オランダのユトレヒトで、2018年1月10日~14日にオランダ最大の国際旅行フェア「Vakantie Beurs」が開催されました。毎年1月に開催されている当見本市には、世界各国から約1,200団体が出展し、5日間で10万人を超える来場者が集まります。
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- 「Vakantie Beurs」とは オランダ第4の都市ユトレヒトで開催されるオランダ最大の旅行見本市
- 「Vakantie Beurs」ではアウトドア好きなオランダ人の嗜好を反映した出展が目立つ
- オランダ人旅行者のアジアの旅行先としてはインドネシア、タイ、ベトナムが代表的
- 「Vakantie Beurs」に日本からはJNTO共同ブースで6団体が出展
- 数年前に比べオランダでは訪日旅行への関心が高まっている
- 主体的に情報収集とプランニングを行うオランダ人旅行者
- オランダ市場では民泊や農村訪問など、“日本ならでは”の体験へのニーズが高い
- まとめ:オランダ人旅行者にとって、日本への入り口は人によって違うことに留意
- 「Vakantie Beurs」イベント情報
目次
「Vakantie Beurs」とは オランダ第4の都市ユトレヒトで開催されるオランダ最大の旅行見本市
ユトレヒトは、アムステルダム、ロッテルダム、デン・ハーグに次ぐオランダ第4の都市で、日本でも親しまれているウサギのキャラクター、ミッフィーの生まれた街として知られています。ユトレヒトの中心部には、運河とレンガ造りの建物というオランダらしい落ち着いた街並みが広がっていますが、大学都市という一面もあることから若い人も多く、活気ある街となっています。
「Vakantie Beurs」の会場は、ユトレヒト中央駅から徒歩すぐのところにある展示会会場Jaarbeurs Utrechtです。
会場は地域毎にアフリカ/南欧・地中海/オランダ国内・北欧/トルコ・北アフリカ・中東などの9つのホールにわかれ、日本が含まれるアジアはカリブ海諸国、中南米、オセアニアと共同のホールでの展示となっていました。
各ホールでは、地中海のビーチさながらにパラソルやハンモックが並んでおり、世界各地のダンスや歌のパフォーマンスが行われるなど、来場者の旅行気分を高める雰囲気作りがなされていました。
「Vakantie Beurs」ではアウトドア好きなオランダ人の嗜好を反映した出展が目立つ
「Vakantie Beurs」の特徴として、アウトドア関連の商品の展示や、アウトドア旅行をテーマにしたブースが多く見られました。
アウトドア好きなオランダ人の嗜好を反映し、丸1ホール全てがテントやキャンピングカー、キャンプ用品などの会場もありました。さらに、自転車大国オランダならではの、自転車試乗コースも用意されていました。
また、スペインやイタリアなど近隣国からの出展者の中には、「オランダから車で行くアウトドア旅行」といったテーマに絞ってブースを展開しているところも目立ちました。
オランダ人旅行者のアジアの旅行先としてはインドネシア、タイ、ベトナムが代表的
アジアエリアの中では、インドネシア、タイ、ベトナムなど東南アジア関連の出展スペースが圧倒的に広く、目を引く存在となっていました。
特にインドネシアは第2次世界大戦後までオランダの植民地だったため、今でもオランダ国内には多くのインドネシア料理店があり、アジア各国の中でオランダ人が一番身近に感じる存在です。また、タイやベトナムはオランダ人のイメージする「異国情緒あふれるアジア」に最も近いようで、以前から人気の旅行先となっています。
世界各国への旅行を取り扱う総合旅行会社のブースでも、アジアエリアの紹介としてタイやベトナムの画像が使用されているケースが多く、「アジア旅行といえば東南アジア」という印象が強く見受けられました。
「Vakantie Beurs」に日本からはJNTO共同ブースで6団体が出展
今回の「Vakantie Beurs」で、日本からはJNTOの共同ブースに6団体が出展しました。(JTBは単独ブースでも出展)
共同出展6団体の内訳は、日系旅行会社(JTB、HIS)、日本旅行を主に取り扱う現地旅行会社2社、地方自治体(石川県、奈良県)で、在オランダ日本大使館もパンフレットの配布などを行っていました。
JNTO共同ブースでは、折り紙やけん玉などの体験型ワークショップも行われており、多くの来場者が足を止めていました。
数年前に比べオランダでは訪日旅行への関心が高まっている
日本ブースの出展者に今回の「Vakantie Beurs」の感触を聞いたところ、「数年前と比べて、訪日旅行への関心の高まりを感じる」という声を多く聞きました。以前は試飲・試食やパフォーマンスなどで呼び込みをしなければ人が集まらなかったのに対し、今年は自然と人が日本ブースに集まってくるとのことでした。
訪日旅行への関心が高まっている理由としては、東京オリンピックに向け、日本を紹介するテレビ番組がオランダで増えていることが挙げられます。さらに、既に日本旅行を経験した人がリピーターになり、旅行先としての日本の魅力が口コミで広がっていることも大きな要因です。日本ブースには、東京や京都などには行ったことがあり、次回は金沢や飛騨高山などに行ってみたいというリピーターの姿も見られました。
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主体的に情報収集とプランニングを行うオランダ人旅行者
オランダ人旅行者の特徴として、旅行会社に全て任せるのではなく、自ら情報収集を行い、主体的に旅行計画を立てたいという意識が強いことが挙げられます。取材時に日本ブースを訪れていたオランダ人の多くがシニア層でしたが、シニア層であっても個人旅行をベースにした日本旅行を想定している人が多い様子でした。
日本ブースを訪れるオランダ人の傾向としては、「既に訪日旅行をして気に入ったので、再訪する時の為に新しい情報を仕入れたい」「訪日旅行の具体的な計画があり、ルートや訪問地を検討する為に情報を収集している」といった明確な目的を持った人が多くみられました。
出展旅行会社の担当者によると、他のヨーロッパの国に比べ、オランダ人はあまり細かいスケジュール確定や事前予約などはせず、大まかなルートだけを決めて、現地に行ってから予定を調整していくという旅行スタイルが多いとのことでした。
オランダ市場では民泊や農村訪問など、“日本ならでは”の体験へのニーズが高い
オランダ人の訪日旅行の特徴として、豪華さよりも体験を重視するということが挙げられます。
オランダ人の旅行期間は3〜4週間と長めですが、その分1日辺りに使うことのできる予算は限られています。そのため、宿泊はビジネスホテルのような簡素なところでも構わないという人が多いようです。また、旅行先で大量に買い物をするというオランダ人も、あまり見かけません。ラグジュアリーさを求めない代わりにオランダ人が重視するのは、日本ならではの体験です。
旅行会社の担当者によると、高野山での宿坊体験、熊野古道や屋久島でのトレッキング、嬬恋でのアウトドア体験などの人気が高いそうです。また、日本人宅への民泊や、農村への訪問など、素の日本の姿が見られる滞在を希望するオランダ人も多いとのことでした。
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一方、訪日旅行の課題は、「アジア旅行」という捉え方で旅行先を検討する場合、オランダ人にとっての比較対象はタイやベトナムになるため、「訪日旅行は高い」と敬遠されがちという点でした。この課題を克服するためには、オランダ人が重視する体験型観光の質と量をさらに充実させ、日本ならではの体験の価値をしっかりと発信していくことが重要だと考えられます。
まとめ:オランダ人旅行者にとって、日本への入り口は人によって違うことに留意
今回の旅行見本市で改めて実感したことは、オランダでは「日本」への入り口が一人ひとり違うということです。
日本の食べ物やアニメ、化粧品などが大きな存在感を放っている国と違い、オランダには日本に関する情報があまり多くありません。
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そのため、オランダ人が日本に興味を持つきっかけも、人によって全く異なってきます。たとえば「Instagramで見た金沢の21世紀美術館に行きたい」「スキーの仲間内で、北海道のスキー場の評判が高い」「日本に旅行した友人が、四国の農村が素晴らしいと言っていたので是非行きたい」など、それぞれ全く異なる入り口から、訪日旅行を検討し始めています。
オランダのように日本に関する情報が多くない国は、先入観にとらわれることなく、一人ひとりの感性で訪日旅行を計画してもらえる可能性を秘めています。このような国に対しては、どのガイドブックにも掲載されるような定番の情報ではなく、特定の人を強く惹きつけるような深みのある情報を発信していくことが重要になるのではないでしょうか。
「Vakantie Beurs」イベント情報
イベント名 | Vakantie Beurs |
---|---|
開催国・都市 | オランダ・ユトレヒト |
開催日 | 2018年01月10日 ~ 2018年01月14日 |
会場 | Jaarbeurs Utrecht |
主催 | Jaarbeurs |
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