観光庁の村田茂樹長官は10月15日、定例会見を実施。同日に発表されたインバウンド消費動向調査、日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計などについて報告しました。
さらに長官は、大阪・関西万博の振り返りやオーバーツーリズム対策への認識などについても所感を述べました。
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訪日客数は過去最速で3,000万人超え 消費額も好調
9月の訪日外国人数は326万6,800人(前年同月比13.7%増)となりました。また9月までの累計は3,165万500人となり、過去最速で3,000万人を突破しました。7-9月期の訪日外国人旅行消費額は2兆1,310億円(前年同期比11.1%増)と推計され、同時期としては過去最高を記録しました。訪日観光支出がもたらす経済効果は消費額の約2倍が目安だとして、「7-9月期の経済効果は4兆円程度だと推測される」と述べました。
長官は、堅調な訪日需要と航空便の回復によって「インバウンドは好調」として、今後の見通しについては明言は避けたものの、紅葉や年末年始にあわせた旅行需要の高まりについて期待を寄せました。
また前年同月比減となった香港については、台風16号および18号の影響による航空便の欠航が減少の主な要因になったという認識を示しました。
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「誘客に一定の効果を生んだ」大阪・関西万博振り返り
13日に閉幕した大阪・関西万博については、「熱気に溢れた万博の盛り上がりを感じた」と述べ、「国際相互理解の増進による、諸外国との友好関係のさらなる深化が進んでいることを実感した」と振り返りました。観光庁としては、万博を契機として取り組んでいた訪日客の日本全国への誘客促進について、引き続き取り組んでいきたいと述べました。
インバウンドへの影響については「特に欧州圏の外国人宿泊客が増えているとの声を聞いている」としたほか、総合的には「万博を契機として、大阪方面を中心とした国内旅行の増加や訪日客の関西地域以外への誘客に一定の効果を生んだ」と話しました。
また「世界各国からの魅力の発信を通じて、日本人の来場者が世界各国の関心を高めたのでは」と述べ、海外への関心の高まりによる今後のアウトバウンド拡大に向けて期待を寄せました。
さらに2027年に横浜で開催予定の「2027年国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027)」についても言及し、大阪万博と同様に国内外からの多くの来場を期待していると語りました。
長官は「2つの博覧会が近い時期に日本で開催される機会を活用し、インバウンドとアウトバウンドの双方向の国際交流を促進していきたい」との考えを示しました。
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観光庁のオーバーツーリズム対策について
近日開会予定の臨時国会での首相指名選挙に向けて、与野党間での党首会談などが続いています。与野党の一部では、外国人の規制強化を求める声が挙がっている状況だとして、観光庁としてのオーバーツーリズムへの対策について問われると、オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージに基づき、地域の実情に応じた取り組みを国として総合的に支援していると説明しました。
また「インバウンドの受け入れと国民生活の両立は大前提とした上で、観光の持続可能性を高める取り組みを一層進める必要がある」との考えを示しました。
現在議論が進められている観光立国推進基本計画の改定においても、オーバーツーリズムに関する問題は大きな論点の一つにもなっているとして、観光庁としては「地方誘客の促進や、オーバーツーリズム対策をはじめとした施策の強化について、必要な予算の確保も含めてしっかりと取り組みたい」と述べました。
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