訪日米国人観光客の宿泊先は?ホテル利用者は旅館の約6.6倍

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訪日米国人観光客は平均して7.5日間日本に滞在していき、長期滞在傾向が強いこともあり、その旅行支出のうち宿泊費は40%を超えます。では、宿泊施設を選ぶ時、どのような要素を考慮して選んでいるのでしょうか。宿泊先の予約方法や滞在先、料金、立地、設備、言語など、様々な要素を検証します。

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訪日米国人観光客の宿泊基本情報

平成27年度の訪日外国人観光客の消費額は3兆4771億円で、そのうち宿泊料金は25.8%を占めており、旅行中の消費額の構成要素として買い物代に次いで大きい金額となっています。特に、訪日米国人観光客の延べ宿泊者数は約380万人と多く、国籍や地域別では、中国台湾韓国香港東アジア勢に次いで5番目となっています。

国籍別訪日外国人延べ宿泊者数 平成27年 年間地 観光庁 宿泊旅行統計調査
▲[国籍別訪日外国人延べ宿泊者数(平成27年 年間地):観光庁 宿泊旅行統計調査より引用]
旅行時の訪日米国人観光客一人当たりの平均支出額のうち、宿泊費は7.4万円で全体の42.2%を占めており、旅行支出の内約を考えるとき、宿泊費が重要な要素を担っていることが分かります。

訪日米国人観光客は、平均値で7.5日間滞在、ボリュームゾーンが7~13日滞在となっており、自然と宿泊費も高くなっていきます。

訪日米国人観光客の宿泊先とホテルや旅館の予約方法

少々古いデータですが、JNTOの平成22年の調査によれば、訪日外国人観光客のうち、86.2%が事前に滞在先の宿泊施設を予約しており、13.7%が事前予約をせずに旅行中に宿泊予約をする、と回答しています。

また、同調査によれば、予約の方法としては、宿泊施設予約ウェブサイトが67.3%で最も多く、個々の宿泊施設のウェブサイトは25.5%で、自国の旅行代理店で予約した人は10%に留まっており、インターネットを利用した予約方法が広く利用されていることが分かります。

国籍 出身地別 都道府県別外国人延べ宿泊者数構成比 観光庁 宿泊旅行統計調査
▲[国籍(出身地)別、都道府県別外国人延べ宿泊者数構成比:観光庁 宿泊旅行統計調査]
訪日米国人観光客の宿泊地の傾向を分析すると、訪日米国人観光客の延べ宿泊者数約380万人のうち、43%が東京、12%が京都、千葉、大阪が7%、神奈川が6%の比率で宿泊しており、日本の主要都市部かつ観光地である都道府県に宿泊していることがわかります。

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訪日米国人観光客が泊まる宿泊施設の割合

では、訪日米国人観光客は、どのような所に泊まっていくのでしょうか。ホテル旅館などタイプ別に宿泊施設の利用状況を調べてみると、洋室中心のホテルに宿泊する人が80.5%、和室中心の旅館に宿泊する人が12.2%、親族・知人宅に宿泊する人が15.6%となっています。旅館よりホテルに泊まる人が約6.6倍多く、親族・知人宅に泊まる人が旅館よりも多いという興味深いデータとなっています。

訪日米国人観光客がホテルを好む理由

このような数値を見てみると、思ったほど旅館に宿泊する人が多くないという点が印象的です。これについては以下の要員があると分析できます。

1つめは、旅館のような畳や布団と日本食を提供する施設で日本の文化を体験するよりも、慣れ親しんだベッドと洋食を提供するホテルの方を好む訪日米国人観光客が多いことです。休むときは、普段慣れている落ち着いた環境の方が好ましい、という理由があるものと思われます。

2つめとしては、旅館よりビジネスホテルの方が費用を安く抑えることができるため、長期滞在する場合は、その方が好ましい、といった理由が最も大きな要因として挙げられます。

また3つめとしては旅館のブランディング、周知が徹底されていないことが考えられます。和風を売りにする旅館の場合、ホテルよりも「英語が通じるのだろうか」「文化的になじむだろうか」といった不安を覚えやすく、ホテル側からの情報発信が少ないことにより、これらの不安が払拭できていないということも考えられます。

このように、訪日米国人観光客には、旅館よりもホテルの方が好まれる傾向にありますが、2回目以降に日本を訪れた訪日外国人観光客は、旅館に泊まることに挑戦する人が増えるというデータもあります。

訪日米国人観光客は、初めて日本を訪れる人が全体の43.4%で、2回~5回目の人が34.4%とリピーターの割合も高く、このようなリピーターの訪日米国人観光客は、ホテルではなく旅館に挑戦する人の割合も高いものと思われます。

訪日米国人観光客への対応を施しているホテルや旅館の割合

宿泊業者のうち、外国語によるコミュニケーションサービスを行っているところは、全体の46.2%、今後行う予定が15.4%、行う予定がないが37.4%となっています。館内の案内表示に外国語を付与しているところは、全体の38%で、今後行う予定の所が22.1%、行う予定がないところが36.7%となっています。

ここで使用される言語は、英語が95.7%で最も多く、中国語のうち繋体字が11.5%、簡体字が7.7%、韓国語が17.4%となっており、英語が最も使用されている言語であるという現状を鑑みると、外国からの訪日外国人観光客の中では、訪日米国人観光客への配慮が特に行き届いていると思われます。また、館内に外国語の案内を配置している所は全体の38%しかないため、このような点を充実させることで、その他の半分以上の宿と差別化を図ることができます。

訪日米国人観光客獲得への具体的な対応

近年、訪日旅行者の中では、個人旅行客が増加しており、それは訪日米国人も同じです。平成27年度は、訪日米国人観光客全体の92.3%が個人旅行客であり、団体ツアー客は5%しかいませんでした。そのようなことを考えたとき、訪日客にどのように宿の存在を知ってもらうかが、顧客を獲得するうえで重要になってきます。

訪日米国人観光客向けの周知方法としては

  • 海外のガイドブックに掲載してもらうために、ガイドブック出版社に自身の宿を売り込む
  • Googleなどのサーチエンジンで、検索結果の上位に表示されるようにSEO対策を施す
  • TripAdvisorやAgodaといったホテル予約サイトに登録する

などの方法が考えられます。訪日米国人観光客を取り込みたいのなら、施設内に英語のできるスタッフを配置し、Wi-Fi(ワイファイ)環境の提供、ホームページも英語表記するなどするべき対策は多くあります。

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訪日外国人観光客宿泊施設を決める要素としては、「料金」が88.2%で最も高く、「立地」が82.4%で2番目に位置し、「施設の形態(和式・洋式)」が24.1%、「口コミサイトでの評判」が22.6%となっています。「インターネット環境」は15.4%、「英語が通じるかどうか」は14.1%と比較的低い値となっており、長い滞在期間でいかに料金を低く抑え、好ましい立地に滞在するかが訪日米国人観光客にとって重要な要素となっています。

訪日米国人観光客は、旅館よりホテルに泊まる人が多い

観光庁は、平成28年度から、宿泊施設のウェブサイトの多言語化、Wi-Fi(ワイファイ)環境の整備にかかる費用の半分を支援する補助金制度を設けており、訪日米国人観光客の快適な利用を進める積極的な施策が進められています。また、2020年の東京オリンピックで多数の訪日外国人観光客の訪問が期待されており、それに合わせて投資を行う施設が半数以上にのぼり、高い経済効果が期待されています。

宿泊施設の決定要素として、施設の形態はあまり重要視されていませんが、実際は、訪日米国人観光客の80%以上が旅館よりホテルを好む傾向にあります。その理由としては、料金や立地といった要素が高く関係しているものと思われます。逆に、料金や立地といった条件を充実させ、十分考慮したのなら、その他の多言語対応やWi-fi環境の整備などの細かいサービスを充実させることが、その他の施設と差別化を図る上で、大切な要素になってくると思われます。

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訪日米国人観光客インバウンドデータ集

データでわかる訪日アメリカ人観光客

ニューヨーク人口密度は1,800人/km2(日本でいうと東京の1/3くらい。埼玉と同じくらいの人口密度)。国全体の人口密度は33.7人/km2(日本でいうと東京の1/200くらい。北海道の1/2くらいの人口密度)

【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」

インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。

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宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】

【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

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【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。

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※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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