• 4月から7月にかけて安定した訪日数を持っている
    • 親日度ランキング1位、多くの台湾人が日本に興味
    • リピーター率86.4%、コロナ明けのリベンジ旅行やビジネス需要に期待

インバウンドにおける台湾市場の特徴とは

訪日台湾人数は2019年に約489万人で、コロナ後の2023年は約420万人まで回復しています。2023年、訪日台湾人は一人あたり18万7,921円を訪日旅行時に使っています。

また、訪日台湾人のインバウンド市場で特筆すべき点は「年間通して安定した訪日数」「日本への関心の高さ」「圧倒的なリピーター率の高さ」の3つです。それぞれ詳しく解説していきます。

訪日台湾人インバウンド市場、3つの特徴を解説

1. 4月から7月にかけて安定した訪日数を持っている

コロナ前、訪日台湾人の人数は年間を通して比較的安定していました。特に4月から7月にかけては2019年時点で毎月約40〜47万人の範囲で安定した高数値を出しており、恒常的に訪日旅行の人気があると分かります。4月には清明節、7月以降は学校の夏季休暇があるため、この期間が特に人気となっていたようです。また、10月には国慶節(建国記念日)に合わせた連休があるため、2019年10月の訪日台湾人は約41万人と多くの人が訪日していました。

2. 親日度ランキング1位、多くの台湾人が日本に興味

電通チームクールジャパンの調査によると、台湾は2019年時点で親日度ランキング1位の国となっており、多くの台湾人が日本に対して親近感を持っていると分かります。1895年から1945年まで日本が統治していたこともあり、一部の高齢者は流暢な日本語を話すほか、国の各地に数多くの日本家屋や当時の遺跡が残っています。現地のテレビで日本のドラマやアニメ、音楽をよく放送し、生活習慣や性格も日本人に似ているとされるため、自然と親近感を持つようになる人が多いのかもしれません。

3. リピーター率86.4%、コロナ明けのリベンジ旅行やビジネス需要に期待

訪日台湾人のリピーター率は2023年第3四半期時点で86.4%と、今回統計した20か国の中では香港に次ぐ高いリピーター率を持っています。台湾からは観光客だけではなくビジネス目的でも多くの人が来日するため、このような高いリピーター率が実現したと言えます。熊本に台湾の半導体企業TSMCの工場ができたことから、経済的な波及効果にも期待がかかります。コロナウイルスの影響が収まり、「久しぶりに日本に行きたい」という台湾人旅行客の、いわゆる「リベンジ旅行」需要をとらえることが重要になりそうです。

台湾人の特徴

台湾人の性格・国民性

台湾人は、中華文化圏の中で生きている人達ではありますが、中国人とは性格的にかなり違いがあります。

まず、南国なので明るくおおらかな人が多く、時間に関してはルーズな部分があります。家族を大切にする文化は中国と一緒ですが、台湾では特に女性の地位が高く家族の中では母親が最も大切にされます。

男女交際においても男性が女性に尽くす、ということが基本で、学校や会社の送り迎えや弁当の準備、同棲している家での家事や生活する上での出費を全て男性が負担することもあります。このような状況に慣れすぎてしまった女性は「公主病」と呼ばれ、台湾社会ではこのような男女格差が問題となりつつあります。女性は気が強くプライドの高い人も多いですが、男性は優柔不断ながらレディーファーストを守る人が多くいます。

仕事に対してはおおらかで、街中のコンビニではレジ係の人がスマートフォンでゲームをしたりテレビを見ている光景をよく見かけます。接客も日本ほど型にはまったものではなく、必要とされている分の仕事ができれば後は自由、という姿勢の人が多いようです。

台湾人と接するうえで気を付けておきたいマナー

台湾人には、中華文化の中で生活しているため中国人と同じく世間に対する体裁「面子」を大事にする人が多く存在します。人前で相手を侮辱したり、社会的地位に影響を与える行為は冗談でも慎むべきだと言えます。

しかし中華文化とは言え、多くの台湾人は台湾人としてのアイデンティティを持っているため、台湾人に対して「中国人」、台湾を「中国」と言う行為は一番やってはいけないことです。また、台湾人向けに中国語の資料を作成する際には簡体字ではなく繁体字を用いるようにしましょう。

食事の際には、茶碗以外のお皿は持ち上げず、箸を置く際は縦に置きましょう。また、宴会は2時間以上に渡り行われる場合が多く、最後はある程度の食事を残して帰ることが礼儀正しい所作とされています。

台湾人の親日度・日本語学習者数

電通「ジャパンブランド調査」によると、台湾は2019年時点で「親日度ランキング」全20か国のうち同率1位となっており、特に高い親日度を持っていることが分かります。(*1)しかし、第二次世界大戦の影響などもあり一部には反日感情が存在します。

国際交流基金「海外日本語教育機関調査」によると、台湾には2018年時点で846校の日本語教育機関と4,106人の日本語講師が存在し、170.159人が日本語を学習しています。(*2)

<参照>

(*1)電通 チーム・クールジャパン「ジャパンブランド調査2019」 (*2)国際交流基金 2018年度海外日本語教育機関調査結果(速報値)

台湾人のスマホ事情:人気の機種やSNSは?

台湾はAndroidがiOSより人気ですが、それでもiOSが約48%のシェアを持っています。これは台湾の給与水準が一定のレベルに達しており、合わせて通信会社もiPhoneの割引プランを多く販売していることが原因と言えます。

また、人気のSNSアプリはiOS・Android共にLINEとFacebook Messengerがランクインしています。LINEは日本の他に台湾、タイ、インドネシアの3か国で多く利用されており、台湾は海外では珍しくLINEが普及している国となっています。

2023年・2024年 台湾の祝日カレンダー

▲台湾の祝日・休日カレンダー(2023年):訪日ラボ作成
▲台湾の祝日・休日カレンダー(2024年):訪日ラボ作成
2023年 2024年
元日 1月1日 1月1日
春節(旧正月) 1月20日~1月29日 2月8日〜2月14日
和平記念日 2月27日〜2月28日 2月28日
児童節・清明節 4月3日~4月5日 4月4日〜4月7日
労働節(メーデー) 5月1日 5月1日
端午節 6月22日〜6月23日 6月8日〜6月10日
中秋節 9月29日 9月17日
国慶日(建国記念日) 10月9日〜10月10日 10月10日

台湾の歴史

台湾には認定されている限りでは16の原住民族が存在し、16世紀頃までは世界情勢の動乱に巻き込まれることもなく、原住民族の村単位での生活を送っていました。しかし17世紀の大航海時代になるとオランダ、スペイン、ポルトガルなどの船が渡来するようになり、最初に台湾の領有を宣言したのはオランダでした。オランダは現在の台南市付近を中心に制圧を進め、同時期に台湾の制圧を目論んで渡来したスペインの勢力を追い出しました。

その後、明朝の皇族であった鄭成功によりオランダ勢力の駆逐が行われ、台湾を平定した鄭成功は台湾の文明化を進めました。しかし鄭成功とその一族は清朝により倒され、その後台湾は清朝の領土となります。この頃になると福建省や広東省から漢族が多く移住するようになり、現在の漢族文化の基礎を作り上げました。

1895年に日清戦争に敗北した清朝は台湾を大日本帝国に割譲し、台湾は日本の領土になりました。日本軍は抵抗する勢力を武力で鎮圧し、原住民の迫害など数々の暴力的行為を行いましたが、それと同時に台湾を植民地のモデルとして設計すべく、蔓延していた阿片吸引の禁止、伝染病の対策、ダムや上下水道の敷設、陸路、鉄道、空路、海路の整備、義務教育制度の施行など数々の方策を講じて近代化を推し進めました。

その結果台北はネオンの煌めく大都会となり、台北、台中、高雄空港への定期便就航、台北高雄間の定期列車運行、電気網や電話網の整備など台湾は近代国家に一変しました。当時烏山頭ダムの建設に尽力した八田與一氏のエピソードは現在でも台湾で語り継がれています。

その後日本は敗戦し、台湾は中華民国に接収されました。当時中国大陸で発生していた国共内戦に敗北した中華民国は全機能を台湾に移転させ、これと同時に多くの軍隊と中華民国人が台湾へ渡来しました。日本時代より台湾に住んでいた人々や原住民は中華民国に差別され、1947年2月28日に発生した台湾人の反乱事件である228事件をきっかけに、1987年まで戒厳令の下に蔣介石・蔣經國の親子による独裁が続きました。

1988年に蔣經國の後を継いで総統に就任した李登輝は民主化を進め、これが現在の台湾へと繋がります。現在、台湾では独立派の民進党が政治を執っており、最近では同性婚がアジアで初めて合法化されるなど、中華人民共和国とは異なり自由の保障された民主国家としての道を歩んでいます。

台湾宗教観

台湾は信仰の自由が認められており、仏教、道教、キリスト教が多く信仰されています。仏教、道教、儒教は習合されている場合が多く、台湾各地に点在する廟ではこれらの神仏が合わさって祀られていることもあります。

また、1895年から1945年まで続いた日本統治時代には日本から神道の文化が輸入され、現在でも屏東県牡丹郷等の一部地域には神社が残り、戦後破壊された神社も再建運動が進んでいます。

中国で迫害された法輪功も台湾で活動しており、他にもいくつかの新宗教が存在します。

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