2020年の「東京オリンピック・パラリンピック」に向けて、訪日外国人観光客数が増加しています。政府による「明日の日本を支える観光ビジョン」では、もともとの訪日外国人観光客の目標数であった2,000万人を大幅に前倒しし、2020年までに4,000万人、2030年までに6,000万人の訪日外国人観光客の誘致を目指すことを発表しました。
より多くのインバウンド消費を促すために、政府はインバウンド事業などに補助金を交付したり、訪日外国人観光客誘致に役立つ情報を、企業や自治体に提供しています。
また、政府ではインバウンド消費に関連した情報を管理、共有するためのプラットフォームを開発し、この度、訪日外国人観光客誘致のための実証実験を開始することを発表しました。
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経済産業省、「おもてなしプラットフォーム」の実証を開始
2016年9月28日の経済産業省の発表によると、訪日外国人観光客誘致へ向け、国内の事業者や地域との連携により「おもてなしプラットフォーム」の構築に向けた実証実験を10月1日から開始することを発表しました。
「おもてなしプラットフォーム」とはインバウンド消費関連の情報を共有するためのプラットフォーム:訪日外国人観光客の個人情報を一元化
「おもてなしプラットフォーム」とは、訪日外国人観光客に関する情報を集積するためのプラットフォームです。
訪日外国人観光客のショッピングや飲食、宿泊など旅行時の情報、または各種アプリ上に登録する情報を、訪日外国人観光客本人の同意のもと、「おもてなしプラットフォーム」に共有。そのデータを活用し、各事業者が、訪日外国人観光客に高度で先進的なサービスを提供できる仕組みの構築が目的です。
この仕組みにより、「おもてなしプラットフォーム」に参加する事業者のサービスを受ける際、訪日外国人観光客は旅行履歴等の個人情報や、使用言語などを再度登録する必要がなくなります。
結果的に、「おもてなしプラットフォーム」参加事業者としても、今までより明確に訪日外国人観光客の消費動向を把握することができ、潜在的な訪日外国人観光客のニーズを見落としづらくなります。
「おもてなしプラットフォーム」に関しては、2016年4月に具体的な計画が作成され、それから約半年後である10月1日から実証実験に踏み込むといった流れになっています。
「おもてなしプラットフォーム」構築の一環として訪日外国人観光客の「指紋認証」「手のひら認証」決済の実証実験開始へ
今回、取り上げている「おもてなしプラットフォーム」事業の一環として、訪日外国人観光客における「指紋認証決済」「手のひら認証決済」の実証実験が行われます。10月1日より関東と関西で開始され、訪日外国人観光客の利便性向上を図ります。
[関東]「指紋認証決済」の導入:大手旅行会社「JTB」の関連企業が協力
実証実験として、関東では「指紋認証決済」の導入が行われます。対象地域は、神奈川県箱根町や湯河原町、鎌倉市です。
これらの地域の約100店舗で、指紋認証による決済や宿泊施設のチェックイン・アウトが可能になります。
大手旅行会社「株式会社JTB」関連会社である「JTBコーポレートセールス」を中心に、指紋認証技術を持つLiquid、箱根温泉郷、湯河原温泉等が参加します。
JTBコーポレートセールスによるウェブサイトでも、その概要が紹介されています。
[関西]「手のひら認証決済」の導入:大手電機メーカー「パナソニック」が協力
関西ではスマートフォンによる「手のひら認証」の導入が行われます。「手のひら認証」とは手のひらの文様と静脈のパターンを組み合わせ、ユーザーを認証するシステムです。
今回の実証実験は、大阪市の水族館「海遊館」や、隣接するショッピングモール、関西国際空港内の店舗などで行われ、これらの店舗、施設では手をかざすだけで支払いができるようになります。
「指紋認証」「手のひら認証」導入により楽な決済・インバウンド情報一括化が実現
今回の「おもてなしプラットフォーム」実証実験開始の背景には、訪日外国人観光客の消費動向に関しての情報を集約・提供するためのプラットフォームが存在していなかったこと、情報が分散化していたことが挙げられます。
「指紋認証」「手のひら認証」の導入によって、
- 訪日外国人観光客消費動向の一括化
- 訪日外国人観光客にとって楽な決済サービス
が実現し、結果的にインバウンド消費の促進、または新たなインバウンド向けサービスの開発、マーケティングに活用が可能となります。
まとめ:インバウンド情報共有のための大枠のプラットフォームは必要不可欠に 「指紋認証」「手のひら認証」導入によってインバウンド消費喚起へ
今回取り上げた、経産省による「おもてなしプラットフォーム」構築へ向けた実証実験。訪日外国人観光客に人気の観光地での「指紋認証」「手のひら認証」の導入により、インバウンド消費動向などインバウンド関連の情報の共有が進むことが予測されます。
また、訪日外国人観光客にとっては、より快適な買い物が可能になります。
訪日外国人観光客の増加に伴い、インバウンド収益の増大の見込まれる日本では、このような大枠のプラットフォームは必要不可欠です。
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