震災復興の道のりは長い 観光庁、阿蘇などの観光業復活に向け「熊本応援プログラム」実施へ

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今から約1年前にあたる平成28年(2016年)4月14日に、熊本県で発生した熊本地震。マグニチュード6.5、最大震度7という大規模なもので、熊本城、阿蘇神社などの一部施設が倒壊するなどの被害が発生しました。政府が早くから「できることは全てやる」という方針で、支援プログラムを打ち出し、旅行商品の割引を促す「九州観光支援のための割引付旅行プラン助成制度」(いわゆる九州ふっこう割)を創設したことも、まだ記憶にあたらしいのではないでしょうか。

「九州ふっこう割」後の観光業復興の切り札になるか 熊本城の早期復旧などを盛り込んだ要望書が提出

熊本地震後、九州地方の観光業復興に向けスタートした「九州ふっこう割」。それが終了する平成29年(2017年)1月以降に起こることが予想されている観光業の冷え込みを回避するための動きが現れています。九州観光推進機構らが平成28年(2016年)11月8日、国に新たな支援を求める「熊本地震を受けた九州観光復興のための要望書」を提出しました。今年、訪日外国人観光客数は年間2400万人にのぼると見られ、インバウンド観光市場は順調に成長しています。しかし、九州地方では訪日外国人観光客、国内の旅行者数が...

しかし、観光庁は平成29年(2017年)1月24日、さらに「熊本応援プログラム」を実施することを発表しました。約1年経った今なお、熊本県震災復興は完全ではなく、依然として観光市場が回復していないのだといいます。熊本県の観光業界は今、どのような状況にあるのでしょうか。政府による支援策とともに、ご紹介します。

 

 


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2017年になっても根深く残る熊本地震の影響

まずは、熊本県の主な観光施設の営業状況から。同県観光課が運営しているWebサイト「なごみ紀行 くまもと」にて、平成28年10月24日時点の状況が掲載されています。

多くの施設がすでに営業を再開していますが、熊本城熊本市動植物園、菊池渓谷、グランメッセ熊本、サントリービール熊本工場などは、依然として休業中となっています。それぞれの状況をご紹介しましょう。

熊本城

熊本城は平成28年11月11日から、「復興城主」というプロジェクトをスタート。個人、法人などから寄付を募り、その引き換えに「城主証」「城主手形」の配布のほか、各種特典を提供するというものです。熊本城内は現在も多くの場所が入れない状態になっており、地震被害が尾を引いているようです。

熊本市動植物園

熊本市動植物園は平成29年2月25日から、土日祝日に限り、比較的被害の少なかったエリアを対象に一部開園することを発表しています。同園では獣舎などに甚大な被害が発生。幸いにも動物の事故、脱走などは起こりませんでしたが、トラ、ライオン、ヒョウといった猛獣に関しては、九州地方の動物園などに預かってもらっている状態が続いています。

条件付きの営業再開にまでこぎつけてはいるものの、猛獣舎周辺が最も被害が大きいため、これらの動物たちが戻ってくるにはまだ時間がかかるようです。

サントリー九州熊本工場

サントリー九州熊本工場は、平成28年11月から「プレミアム・モルツ」の生産を再開。平成29年からその他の製品の出荷も順次行う予定で、春以降、ビールの生産量が地震前の水準に戻る見込みです。

しかし、工場見学やレストラン、ショップといった施設の営業は休止状態が続いており、現在も見学予約ができない状態です。「再開につきましては、決定次第ホームページにて告知」としており、今後の日程は発表されていないようです。

このように一部の施設では、地震から約半年が経過した2016年末ごろに復旧に向けた動きが始まったばかりで、営業再開はこれからという状況です。これらの施設も含めて考えると、復興はどれだけ早く見積もっても2017年以降ということになります。

 

2017年1~3月ごろにも政府による復興支援

観光庁による「熊本応援プログラム」は、おおむね1~3月ごろにかけて実施されます。特に影響が大きいと思われるのは「阿蘇(中部・南部)応援ツアー」で、「ふっこう割」に類似した内容になっています。

阿蘇(中部・南部)応援ツアー

阿蘇(中部・南部)応援ツアーは、2月1日~3月20日にかけて実施される予定。観光庁熊本県が連携して、旅行会社に対し、2万円以上の旅行商品を25%割引(上限12,500円)するなどの支援を実施します。同地域では、熊本地震の余震や噴火警戒による風評被害が発生しており、戻りの遅い観光需要を喚起する狙いがあります。また、アンケートなどを実施することで旅行者の声を収集し、観光地の魅力を向上させる中長期的なプロジェクトにも結びつける方針です。

そのほかの支援策

そのほかにもさまざまな支援策が実施されます。一部、かいつまんでご紹介します。

  • 交通事業者と連携したキャンペーン展開:1月~3月の旅行需要を喚起するため、「温泉」「食」をテーマにキャンペーン
  • 地震により阿蘇カルデラに刻まれた断層や被災した阿蘇神社等を見学することのできる体験プログラムを作成
  • 広域観光周遊ルート形成促進事業による支援
  • 現地媒体や旅行博等を活用した情報発信の強化

 

まとめ:熊本県の復興はこれから?

観光庁が、昨年震災被害にあった熊本県の観光業を支援するプログラムを実施することを発表。熊本城熊本市動植物園などは依然として休業状態で、2016年末から再開に向けた取り組みを始めたばかり。まだまだ熊本地震の影響は根深く残っているようです。

「熊本応援プログラム」では「ふっこう割」のような割引支援などの各種施策が実施される予定です。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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