マンションや空き部屋を訪日外国人観光客などに貸し出す「民泊」。その法的規制をめぐって、東京都の弁護士 石原一樹氏が3月9日に大阪市を相手取り提訴を起こしました。石原氏は、12月6日に東京都江東区を同様の案件で提訴しており、民泊新法の成立間際に波紋が広まります。
10分で理解する民泊サービス その実態とは?背景や法的要件、課題などを解説
目次民泊サービスとは?:Airbnb(エアービーアンドビー)を例にAirbnb(エアビーアンドビー)のしくみ・特徴なぜ民泊に注目が集まっているのか?民泊ビジネスの抱える問題点民泊ビジネスと法的要件合法的に民泊ビジネスを行なうには?民泊ビジネスには、法的問題のほか、近隣トラブルも課題となるまとめ:今後の民泊市場の法的・ビジネス的動向に注目民泊サービスとは?:Airbnb(エアービーアンドビー)を例に日本でも急速に広まりつつある民泊ビジネス。業界の中でも最も有名なAirbnb(エアビーアンドビ...
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これまでの民泊はグレーゾーンだった
昨年より議論が活発化し、今期国会に提出された「民泊新法(住宅宿泊事業法)」。今まで宿泊関連のルールを定めていた旅館業法は、現在のいわゆる「民泊」の形式を想定していなかったために、民泊新法の議論が活発化するまでは、民泊は謂わばグレーゾーンの状態になっていました。
解禁に乗り出す民泊新法案がいよいよ国会提出 その一方で、ヤミ民泊が横行しているという調査結果も
宿泊施設不足の解決や新たな需要の創出などのポジティブな側面に加え、近隣住民とのトラブル、違法な業者の存在といった問題を懸念する声も多い民泊。かねてから平成29年(2017年)中に行うとされていた、その新法案の閣議決定、国会提出が3月中に実現する見込みです。いよいよ日本でも、本格的に民泊が解禁されることになります。今回はすでに明らかになっている民泊新法案の大枠に加え、今後、課題として浮き彫りになっていくであろう違法な民泊業者の問題についてご紹介します。 目次日本における民泊のこれまで新法案で...
民泊特区制度:特例的に旅館業法の適用を受けずに民泊を営業できる制度
業として「民泊」をするのであれば、旅館業法に適法なかたちでの営業をしなければならないものの、その規制は民泊の実務に合っていないものでした。そこで政府は2016年1月に東京都大田区で、4月には大阪府で「民泊特区制度」を開始します。
民泊は取り締まりの対象!? グレーゾーンから違法との見方が強くなった「闇民泊」について解説
訪日ラボでも何度か触れている「民泊」。2016年4月に民泊に対応すべく旅館業法の緩和を行ったり、6月には民泊新法に関する最終報告書が提出されたりしたことは記憶にあたらしいです。<民泊に関する規制緩和についてはこちら>そのような規制緩和がおこなわれつつも、そもそも旅館業法においては民泊の形式は想定しておらず、民泊に関してダイレクトに定めたルールがないのが現状です。そこで問題となっている、いわゆる「闇民泊(ヤミ民泊)」の問題点について解説していきます。目次闇民泊とは、旅館業法の制限を受けずに営...
しかしながら、この民泊特区制度は、滞在期間が6泊7日以上という制限があり、それよりも少ない宿泊の多い民泊においては、ほとんど活用がなされず、大田区でも大阪府でも認定件数は極わずかなものでした。そこで、民泊特区制度の活用促進のため、2016年10月に、最低宿泊日数が6泊7日から2泊3日以上に緩和されました。
東京都の弁護士、民泊規制をめぐり大阪市・東京都江東区を提訴
今年3月9日、東京都の石原一樹弁護士が、民泊規制をめぐり大阪市を提訴しました。訴訟は、民泊をするにあたって、旅館業法に基づき大阪市長の許可を受ける義務がないことを確認するものです。石原氏は、昨年12月6日にも東京都江東区を相手取り、同様の提訴をしています。
民泊に関する規制の合理性に疑問
石原氏は、大阪市、および東京都江東区にて所有するマンションで民泊を行う予定でした。その準備にあたり、民泊に関連する法律・制度を調べるうちに、旅館業法による規制を受けることに関して合理性に疑問をいだき、提訴に乗り出しました。
旅館業法が制定された当時は、公衆衛生の安全面について厳しい規制をする必要があったものの、現在の状況においては、一般の住宅にも浴槽や水洗トイレが普及しており、同法が目的とする公衆衛生は一般住宅でも確保できていると指摘。さらに、旅館業法は「ホテル営業」「旅館営業」「簡易宿所営業」「下宿営業」の4業態が規制の対象となっていますが、この内の「簡易宿所営業」として民泊を規制するのは拡大解釈だとしています。
原告代理人の藤原大輔弁護士は、江東区での訴訟の際に
「民泊だけでなく、規制をかける行政に対して、本当に『そういう法律でいいのか』『そういう法律の解釈でいいのか」と、全般的に問うことになる」「規制立法のあり方や、解釈の見直しのきっかけになれば」と今回の訴訟の意義を語っていた。―弁護士ドットコムNEWS「「規制が適用されない民泊があるのではないか」弁護士が確認求めて提訴…全国初」より引用
とコメントしています。
まとめ:民泊新法施行までの民泊のあり方が変わるかも?
訪日ラボでも以前取り上げたように、民泊新法が先日3月10日に閣議決定され、今期国会での成立を目指しています。早ければ来年2018年1月に施行される見通しですが、逆に言えばそれまでの間は「今の制度の民泊」が続くとも言えます。
解禁か?規制か?評価が分かれる民泊新法・改正旅館業法、閣議決定:年間180日まで営業可能に規制緩和の一方違法民泊には罰金100万円
政府は3月10日、「住宅宿泊事業法案(通称:民泊新法)」を閣議決定しました。民泊新法は、訪日外国人観光客などに有料で自宅の飽き部屋や、所有するマンションの1室を有料で貸し出す「民泊」サービスに対するルールを定めたものです。目次3月10日「民泊新法」、3月7日「改正旅館業法」閣議決定「民泊新法」では営業日数年間180日に「改正旅館業法」では違法民泊に対し罰金100万まとめ:民泊新法で民泊は「解禁」されたのか、それとも「規制」されたのか?3月10日「民泊新法」、3月7日「改正旅館業法」閣議決定...
その状況のなかで、今回ご紹介した提訴は、民泊のあり方について問うものであり、その動向が注目されます。また、民泊に限らず、現在インバウンド市場の拡大により、日本の制度や法律、体制が大きく変わろうとしています。「観光立国」を目指すなかで、あらゆる場面で民泊のような”ねじれ”が発生しうるものと思われ、そういった意味でも、今回の訴訟や民泊新法の動向については要注目です。
<参照>
- 弁護士ドットコムNEWS:規制が適用されない民泊があるのではないか」弁護士が確認求めて提訴…全国初
- 民泊大学:【速報】民泊で「許可不要」弁護士が大阪市提訴
- 日経新聞:民泊、全国で解禁 新法案を閣議決定
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短時間でインバウンドが学べる「訪日ラボ トレンドLIVE!」シリーズの第6弾を今月も開催します!訪日ラボとして取材や情報収集を行う中で、「これだけは把握しておきたい」という情報をまとめてお伝えするセミナーとなっています。
今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。
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