観光開発ST-EPとは?世界の貧困を解決する7つの要素と事例紹介、サスティナブルツーリズムとの関係を解説

THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ- アーカイブ無料配信中
完全無料 訪日ラボ会員 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

発展途上国では貧困地域が多く存在しています。こうした問題に対し観光業界も当事者意識を持つことが求められています。

ST-EPとはSustainable Tourism Eliminating Poverty(持続可能な観光業による貧困の撲滅)の頭文字をとったもので、観光業の発展により貧困の軽減を目指すことです

今回はST-EPとはどんなものなのか、効果などを他国の事例を用いて解説します。

訪日ラボのメールマガジン登録はこちら>(無料)

ST-EPとは?

ST-EP(Sustainable Tourism Eliminating Poverty/持続可能な観光業による貧困の撲滅)とは、先進国の観光開発のノウハウを途上国に移転し、観光客の増加と途上国内での旅行支出の増大を図ることで、観光産業を貧困軽減に役立てようとする動きのことです。

これは特に西アジア地区で取り組まれている試みです。観光業の発展により発展途上国が抱える貧困問題を解決するのが目的です。

観光業による貧困の解消は、観光業が世界のGDPに占める割合を伸長させており、現実的な策ととらえられるようになりました。現在世界において、観光業のGDPに占める割合は11%に達し、2億人もの雇用を生み出しています。

発展途上国に限って言えば、観光は年に9.5%の経済成長を見せています。平均的な成長率が4.6%であることと比べれば、いかに観光開発が発展途上国に適したビジネスなのかがわかります(WTOレポート1997年〜2002年より)。

UNWTO(世界観光機関)が2010年までに34カ国で100のST-EPプロジェクトを実施

UNWTO(世界観光機関)は、スペインのマドリードに本部を置く、観光に関する国際機関です。1975年に設立されました。

この組織は2003年12月に国際連合の専門機関となりました。国際機関として貧困問題改善に取り組むために、ST-EPプロジェクトを進めてきました。日本の窓口である駐日事務所本部は奈良県に存在し、その他東京事務所を構えています。

▲UNWTO(世界観光機関)駐日事務所公式サイト
▲UNWTO(世界観光機関)駐日事務所公式サイト

UNWTO世界観光機関)は2004年に韓国ST-EP基金援助機構を立ち上げると、2005年からはカメルーンのエボゴという小さな村で、ツアーガイドを育てるためのトレーニングを開始しました。

こうした活動は徐々に広がり、各国のODA(先進国から発展途上国への政府開発援助)を受けながら、2010年までに34か国で100のプロジェクトが実施されました。

UNWTOによれば、ST-EPは7つの要素によって構成されています。

  1. 貧困層の雇用
  2. 観光業に必要なサービス、ノウハウの提供
  3. 現地で観光客へサービスの提供、お土産販売(非課税)
  4. 小規模コミュニティでの観光企業創業・運営(課税)
  5. 関税などによる収益を分配
  6. 観光企業や観光客への無償サポート
  7. 観光企業の出資により、貧困層に利益を与えるよう他業種を援助する

これ以外にも、地域住民をツアーガイドやホテル従業員として育てるトレーニングや、ものづくりを行う貧困層へ商品の流通援助、さらに自然遺産・文化遺産がある地域に現地の人を参加させて観光開発に取り組むこともプロジェクトの一環として含まれます。

これらのプロジェクトは、地域が主導している観光事業にビジネスと経済的なサービスを提供することに焦点を当てています。

ST-EPの2つの事例とその効果、受け入れをしない地域も

ST-EPは貧困問題にとどまらず、様々な分野において効果を発揮することがあります。

例えばベトナムにあるクァンナム省ナムザン郡では「カトゥー族」と呼ばれる民族による伝統織物や、文化・社会の価値が認められ、経済的な成長をもたらしました。

さらにカトゥー族は、自らの文化が世界に受け入れられたことによって、民族の誇りや自信が高まったといいます。

ここではST-EPによってもたらされる効果や、ST-EPを受け入れない地域について具体的な例を上げてご紹介します。

1. ヨルダン・ハシミテ王国サルト市の事例

ヨルダン・ハシミテ王国は中東にありながらも産油国ではありません。そのため他の産油国に比べ、外貨の獲得に苦しんでいました。

そこで目をつけたのが観光資源です。

旧首都であるサルト市にはローマ時代、十字軍、オスマン時代の文化遺産が豊富にあるだけではなく、死海などの自然景観にも恵まれています。

しかし、観光客の数は2005年から2010年にかけて減少傾向にあり(独立行政法人国際協力機構より)観光業が成功したとは言えませんでした。

サルト市では観光が主要産業と考えられていないため、その未発達ぶりがホテルやレストランに現れており、実際に2009年まではホテル協会やレストラン協会に登録されている施設がありませんでした。

この続きから読める内容

  • 2. 地域発展の手法として取り組んでいるタンザニアの事例
  • ST-EPとサスティナブルツーリズムの関係は?
  • サスティナブルツーリズムの意味・定義
  • 【事例アリ】スローツーリズムとは?インバウンド観光客の細分化するニーズ・地方創生・石川県の取り組みを紹介
  • ST-EPが想定するターゲット層は?
このページの続きを読むには会員登録が必要です
\無料・1分で登録完了/

訪日ラボ無料会員
登録すると…

50,000ページ以上の
会員限定コンテンツが
読み放題

400時間以上の
セミナー動画が
見放題

200レッスン以上の
インバウンド対策の
教科書が学び放題

\無料・1分で登録完了/

今すぐ会員登録する
完全無料 訪日ラボ会員 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

プロモーションのご相談や店舗の集客力アップに