世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)は9月30日、旅行・観光業界の労働力に関するレポートを発表しました。
同レポートでは、今後10年間で旅行・観光業が世界の新規雇用創出を牽引する一方、深刻な労働力不足に直面する可能性があることも指摘されています。
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訪日ラボのメールマガジン登録はこちら>(無料)旅行・観光業界が9,100万人の雇用を生み出す予測
レポートによると、旅行・観光業界は、2024年に世界全体で過去最高となる3億5,700万人の雇用を支え、2025年には3億7,100万人に達すると予測されています。
また、2035年までの今後10年間で、旅行・観光業界は9,100万人の新たな雇用を生み出すと予測されています。この数は、世界全体で創出される純新規雇用のおよそ3分の1を占める規模にあたり、旅行・観光業界が世界経済における重要な雇用創出分野であることが示されています。
世界的に「労働者不足」が深刻化する可能性
一方でレポートでは、2035年までに、旅行・観光業界の労働者に対する需要が供給を4,300万人以上上回ると予測されています。これにより、労働力の供給は必要とされる水準を約16%下回り、世界的に人材不足が深刻化する可能性が指摘されています。
特に、ホスピタリティ業界では860万人の労働者が不足する見通しで、必要水準を約18%下回るとされています。
また、労働力不足が最も大きいと予想されている国・地域は、中国(1,690万人)、インド(1,100万人)、欧州連合(640万人)の順となりました。
さらに、需要と供給を相対的に比較した場合、日本の旅行・観光業界の労働力供給は2035年の需要水準を29%下回ると予測されており、次いでギリシャ(-27%)、ドイツ(-26%)となっています。
WTTC CEO「政府や教育機関と協力し課題に立ち向かう」
レポートでは、こうした課題を抱えながらも、旅行・観光業界は依然として世界経済における重要な雇用創出の原動力であるとしています。
WTTC暫定CEOのグロリア・ゲバラ氏は、「旅行・観光は今後も世界最大の雇用創出源の一つであり、世界中の何百万人もの人々に機会を提供し続けるでしょう。一方で、人口動態や社会の構造的変化が労働市場を再構築していることも認識しなくてはいけません。コロナ禍で多くの労働者が離職しましたが、これは急速に成長している旅行・観光業界にとって、労働力供給の課題を一層深刻化させています」と述べました。
ゲバラ氏はさらに、「本レポートは行動を促すものであり、政府や教育機関と協力することで、業界はこれらの課題に対応し、次世代に向けた持続的な成長を実現できます。WTTCは各国政府と連携し、労働力ギャップの解消に資する政策が実施されるよう努めます」と強調しています。
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<参照>
The World Travel & Tourism Council:WTTC Report Shows Travel & Tourism Set to Support 91MN New Jobs by 2035
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