平成29年(2017年)1月26日、成田国際空港はWAmazing株式会社と連携して、訪日外国人観光客のニーズが高いインターネット通信、交通、旅行先の提案といったサービスを一手に提供する「WAmazing(ワメイジング)」を開始することを発表しました。
WAmaging株式会社は2016年に設立されたばかりのITベンチャーなのですが、観光関連メディアのみならず、テック系Webメディアまでこの件を取り上げています。「WAmazing(ワメイジング)」が注目を集める理由とは、いったいなんなのでしょうか。
【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。
ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。
「WAmazing(ワメイジング)」とは
「WAmazing(ワメイジング)」は、訪日外国人観光客を対象とするスマートフォン向けのアプリサービス。旅行前に専用のアプリをダウンロード、会員登録しておくと、日本滞在中に無料でインターネット通信が利用できるSIMカードを、成田空港内に設置される「デジタルサイネージ付き無料SIMカード受取機」で受け取ることができます。また、このアプリでは東京都内を走行するタクシーの配車、観光ツアーの予約、決済もすることができ、成田空港内で手間のかかる旅行の準備が済ませられる仕組みになっています。
「WAmazing(ワメイジング)」が注目を集める理由とは?
大ざっぱに捉えると「通信業界、交通業界、観光業界の各事業者を、アプリでつないだ」といった内容になっていますが、注目を集めるポイントはどこにあるのでしょうか。
SIMカードが無料で利用できる
まず、指摘できるのは、SIMカードが無料で手に入れられるため、訪日外国人観光客が日本国内でのインターネット通信をタダで利用できるようになるという点。日本のネット環境に関しては「無料で使えるWi-Fiスポットが少ない」「諸外国に合わせて、整備するべきだ」とたびたび言及されていますが、この解消に役立つかもしれません。
データ通信量が無料なのは500MB、5日間までと制限がありますが、当面対象としている訪日外国人観光客は台湾、香港と日本に近い地域のため、長期滞在する人はあまり多くなさそうです。週末のちょっとした連休を使った旅行で、動画視聴などをしなければ、これで十分かもしれません。なお、アプリ上で追加購入することで、制限以上に利用することも可能です。
タクシーで都内のホテルからスキー場まで移動できる仕組み
また、WAmazing社がITベンチャーながら、成田空港やタクシー会社などと連携をとることで、訪日外国人観光客の利便性を確保しているという点も指摘できるのではないでしょうか。
同社のリリース情報によれば、「WAmazing(ワメイジング)」が狙いとしている客層のひとつはアジア圏からのリピーター。日本の雪や地方部に関心が高い人が多いものの、言葉が分からなかったり、交通機関が複雑だったりという理由で、スキー場などに行くのが難しいとのこと。
同サービスはチェッカーキャブ無線協同組合と連携しており、東京23区内のホテルからスキー場まで往復送迎してくれる「訪日外国人旅行者向け観光タクシー」を手配することが可能。利用者はドア・トゥー・ドアで、自分の行きたい地域まで行けるようになるわけです。
訪日外国人観光客は、タクシーで長距離移動することになりますが、1台に4人で乗車すれば、群馬県、新潟県といった地域のスキー場までの料金は、12,000~3,000円。うまく人数を調整すれば、そこまで高くはつかないようです。
代表者は元リクルートの加藤史子氏
WAmazing社の代表者は、リクルートで新規事業開発などを行っていた加藤史子氏。この点も注目を集める理由になっているようです。
同氏は、19歳限定で全国190以上のゲレンデでリフト券がタダになるキャンペーン「雪マジ!19」を立ち上げたことでも知られている人物。ここでは基本的なサービスを無料提供し、追加機能で課金を求めるビジネスモデル「フリーミアム」(ソーシャルゲームをはじめとした商品ではよく採用されている)を、ウィンターレジャーの世界に導入することに成功しています。
「WAmazing(ワメイジング)」はゲレンデのみを対象としたサービスではありませんが、インターネット通信などが無料で利用できるという点では、類似のビジネスモデルをとっていると言えるかもしれません。果たして訪日外国人観光客に対しても、フリーミアムは通用するのでしょうか。
まとめ:インバウンド業界の注目株
成田空港で無料のSIMカードが受け取れる訪日外国人観光客向けサービス「WAmazing(ワメイジング)」が注目を集めています。インターネット通信、交通、観光ツアーの予約などをトータルにサポートするサービスで、ITベンチャー・WAmaging社が手掛けています。「訪日外国人観光客がホテルからスキー場まで、タクシーでドアトゥードアで移動する」などの利用方法を想定しています。
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
- 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!