中国外務省が11月14日に自国民に対して日本への渡航自粛を要請する勧告を発表してから、中国人旅行者の予約キャンセルなど、観光業への影響を懸念する状況が各メディアで報じられています。
今回の訪日自粛要請によるインバウンド市場への影響については、「打撃」や「限定的」など異なる見解も多く、現状でははっきりとした見通しを立てられていません。
本記事では、中国現地メディアの報道などを踏まえ、インバウンド市場の現状について整理します。
関連記事:中国の訪日自粛要請、観光庁長官の受け止めは?【観光庁長官会見】
中国〜日本の航空便12路線が全便欠航に さらなる減便の可能性も
各社報道によると、中国の複数の航空会社は、12月31日までの航空券のキャンセルや変更に無料で対応するという通知を出しています。また11月24日には、中国メディアの第一財経が中国と日本を結ぶ航空便のうち12路線の全便が欠航となったと報じました。(参照)
全便が欠航となった12路線は以下の通りです。※()内は計画便数
- 杭州蕭山〜中部国際空港(7)
- 南京禄口〜福岡空港(7)
- 運城塩湖〜中部国際空港(4)
- 南京禄口〜中部国際空港(3)
- 北京大興〜新千歳空港(3)
- 深圳宝安〜中部国際空港(3)
- 成都天府〜新千歳空港(3)
- 揚州泰州〜関西国際空港(3)
- 福州長楽〜那覇空港(2)
- 上海浦東〜松山空港(2)
- 石家荘正定〜成田空港(2)
- 西安咸陽〜新千歳空港(2)
全便欠航となったのは、当初の計画便数が比較的少ない路線となっています。
24日からの1週間の予測では、日本行きの航空便の欠航率は27日に21.6%に達する見通しが示されました。なかでも欠航率が高い路線は以下の通りです。
- 天津浜海〜関西国際空港(65.0%)
- 南京禄口〜関西国際空港(59.4%)
- 広州白雲〜関西国際空港(31.3%)
- 上海浦東〜関西国際空港(30.1%)
関西国際空港に就航する路線の欠航率が高い背景として、同紙は「関空には中国からの便が多く、大阪を訪れる旅行者の大半がレジャー客であるため、キャンセル率が比較的高い」と分析しています。
また米メディアBloombergは11月25日、中国政府が自国の航空会社に対し、2026年3月までの日本向け航空便の減便を指示したと報じました。同紙によると、減便は当面の措置だとして、今後の情勢によっては見直される可能性も示唆されているとのことです。(参照)
中国側の公式発表ではない点に注意が必要ですが、減便措置が実施された場合、年明けの春節(旧正月)にも影響が及ぶと考えられます。
中国は訪日数・消費額でトップ 団体旅行は全体の1割程度
ここで、これまでの訪日中国人の動向を確認しておきましょう。
2025年1月から10月までの訪日中国人数の累計は820.3万人、1月から9月までの訪日中国人消費額は1兆6,000億円を超えました。中国は訪日数・消費額ともにトップであり、日本のインバウンド市場において重要な地位を占めています。
現在は、訪日旅行のなかでも特に団体旅行の予約キャンセルが発生していると報じられています。
観光庁のインバウンド消費動向調査によると、2024年の訪日中国人の旅行手配方法で団体旅行は11.9%で、全体に占める割合は低くなっています。そのため、団体旅行がキャンセルされることによる訪日中国人数への影響は限定的でしょう。
個人旅行の動向については、航空便や今後発表される訪日外客統計などを通して確認する必要があります。特に年明けには、春節や桜シーズンといった訪日需要が高まるタイミングが控えているため、最新情報を注視しましょう。
訪日ラボでは、最新のインバウンド動向や訪日外客統計をはじめとした統計データをわかりやすくお届けしていますので、ぜひご覧ください。
関連記事:
香港でも渡航に注意喚起 訪日意欲への影響は軽微との見方も
続いて、香港人旅行者の動向についても確認しましょう。
香港政府保安局は11月15日、「2025年半ば以降、日本国内で中国人に対する襲撃事件が増加傾向にある」として、日本への渡航を予定している、または日本に滞在している香港住民に対して、注意を払うように呼びかけました。2025年1月から10月までの訪日香港人数の累計は201.9万人、1月から9月までの訪日香港人消費額は4,021億円と推計されており、日本にとって重要な市場の一つとなっています。

香港メディアの明報は22日、香港教育局が安全保障上の懸念から日本政府が行っている「21世紀東アジア青少年大交流計画」への参加を辞退したと報じました。(参照)
また複数社の報道によると、香港の大湾区航空(グレーターベイ・エアラインズ)は年末までの日本行き航空券を対象に、変更やキャンセルについて無料で対応すると明らかにしています。
一方で、香港人旅行者の声を紹介する報道では、現時点では実際の旅行者の訪日意欲は衰えていないという見方もされています。
香港では、「7月に日本で大災害が起きる」という噂が広がり、一時期は訪日客数が30%以上減少しましたが、現在では回復傾向にあります。直接的な身の危険を感じにくい政治的な緊張においては、渡航警戒レベルの引き上げや航空便の減少などが起こらない限り、大きな影響はないのではないかとされています。(参照)
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