明日9月13日より21日までの9日間、「東京2025世界陸上」が開催されます。
大会には多くの国・地域の選手や関係者が参加予定で、競技を観戦するために訪日するインバウンドの増加も期待されます。
本記事では、世界陸上の開催概要や、過去に日本で開催されたスポーツイベントの経済効果・インバウンド市場への影響について解説します。
20回目の世界陸上が東京で開催!
世界陸上は「世界陸上競技選手権大会」の通称で、2年に一度開催される、陸上競技における世界最高峰の大会です。
第20回となる本大会は、東京・国立競技場で開催されます。日本で行われるのは3回目(東京では2回目)です。
大会には約200か国・地域から約2,000名の選手が参加し、100m走や走幅跳、砲丸投げなど49種目が実施されます。
開催による経済効果
世界陸上による経済効果は、どのくらいになるのでしょうか。
日本陸上競技連盟によると、本大会による経済波及効果は約500億円にのぼると試算されています。過去に開催された世界陸上を見てみると、2023年のブダペスト大会では、観客動員数40万人、経済効果4億800万米ドル(約600億円)を達成しました。
東京大会における観客動員数の推定値は公表されていませんが、読売新聞の報道によると、開催1か月前の時点でチケット販売数が42万枚を突破したということです。近年の訪日インバウンド市場の盛り上がりを踏まえると、試算を上回る経済効果が生み出される可能性も考えられます。
これまで開催されたスポーツイベントの経済効果は?
これまで国内で開催されたスポーツイベントは、日本経済やインバウンド市場にどのような影響をもたらしたのでしょうか。
【ラグビーW杯】滞在の長期化や「コト消費」が訪日消費を拡大
2019年に開催されたラグビーワールドカップ2019日本大会は、全国12都市で44日間にわたり開催されました。チケット完売率99%を達成した本大会は、経済波及効果が6,464億円(4,309百万ポンド)と、ラグビーW杯として過去最高を記録しました。
また訪日客数は約24万人にのぼり、訪日客による消費額は3,482億円(2,321百万ポンド)と、経済波及効果全体の約54%を占めました。
訪日消費が全体を押し上げた要因としては、大会日程が長期間にわたったことで宿泊数が増えたこと、宿泊・飲食・娯楽など「コト消費」が増えたことで1人あたりの消費単価が上がったことが挙げられます。
訪日客の内訳を見ると、欧州54%、オセアニア22%、アジア9%、北米7%と、ラグビーが人気のヨーロッパからの訪日客が多くなりました。
関連記事:【ラグビーW杯】経済効果6,464億円、うち54%が「インバウンド消費」だったと明らかに:日本ラグビー協会が公式レポートを公表
【東京オリンピック】コロナ影響で経済効果は縮小
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、延期・規模を縮小して開催された「東京オリンピック2020」。2017年に東京都が公表した資料では、経済波及効果は東京都で約20兆円、全国で約32兆円と試算されていました。
その後、新型コロナウイルス感染拡大の影響により開催が1年延期され、海外観客受け入れの停止や緊急事態宣言の発令、無観客での開催になったことで、経済への直接効果は当初の試算より少なくなっています。
2021年8月に関西大学の宮本勝浩名誉教授は、東京オリンピック・パラリンピックの経済効果と赤字額を試算。その経済効果は、約6兆1,442億円と推定されました。
結果としてインバウンド増加は見込めなかった一方で、JNTO(日本政府観光局)が発表したレポートによると、東京オリンピックを契機とした報道やプロモーション、SNS投稿などを通じて、推計3.9億人の将来の訪日意欲が向上したとされています。
このように、直接的な経済効果が生まれなかった場合でも、インバウンド市場にポジティブな影響を与えることもあります。
関連記事:東京オリンピックによる経済波及効果、インバウンドに与える影響は
さらなるインバウンド市場の盛り上がりに期待
今年1月に開催された観光立国推進協議会では、日本観光振興協会の菰田会長が世界陸上についても触れており、「(国際イベントによる)インバウンド需要の恩恵を確実に日本各地の隅々まで行き渡らせるため、国の政策と歩調を合わせていきたい」と述べました。
2025年はすでに大阪・関西万博などの大型イベントが開催されていますが、明日から始まる世界陸上により、訪日インバウンド市場のさらなる盛り上がりが期待されます。
関連記事:2025年、万博だけでなく「世界陸上・デフリンピック」のインバウンド需要にも注目を
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<参照>
- WORLD ATHLETICS:World Athletics Championships Tokyo 25
- ニールセン:スポーツイベントの計測を進化させる
- 東京都 オリンピック・パラリンピック準備局:東京2020大会開催に伴う経済波及効果(試算結果のまとめ)
- TOKYO FORWARD 2025:イラストで知る世界陸上
- 日本陸上競技連盟:第2回2025年世界陸上競技選手権大会開催に係る大会運営組織の設立準備会議事次第
- 読売新聞オンライン:世界陸上東京大会のチケット販売42万枚に…広告会社介さずに自力でスポンサー集め
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