11月30日に、中国版Uberと言える中国の配車サービス最大手、滴滴出行(ディディチューシン) が2018年に日本進出を検討しているということが明らかになりました。これは日本のタクシー会社最大手である第一交通産業(本社:北九州市)との連携によるもので、2018年春にも東京都内でスマートフォンアプリを利用して配車サービスを始めるとされています。このニュースについて詳しく見ていきましょう。
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そもそも滴滴出行(ディディチューシン)とは?
もともとは中国のインターネット企業大手であるテンセントの支援を受けて、2012年6月から始まった配車サービスアプリ 「嘀嘀打車」 、同じく中国のインターネット大手アリババグループの支援を受けていた 「快的打車」 のライバル2社が、2015年2月に合併して 「嘀嘀快的」 が誕生。さらに2015年に「嘀嘀快的」がリブランドすることで 「滴滴出行(ディディチューシン)」 が誕生しました。この合併の背景には米国初のライドシェアサービスである Uber が2014年に中国上陸したことも影響したと言われています。
「滴滴出行(ディディチューシン)」 は、中国においてはUberを抑えてライドシェアサービスとして最大手のサービスです。同社の発表によると 2015年1年で10億回の配車 をしており、中国のタクシー配車サービス市場の87%を占めた としています。中国では既にインフラの一部とされる程に浸透しており、2016年には投資家の中にAppleを含んだ45億ドルの資金調達を完了、さらに2017年には55億ドルの資金調達を完了。最も多く出資をしたのはソフトバンクグループであるとされています。
日本進出は東京から
「滴滴出行(ディディチューシン)」 は日本のタクシー最大手である第一交通産業(本社:北九州市)と連携することで、2018年春から東京都内でタクシーの配車サービスを立ち上げます。 これはアプリから出発地と目的地を入力するとタクシーが配車されるというもので、「滴滴出行(ディディチューシン)」と第一交通産業は、まずは都内で500台を配車出来るようにするとしています。
タクシー配車アプリとして考えると国内には既に多数の競合サービスが存在
今回日本で展開する 「滴滴出行(ディディチューシン)」 ですが、海外発のライドシェアサービスとしては、既に日本には Uber が進出した過去があります。
Uberはアメリカにおいては合法「白タク」として一気に認知され広まっていきましたが、日本では法律において「白タク」の営業が禁止 されています。そのため一般的になることはなく、東京ではタクシー配車サービスとして、京都府京丹後市ではバスやタクシー業者が撤退したことから例外的に本国と同じ形で運用されています。
それ以外のタクシー配車アプリとしては、日本交通が全国47都道府県でタクシーの配車が可能な 「全国タクシー」 を提供。さらに、この日本交通と提携することで、同社のタクシーの一部をLINEで呼び出せる「LINE TAXI」が存在しています。
日本でライドシェア型ではなく「配車アプリ」しか存在しないのは、そもそも日本では「白タク」は禁止されているから
そもそも日本でタクシー事業を行うには道路運送法上の「一般乗用旅客自動車運送事業」の営業認可を受ける必要があり、こうしたタクシーは緑地に白字(軽自動車のタクシーは黒地に黄字)の3ナンバー又は5ナンバーのナンバープレートを付けています。一般的に 「白タク」と呼ばれる無認可タクシー は、自家用自動車を用いて白地のナンバーを付けていることから「白タク」という名称で呼ばれています。
訪日中国人が日本で利用する「白タク」行為が問題になっている
あまり知られていませんが、日本の空港では 中国のライドシェアサービスに登録し、自家用車を使用し国から認可を受けていない「白タク」行為をするドライバーが問題 となっており、その多くが在日中国人ドライバーと言われています。こうした問題は訪日中国人が多い 九州・沖縄 を中心に良く聞かれます。こうしたサービスの売りは 「訪日中国人に向けて中国語で案内が可能」 という点に加えて、「正規のタクシーと比較した時の安さ」 です。
また、こうした中国のライドシェアサービス企業は、日本での売上を中国で計上するケースもあることから、脱税行為 にもつながっているとされています。こうした行為は当然ながら犯罪行為ですが、予約から支払いまでスマホ上で完結するため証拠が得られにくく、警察官が職務質問をしたとしても「友人を乗せている」と答えられた場合にそれ以上の追求が出来ないため、取り締まりが難しいのが実態です。
まとめ:第一交通産業と滴滴出行(ディディチューシン)の提携はどこに向かうのか
第一交通産業は滴滴出行(ディディチューシン)と提携をすることで、日本国内で問題になっている「白タク」営業について、自らが受け皿となり、プロドライバーによる交通網を再構築することが狙いとしていますが、実際にどのような形で横行する「白タク」営業を抑止していくのかなどについては現時点では不透明です。
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