世界的に人気を博しているものの、宿泊業者や地域住民の生活に悪影響を及ぼすおそれが懸念されている民泊。世界的な観光地として知られるフランス・パリでは住宅不足、学級閉鎖などの悪影響を及ぼしていると言われています。高い需要があることから積極的な導入を求める声が上がっているものの、日本では慎重な対応が進められています。
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そんな中、宮城県仙台市に本社を置く百戦錬磨は、日本シェアハウス協会と提携し、合法で安全な民泊上の普及に向けた事業をスタートしました。今回は、事例として同社の取り組みをご紹介します。
【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。
ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。
百戦錬磨、日本シェアハウス協会とは
日本シェアハウス協会:シェアハウス事業によって空き家問題の解消
日本シェアハウス協会は、社会問題化している空き家の増加問題を、シェアハウスとして活用することで解消することを目指している一般社団法人。地域経済を活性化させるだけでなく、地域コミュニティを守る効果もあるとしています。
元の名称は「一般社団法人シェアハウス振興会」。「違法ハウス」「脱法ハウス」(法的な基準を満たさないシェアハウス)の問題化を予見し、平成22年(2010年)に業界初の法人団体として立ち上げられました。
百戦錬磨:ICTにより旅行需要、交流人口の拡大
百戦錬磨は、宮城県仙台、東京都千代田区にオフィスを構える企業。ICT(情報通信技術)を活用し、旅行需要、交流人口を拡大させることを経営理念としています。子会社の「とまれる」で、民泊仲介サービス「STAY JAPAN」の運営を行っています。
安全な民泊の提供をコンセプトとする「STAY JAPAN」とは
業務提携の背景:空き家増加にはさまざまなデメリット
現在、日本国内では少子高齢化や人口減少により、空き家が増加しています。これは都市部も例外ではありません。このような状況が続くと、空き家が害獣、害虫の住み家になる、倒壊する、犯罪に利用される、住宅の資産価値が下がる……などさまざまなリスクが発生します。その対処法として注目を集めているのは、空き家を民泊、シェアハウスなどに活用する住宅シェアリング事業です。
業務提携の背景にはこのような事情があり、日本シェアハウス協会の会員が所有するシェアハウスの民泊活用、民泊とシェアハウス混在型施設の開発などにより、新たな住宅シェアリング事業を全国に普及させる狙いがあります。旅行者、住民という異なるニーズの利用者をターゲットにしており、施設の稼働率の向上、利用者同士の交流などの効果もあると言います。
あくまでも合法的で安全な民泊事業の実現、普及を目指しており、地域コミュニティの形成による消費、雇用の創出や拡大、地方創生への貢献を目指しています。
「STAY JAPAN」の特徴:自治体の認可を受けた施設が安全に利用できる
「STAY JAPAN」は、スマートフォン、パソコンから民泊用に貸出す住居を掲載したり、予約したりできるプラットフォーム。扱っているのは自治体の認可を得た合法的な施設のみだそうです。
民泊の問題点として頻繁に指摘されるのは、本来、民泊の魅力はホストとゲストの交流、旅館やホテルでは不可能なディープな観光体験ができることにあるにもかかわらず、安価な宿泊施設として提供されている施設が極めて多いこと。
「STAY JAPAN」はこのような問題を回避し、本来の魅力を活かした民泊事業をコンセプトとしています。民家やアパート、マンション、古民家などの空き部屋やユニークな場所を民泊向けに貸出し、都市部の生活空間に暮らすように滞在したり、地方で日本の伝統文化や田舎体験を通じて現地の方と交流したりできるようにすることを目的としています。
安全に利用できるよう、運営する「とまれる」は各種保険に加入しており、ゲストには備品破損、宿泊中の事故をはじめとした偶発的な損害に対する保証として最大3,000万円を保証。ホストには、宿泊期間中の施設欠陥に起因する事故損害への保証として、1事故につき最大1億円(対人賠償)を保証しています。
また、24時間利用できるコールセンターを設置しており、英語、日本語の2ヶ国語で電話、メールを受け付けています。
まとめ:安全性に配慮し、民泊本来の魅力を引き出す
百戦錬磨が日本シェアハウス協会と提携し、合法で安全な民泊事業をスタートさせることを発表しました。百戦錬磨の子会社「とまれる」で、民泊仲介プラットフォーム「STAY JAPAN」の運営を行っています。
「STAY JAPAN」の特徴は自治体の認可を得た施設のみを提供する、24時間のコールセンターを設ける、ホスト、ゲストに補償を行うため各種保険を利用するなど、安心して利用できる環境整備を行っている点。しばしば問題視されている「違法ハウス」「脱法ハウス」の温床となることを回避し、民泊本来の魅力を引き出そうとしています。
現在、日本では民泊に対して慎重な対応が進められていますが、このように安全に利用できる民泊仲介サービスの登場により浸透していくのではないでしょうか。
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
- 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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