省ける

キャッシュレス決済を利用することで、現金を持ち歩く必要がなくなり、ATMでの現金引き出しや小銭の扱いといった手間が省けます。​また、支払い時に財布を取り出す必要がなく、スマートフォンやカードをかざすだけでスムーズに決済が完了します。

小銭が財布にたまっていくこともないので、手軽さやスピーディーさもメリットの一つであると言えます。

ポイント還元や特典が受けられる

顧客側のメリットとしてあげられるのがポイント制度です。多くのキャッシュレス決済サービスでは、利用金額に応じてポイントが付与される仕組みがあります。たまったポイントを次回以降の決済に使用できるためお得です。

​また、定期的にキャンペーンが行われることも多く現金で支払うよりもよりお得に利用できる場合もあります。

支出管理がかんたんにできる

利用履歴がデジタルで記録されるため、支出管理がしやすくなります。​家計簿をつけなくても、「月々の支出額」や「お金の使い道」が可視化されるため、無意識な出費を抑えるきっかけになります。

衛生的で安全性が高い

現金の受け渡しが不要なキャッシュレス決済は、衛生面でも優れています。​特に感染症対策が求められる昨今、他人との接触を最小限に抑えることができるため、安心して利用できます。​

さらに、紛失や盗難の際も、カードの利用停止やスマートフォンのリモートロック機能を活用することで、不正利用のリスクを低減できるでしょう。

事業者側のメリット

事業者側には、主に以下のメリットが得られます。

会計業務の効率化と人的ミスの削減

キャッシュレス決済を導入することで、現金の受け渡しが不要となり、レジ業務が簡素化されます。​これにより、会計時間の短縮やスタッフの負担軽減や人手不足の解消へとつながります。

また、POSレジと連携することで、金額の二重入力が不要となり、人的ミスの削減にもつながるでしょう。

新規顧客の獲得と客単価の向上につながる

キャッシュレス決済の導入は、現金を持たない層など、これまで取りこぼしていた顧客層を取り込むことにつながります。

特に若年層やビジネスパーソンなどは、スマートフォンやICカードによる支払いを好む傾向があり、支払い手段が多いことは来店の決め手になることもあるでしょう。

また、ポイント還元やクーポン配布が可能なサービスもあり、顧客の購買意欲を高めることで、1回あたりの購入金額を押し上げる効果も期待できます。

売上管理が効率化される

キャッシュレス決済では、すべての取引データがデジタルで記録されるため、売上の集計や分析がスムーズに行えます。

売上データをクラウドに保存できるシステムも多く、複数店舗の管理や月次の売上報告も効率的に処理できるでしょう。

また、蓄積された顧客の購買履歴や来店頻度、時間帯別の売上情報などを分析することで、より精度の高いマーケティング施策が実現します。たとえば、購買傾向に応じた商品レコメンド、ターゲット層別のキャンペーン設計、売れ筋商品の在庫調整などが可能になります。

外国人対応が容易になる

さらに日本語が通じない外国人観光客への対応が容易になるメリットもあります。

​外国人観光客は、キャッシュレス決済に慣れており、対応している店舗を選ぶ傾向があります。​そのため、キャッシュレス決済を導入することで、集客力の向上や売上の増加が期待できます。

キャッシュレス決済の主なデメリットと注意点

多くのメリットがある一方で、キャッシュレス決済にはいくつかのデメリットと注意点も存在します。

これらを理解し、適切な対策を講じることが重要です。

不正利用や詐欺のリスク

キャッシュレス決済は便利である一方で、クレジットカード情報の盗用やフィッシング詐欺など、不正利用のリスクも存在します。特に、QRコードを悪用した詐欺や、スマートフォンの紛失による不正アクセスなどが報告されています。

これらのリスクを回避するためには、信頼性の高いサービス決済端末を選び、不審なメールやサイトには注意し、個人情報を安易に入力しないことが大切です。

スマートフォンのロック設定やパスワード管理を徹底し、定期的に利用明細を確認して身に覚えのない請求がないかチェックすることも重要です。万が一の不正利用に備え、補償制度が充実しているサービスを選ぶと良いでしょう。

システム障害や災害時の利用制限

キャッシュレス決済は、インターネット回線や電力供給に依存するため、システム障害、通信障害、停電、大規模災害発生時には利用できなくなる可能性があります。

特に緊急時には、現金が唯一の支払い手段となる場合もあるため、利用者側は少額の現金を用意しておくことが望ましいです。

事業者側は、メインの決済手段としてキャッシュレス決済を導入しても、万が一に備え、現金決済の対応も可能にしておく、または複数の決済方法を導入しておくなどの対策が考えられます。

キャッシュレス決済を導入する際の注意点

今後キャッシュレス決済を導入する場合、自店の業種、客層、決済手数料がいくらかかるのかなどによって決済方法を選択すると良いでしょう。

たとえば購入金額が多い家電量販店や大型商業施設などはクレジットカードが多く利用されています。

家電量販店や大型商業施設などの場合、1回の支払い金額が高額になりやすいため分割払いができるクレジットカードが採用されやすい傾向にあります。

反対に少額決済が多いコンビニやスーパーなどであれば電子マネーやスマホ決済などが適していると言えます。

キャッシュレス決済の導入をきっかけに業務軽減や集客力アップにつなげる

消費税の増税が実施され、それに伴いポイント還元制度も開始されました。そのため多くの事業者や顧客がキャッシュレス決済を利用するようになりました。

経済産業省はキャッシュレス決済の導入を促進させるため、キャッシュレス決済を導入したいと考えている事業者へ費用負担が軽減される支援を行っています。

顧客側はスマホ決済などを利用することにより、財布やカードを持ち歩かなくても買い物やサービスを楽しむことができます。事業者は現金によって発生するレジ締め業務や釣り銭の用意なども必要がなくなり、業務量の軽減につなげることが可能です。

今後ますます利用が増加するキャッシュレス決済の導入は、支援制度を利用することによりお得に導入することができます。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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