【連載:マーケティング用語・施策の基礎解説】 |
お客様アンケートは、顧客満足度向上やサービス改善に不可欠なデータ収集手段です。しかし、「どんな質問をすればいいの?」「効果的なアンケートの作り方が分からない」と悩んでいませんか。
この記事では、現場ですぐに使えるお客様アンケートの例文やテンプレートを豊富に紹介します。
さらに、回答率を劇的に上げる質問のコツや、アンケート作成時の注意点まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。
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お客様アンケート作成時のポイント4つ
せっかくお客様アンケートを実施しても、回答してもらえないと意味がありません。アンケートを作る際は以下の4点に注意するようにしてください。
- アンケートの目的を設定する
- わかりやすく簡潔に伝える
- 質問の数を多くしすぎない
- 質問の流れを意識する
制作者目線でお客様アンケートを作成してしまうと、回答してもらえない可能性が考えられます。回答者目線に立ってお客様アンケートを作成するように意識してみましょう。以下でそれぞれ解説していきます。
1. お客様アンケートの目的を設定する
お客様アンケートを作成する際は、目的を明確に設定するところからはじめましょう。目的が定まっていないと、どんな質問内容を盛り込むべきかが決まりません。
たとえば、お客様アンケートを作成する際の目的には、以下のようなものがあります。
- お客様満足度を知り、マイナス点を改善したい
- 商品・サービスを知ったきっかけを聞いて、集客アップにつなげたい
- 購入した理由を明らかにし、より強みを伸ばしたい
- 使用頻度を知って、より利用してもらえる施策を考えたい
事業者によって収集したいデータは異なるため、上記を参考に明確な目的を設定するようにしてください。
2. わかりやすく簡潔に伝える
お客様アンケートを作る上で、わかりやすく簡潔に伝えることは重要なポイントです。アンケートを回答してもらうにあたって、短い文章と長い文章では回答率が変わります。
たとえば商品やサービスを購入した目的を聞く場合、以下のどちらがストレスなく、速く読めるでしょうか。
- 「商品・サービスを知ったきっかけを教えてください」
- 「弊社はテレビCMやSNS広告など、さまざまな媒体を活用して集客しています。なかでもどのようなきっかけで商品・サービスを知りましたか。選択項目にない場合は、その他の欄にできるだけ具体的に記入してください」
当然ですが、短い文章のほうが速く読み終わりますよね。お客様アンケートに回答することは少なからず負担になります。少しでも回答率を上げるためには、ストレスを与えない文章にしなくてはいけません。
「さまざまな媒体を活用して集客している」というのは、「テレビCM」「SNS広告」といった選択肢をそれぞれ用意すれば伝わる内容ですし、「選択項目にない場合は、その他の欄にできるだけ具体的に記入してください」というのは、「その他」という選択肢を用意すれば済む話ですので、削ってもかまわないはずです。
質問を考える場合は、わかりやすく簡潔に伝わる文章を意識しましょう。
3. 質問の数を多くしすぎない
聞きたいことがたくさんあるからといって、すべてをこと細かに質問するのはNG。回答のハードルを下げるためにも、質問数は必要最低限に抑えるようにしてください。
ただ、お客様アンケートの目的を達成できないほど少なくても意味がありません。ぱっと見で煩わしい印象を与えず、かつ目的を達成できる質問数にしましょう。
選択回答式か自由回答式かも大きなポイントです。質問数が少なくても、すべての回答が自由回答だと煩わしい印象を与えてしまいます。選択解答をメインにしつつ、具体的に聞きたい内容だけは自由回答を採用するようにしてください。
4. 質問の流れを意識する
質問の流れは、お客様アンケートを作成する上で大切なポイントです。質問の流れに違和感を覚えると、迷わせたりストレスを与えたりします。自然な流れで回答できるように、質問の順番も意識しなくてはいけません。
たとえば、以下のような質問の流れはどちらが自然で回答しやすいでしょうか。
質問例1 | 質問例2 |
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上記の場合、質問例1のほうが自然な流れで回答できると答える人がほとんどでしょう。いきなり意見・要望を自由回答させたり、途中で個人情報を聞いたりされると不可解に思いますよね。
これは極端な例ですが、お客様アンケートを作る際は、迷わずに回答してもらえるように質問の流れも意識しましょう。
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お客様アンケートの例文・テンプレート集
事業者によって内容はさまざまですが、お客様アンケートに盛り込んでおきたい質問は以下の6つです。もちろん、目的によって異なりますので必要に応じて取捨選択してください。
- お客様の情報
- 商品・サービスを知ったきっかけ
- 商品・サービスを購入した理由
- 商品・サービスの利用頻度
- 商品・サービスの満足度
- ご意見・ご要望
1. お客様の情報
お客様の属性情報を把握することで、アンケート結果をより深く分析し、ターゲット層に合わせた施策を検討できます。
ただし、プライバシーに関わる情報は回答のハードルを上げる可能性があるため、必要最低限に絞り、任意回答にするなどの配慮が重要です。
例文・テンプレート
「お住まいの地域を教えてください。」
「現在のご職業を教えてください。」
「年齢(年代)をお聞かせください。」
「性別をお聞かせください。」
「ご家族構成について教えてください。」
選択肢の例
地域: 北海道、東北、関東、東海、近畿、中国、四国、九州、沖縄、その他
年代: 10代、20代、30代、40代、50代、60代、70代以上
性別: 男性、女性、回答したくない、その他
職業: 会社員、会社経営・役員、個人事業主・フリーランス、契約社員、派遣社員、パート・アルバイト、学生、専業主婦/主夫、無職、その他
家族構成: ひとり暮らし、配偶者と同居、配偶者と子どもと同居、子どもと同居、親と同居、親と配偶者と同居、親と配偶者と子どもと同居、その他
2. 商品・サービスを知ったきっかけ
プロモーション活動の費用対効果を測定し、効果的な集客チャネルを見極める上で重要な項目です。複数の媒体でプロモーションしている場合は、各媒体の選択肢を用意しましょう。
例文・テンプレート
「(商品やサービス名)を何でお知りになりましたか?(複数回答可)」
「(商品やサービス名)を知ったきっかけを教えてください。」
選択肢の例
店頭、CM、テレビ番組、新聞広告、チラシ、雑誌、インターネット広告(Google/Yahoo!など)、SNS広告(Instagram、X(旧Twitter)、Facebook、TikTokなど)、ホームページ、ブログ、友人・知人の紹介、地域情報誌、イベント・展示会、その他
3. 商品・サービスを購入・利用した理由
競合他社との差別化ポイントや、自社の商品・サービスの「強み」を明確にするための質問です。お客様が何を評価して選択したのかを把握することで、今後の商品開発やマーケティング戦略に役立てられます。
例文・テンプレート
「(商品やサービス名)を購入・利用しようと思った一番の理由を教えてください。(複数回答可)」
「あなたが(商品やサービス名)を選んだ決め手は何でしたか?」
選択肢の例
価格が手頃だったから、品質が良いから、デザイン・見た目が気に入ったから、新商品だったから、知り合いに勧められたから、評判(口コミ)が良かったから、他社サービスにはない特徴があったから、使いやすそうだったから、ブランドイメージが良いから、以前から利用していたから、その他
4. 商品・サービスの利用頻度
利用頻度を把握することで、顧客ロイヤリティや定着度を測ることができます。特定の顧客層での利用頻度の傾向や、利用頻度と満足度の相関関係を分析することで、リピート促進や離反防止の施策を検討する際の参考になります。
例文・テンプレート
「(商品やサービス名)のご利用頻度はどれくらいですか?」
「(商品やサービス名)は、主にどのような場面でご利用されますか?」
選択肢の例
利用頻度: 毎日、週に数回、週に1回、2週間に1回、月に数回、月に1回、2~3ヶ月に1回、半年に1回、1年に1回、数年に1回、今回初めて
利用場面(例:カフェの場合): ランチ、友人との会話、一人で休憩、仕事・勉強、その他
5. 商品・サービスの満足度
お客様の具体的な評価や感情を把握するための最も重要な質問です。
総合的な満足度だけでなく、各要素(価格、品質、デザイン、サポートなど)に対する満足度も個別に聞くことで、どこを改善すべきか、どこを強化すべきかを明確にできます。
例文・テンプレート
「(商品やサービス名)に対する総合的な満足度を教えてください。」
「(商品やサービス名)の価格について、どのように感じますか?」
「(商品やサービス名)の品質について、ご満足いただけましたか?」
「(商品やサービス名)を、友人や同僚に勧める可能性はどのくらいありますか?(NPS®)」
※NPS®はネット・プロモーター・スコアの略で、顧客ロイヤルティを測る指標です。
「今後も引き続き(商品やサービス名)を利用したいと思いますか?」
選択肢の例
段階評価: 非常に満足、満足、やや満足、どちらとも言えない、やや不満、不満、非常に不満
NPS®: 0(全く勧めない)〜 10(強く勧める)の11段階
利用意向: ぜひ利用したい、利用したい、どちらでもない、あまり利用したくない、利用したくない
6. ご意見、ご要望(自由記述)
お客様の生の声や具体的な意見を収集するための項目です。
選択肢では捉えきれない潜在的なニーズや、具体的な改善点、期待される機能などを引き出すことができます。回答は任意とし、負担にならないように配慮しましょう。
例文・テンプレート
「(商品やサービス名)について、その他ご意見やご要望がございましたら、ご自由にお書きください。」
「(商品やサービス名)を今後より良くしていくために、改善点や期待することがございましたらご記入ください。」
「お客様が当社に求めることは何ですか?(ご自由にお書きください)」
お客様アンケートの実施手順
効果的なアンケートを実施するためには、明確な目的設定から始まり、設問の設計、実施方法の選定、そして結果の分析と活用まで、一連のステップを踏むことが重要です。
ここでは、お客様アンケート実施の基本的な手順を7ステップでご紹介します。
- 目的と目標の明確化
- 対象者の選定
- アンケートの実施方法の選定
- 設問の設計
- アンケートの実施
- データの集計と分析
- フィードバックと改善
1. 目的と目標の明確化
まず、アンケートを実施する目的を明確にしましょう。たとえば、顧客満足度の測定、新商品のフィードバック収集、サービス改善点の特定など、目的によって設問内容や対象者が変わります。
目的が明確であれば、得たい情報が具体化し、アンケートの効果が高まります。
2. 対象者の選定
アンケートの目的に応じて、適切な対象者を選定します。たとえば、サービス利用者全体、特定の年齢層、特定の商品購入者など、ターゲットを絞ることで、より有益なデータが得られます。
3. アンケートの実施方法の選定
アンケートの実施方法には、オンライン(Webフォーム、メール)、紙媒体、対面、電話などがあります。対象者の属性やアンケートの目的に応じて、最適な方法を選びましょう。
4. 設問の設計
設問は、回答者が答えやすいようにシンプルで明確にします。選択式の質問を中心にし、必要に応じて自由記述欄を設けると、具体的な意見も収集できます。また、質問数は必要最低限に抑え、回答者の負担を軽減しましょう。
5. アンケートの実施
アンケートの準備が整ったら、対象者に配信・配布を行います。Web形式で実施する場合は、専用のURLをメールやSNSなどで共有し、回答を促します。
紙での実施を希望する場合は、アンケート用紙を封入して郵送し、返送してもらう形をとります。実施方法に応じて、適切な案内と送付手段を選ぶことが大切です。
6.データの集計と分析
回収したアンケート結果は、迅速に集計・分析しましょう。定量的なデータはグラフや表にまとめ、定性的な意見はカテゴリごとに分類して傾向を把握しましょう。分析結果は、社内で共有し、具体的な改善策の立案に活用します。
7. フィードバックと改善
アンケートの結果を基に、実施した改善策や変更点を顧客にフィードバックすることで、顧客との信頼関係が深まります。また、アンケートの実施自体も改善を重ね、より効果的なものにしていきましょう。
お客様アンケートの回答率を上げる5つの方法
お客様アンケートの回答率を上げる施策は、店舗によってさまざまです。しかし回答率が少なく、施策に悩みを抱える方は以下の5つの方法がおすすめです。
お客様アンケートの回答率を上げたくて悩んでいる方は参考にしてください。
- 回答の目安時間を明記する
- 協力を直接お願いする
- 回答特典を付与する
- 個人情報の取り扱いについて明記する
- オンラインとオフラインを併用する
1. 回答の目安時間を明記する
お客様アンケートの回答率を上げるために、回答時間を明記するのもひとつの手。忙しいことを理由にアンケートの回答を控えようとしている方でも、目安時間が明記されていれば回答してもらえるかもしれません。
目安時間が明記されていない場合、どれくらい時間が必要なのかわからないため後回しにされることも考えられます。可能であれば、お客様アンケートは3〜5分以内で答えられるような内容にしましょう。
2. 協力を直接お願いする
お客様アンケートに回答してもらうためには、協力をお願いするのも効果的です。利用者のほとんどが手間だと感じるため、率先してアンケートに回答してくれる人は少ないはずです。
たとえば、商品やサービスの購入・利用タイミングに合わせて協力をお願いするなど、自然な流れで依頼をするのがおすすめです。
3. 回答特典を付与する
回答率を上げるために特典を付与するのも効果的な方法です。たとえばアンケートに回答したら「お会計から1,000円引き」「次回使える20%OFFクーポンをプレゼント」などといった特典を付与すると、回答率が上がることもあります。
利用者にとってアンケートを回答することに直接的なメリットはありません。あまりにも回答率が低い場合は、特典を付与してアンケートに回答する意欲を上げるようにすると良いでしょう。
4. 個人情報の取り扱いについて明記する
アンケートの内容によっては、名前や住所などの個人情報を記載する場合があります。個人情報の取り扱いに懸念を抱き、回答してもらえないケースも珍しくありません。
総務省のホームページでは、アンケート調査時に気をつけるべきポイントをいくつか挙げています。お客様アンケートを作る際の参考にしてください。
アンケートの内容にもよりますが、以下のような文章を明記するようにしておくとよいでしょう。
- 「個人情報の保護に基づき、いただいた情報はサービス向上以外の目的では使用しません」
- 「同意なしに第三者へ個人情報を提供することはありません」
- 「特定の個人が識別できる情報として、公表されることはありません」
5. オンラインとオフラインを併用する
A4サイズの用紙などに印刷し、アンケートをお願いしているケースが一般的です。その場合でも、オンラインでのアンケートと併用するのがおすすめです。
オンラインなら印刷コストを削減できるだけでなく、アンケート内容に変更を加えたい場合でも気軽にできます。スマホなどで気軽に答えられるため、「帰ってからじっくり回答したい」などといったニーズも満たせます。結果、回答率が上がることも考えられます。
お客様アンケート
本記事では、そのまま使えるお客様アンケートの例文・テンプレートを紹介しました。質問の内容や聞き方によって、回答率は大きく変化します。
より多くの回答を得るためにも、ここで紹介した内容を参考にお客様アンケートを作ってみてください。
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