観光庁が2018年1月16日に発表した訪日外国人消費動向調査によると、2017年(平成29年)のインバウンド市場の規模が初めて4兆円を上回りました。この中で国籍・地域別、費目別の訪日外国人、訪日外国人旅行者1人あたりの旅行支出などが明らかになっています。本記事ではその詳細を解説します。
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2017年(平成29年)のインバウンド消費は初めて4兆円を突破
2017年(平成29年)の訪日外国人全体の旅行消費額(速報)は4兆4,161億円と推計され、平成28年(3兆7,476億円)に比べ17.8%増加しました。これは年間値として最高値となり、5年連続での最高値を更新しました。

国別の訪日外国人旅行消費額では中国が1.7兆円で断トツのトップ
国籍・地域別に訪日外国人旅行消費額を見ていくと、中国が1.7兆円でトップ。構成比では38.4% となっています。次いで 台湾が5,744億円で2位、構成比は13.0% となっています。第3位は 韓国で5,126億円。構成比は11.6% となり、第4位は 香港で3,415億円。構成比は7.7% でした。第5位は アメリカで2,503億円となり、構成比では5.7% 。この 上位5カ国でインバウンド消費全体の76.4%を占めています。

インバウンド消費を項目別で見ると最も多かったのは買物代、次いで宿泊料金
項目別に旅行消費額を見ていくと、最も多かったのは 買物代で1.64兆円で、構成比としては37.1% となり、第2位となったのは 宿泊料金で1.25兆円。構成比は28.2% となっています。第3位は 飲食費で8,856億円。構成比は20.1% でした。第4位は 交通費となり4,870億円、構成比は11.0% でした。項目別の全体的な傾向は大きく変わらず、買物代が構成比において1%少なくなっています。

旅行消費額の総額が大きく伸びた韓国、中国は依然として買物代の消費額が大きい
前年比で大きく旅行消費額の総額が伸びた国としては 韓国 が挙げられ、総額は5,126億円となり、対前年比では43.3%の成長 となっています。これは、一人あたり消費額は他国と比較して少なめの71,795円で、前年比でほとんど変わらないものの、訪日韓国人客数が前年比40.3%で急増したことが後押ししています。傾向として 韓国は宿泊料金に最も多くのお金をかけており、次いで買物代、飲食費 となっています。

対前年比14.9%の成長を見せた 中国は総額で1.7兆円 を消費しています。顕著なのは買物代の割合が圧倒的に多いということで、この傾向は同じ東アジアの香港、台湾と比較しても明らかです。
それ以外では シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム、インドなどのASEAN諸国も、一様に旅行消費額が2桁成長 となっています。欧米を含むヨーロッパ諸国では イギリスが対前年比25.8%の成長 を見せている他、カナダが29.6%、フランスが19.1%の成長 を遂げています。
訪日外国人旅行者1人当たりの旅行支出は速報値で153,921円
2017年(平成29年)度の訪日外国人旅行者1人当たりの旅行支出は 153,921円となり、昨年の15万5,896円から1.3%減少 しました。国籍・地域別に見ると、230,382円で中国がトップ、オーストラリアが225,866円、イギリスが215,393円 と続きます。第4位は スペインで212,572円、第5位がフランスで212,443円 と続きました。
項目別では 買物代のトップは中国で119,319円、宿泊料金が最も高かったのはイギリスで97,303円。飲食費が最も高かったのはスペインの50,070円。交通費トップはスペインで45,484円。娯楽・サービス費が最も高かったのはオーストラリアで14,094円 でした。

一方、個別の旅行支出で項目別に最も少なかった国を見ていくと、買物代が最も少なかったのは韓国で19,530円、娯楽・サービス費が最も少なかったのはベトナムで2,371円、交通費が最も少なかったのも韓国で7,492円、飲食費に関しても韓国が18,435で最も少なく、宿泊料金に関しても韓国が22,378円で最小 と、総じて訪日韓国人の消費額が少ないという例年通りの傾向が見えます。
まとめ:実際の動向の把握がインバウンド対策には必要
観光庁が発表した訪日外国人消費動向調査から、改めて各国籍・地域の消費動向が明らかになりました。こうした実際の動向を見ていくと、「中国人による爆買いは終わった」と言われる中、引き続き中国人の買物代は他の国・地域の訪日外国人と比較すると圧倒的に多いことがわかり、イギリスの宿泊料金の高さ、韓国は全分野で財布の紐が固いことなどがわかりました。こうした実際の傾向を理解し、インバウンド対策に結びつけていくことが重要でしょう。
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