「九州ふっこう割」後の観光業復興の切り札になるか 熊本城の早期復旧などを盛り込んだ要望書が提出

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熊本地震後、九州地方の観光業復興に向けスタートした「九州ふっこう割」。それが終了する平成29年(2017年)1月以降に起こることが予想されている観光業の冷え込みを回避するための動きが現れています。九州観光推進機構らが平成28年(2016年)11月8日、国に新たな支援を求める「熊本地震を受けた九州観光復興のための要望書」を提出しました。

今年、訪日外国人観光客数は年間2400万人にのぼると見られ、インバウンド観光市場は順調に成長しています。しかし、九州地方では訪日外国人観光客、国内の旅行者数が減少しており、観光業が復活したとは言いがたい状況が続いています。今回は、熊本地震から約半年が経過した九州地方の観光業の動向についてご紹介します。

 

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熊本地震発生直後から現在に至る、九州地方の観光業の動向

まずは時系列で、地震発生後から現在までの動向を追ってみましょう。熊本地震が熊本県、大分県を襲ったのは、4月14日。マグニチュード6.5、最大震度7という大規模なもので、一時10万人ちかくが避難生活を余儀なくされました。当時、盛んに報道されていた一部施設が倒壊した熊本城、阿蘇神社の映像が今なお焼き付いているという人も多いのではないでしょうか。

ゴールデンウィーク直前ということもあり、観光業へのダメージは深刻でした。2016年5月時点で56.8万件に及ぶ宿泊キャンセルが発生し、フェリー、航空機の路線も運行を停止。九州地方はアジア圏からの訪日外国人観光客に強い地域だったのですが、韓国や中国、台湾などの訪日外国人観光客が九州行きのツアーを相次いでキャンセルしました。

政府は「できることは全てやる」という方針のもと、5月31日に「九州の観光復興に向けての総合支援プログラム」を実施することを発表。7月下旬~9月中旬の夏休みシーズンまでに観光業を復興させることを目指して、九州7県の旅行商品の割引を促す「九州観光支援のための割引付旅行プラン助成制度」を創設しました。これは「九州ふっこう割」として知られ、各旅行会社が旅行商品を販売しています。

「九州ふっこう割」には7~9月の第1期、10~12月の第2期があり、目標としていた宿泊者数は150万人。予想を上回る人気を博し、第1期の時点でこの数値をほぼ達成しています。

なお、熊本地震については以下の記事でも取り上げています。詳細を知りたい方は、ぜひご覧ください。

熊本地震に見る訪日外国人への災害対応

2016年(平成28年)4月14日21時26分頃に発生した熊本地震。熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード6.5、最大震度7の地震で、更に4月16日1時25分頃に、同じく熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.3、最大震度6強の地震が発生しました。現在も余震が続いており、懸命な救助活動が続いています。4/18現在で死者43名にのぼり、今もなお、約9万4千人が避難している状況です。お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、御遺族の皆さまには衷心よりお悔やみを申し上げます。ま...

熊本地震後の観光業の動向:桜により過去最高の旅行者数を記録、九州は早急な復興に動き出す

2016年(平成28年)4月14日に発生した熊本地震。熊本県、大分県では建造物や設備が損壊し、九州地方全域で訪日外国人観光客の旅行キャンセルが相次ぎました。インバウンドビジネスに対して与える影響は大きく、震災後には訪日外国人を対象とする避難所の開設、緊急通訳ダイヤル(多言語コールセンター)の無償提供などが行われました。詳細はこちらの記事(熊本地震に見る訪日外国人への災害対応:訪日ラボ)からご確認ください。地震から約2ヶ月経った現在は、どのような状況になっているのでしょうか。今回は訪日外国人...

九州ふっこう割で熊本地震からの復興なるか:6月は既に復調傾向、インバウンドへの効果は8月以降に期待

2016年(平成28年)4月14日に熊本県を襲った熊本地震。観光業にとって、かき入れ時となるゴールデンウィーク前に震災が発生し、宿泊キャンセルが相次ぎました。その数、2016年5月時点で56.8万件に及ぶほどに。国内だけでなく、もちろんインバウンド市場にも打撃を与え、九州地方の主要訪日国である韓国を中心として、2016年5月の九州への外国人入国者数は前年度割れしました。政府は、観光業の復興に向け支援施策を発表し、その取り組みとして「九州ふっこう割」が開始されました。先日のJNTOの訪日外客...

「九州ふっこう割」で好調のように見えるものの、終了後の予測は厳しい

大まかな流れだけを見ると、九州の観光業は順調に調子を取り戻しているかのように見えます。しかし、実際は違うと言われています。

「九州ふっこう割」によって増加したのは主に九州地方からの観光客であり、その他の地域の旅行者は伸び悩んでいます。特に地震に関する知識、経験が少ない訪日外国人観光客の集客には、苦戦していると言われています。震災後も続く余震、10月上旬に発生した阿蘇山の噴火などが悪い材料になっており、熊本地震の影響が尾を引いています。

現在は「九州ふっこう割」による需要増大が続いていますが、これはいわばカンフル剤を打って強制的に活力を与えている状態にほかなりません。終了する1月以降の宿泊客数は、前年を下回っているのが実際のところです。

 

2017年1月以降に向けた「熊本地震を受けた九州観光復興のための要望書」

そこで2017年以降の観光業活性化を目的に、九州7県や九州観光推進機構、九州経済連合会などの経済団体が内閣官房、観光庁など関係省庁を訪問し、提出したのが「熊本地震を受けた九州観光復興のための要望書」。

盛り込まれているのは「九州観光復興応援感謝旅行キャンペーン」や九州各地でのおもてなしイベントの実施など。また、「九州ふっこう割」の対象外となっていた観光施設やドライブイン、土産店、飲食店、鉄道、貸切バス事業者などへの財政支援、多額の費用がかかることなどから困難と言われていた熊本城や阿蘇神社の早期復旧についても要望しています。

 

まとめ:1日でも早く九州地方の観光業復興を

九州観光推進機構らは、国に「九州ふっこう割」が終了する2017年1月以降の支援を要望する「熊本地震を受けた九州観光復興のための要望書」を提出しました。熊本地震からすでに半年が経っているものの、ダメージは根深く残っており、さらなる観光業振興策が求められています。

「熊本地震を受けた九州観光復興のための要望書」で提案されているのは、「九州観光復興応援感謝旅行キャンペーン」の実施や「九州ふっこう割」の対象外となっていた施設、事業者への財政支援など。また、多額の費用がかかることなどから困難と言われていた熊本城や阿蘇神社の早期復旧についても要望しています。

アジア圏に近く、韓国、中国、台湾などからの訪日外国人観光客が数多く訪れる九州地方は、日本のインバウンド観光市場において重要な存在です。1日も早く勢いを取り戻すことが期待されます。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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