タイ人女性が川越を旅する理由とは?インバウンドの埼玉人気を作る4つのキーワード

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埼玉県では、県内の旅行者宿泊予約が伸びています。 旅行に関するオンライン予約を扱うエクスペディアグループが3月に発表した調査結果によれば、外国人観光客の人気も高まっており、2018年の宿泊予約件数は去年と比較して170%成長となっています。

特に川越市を訪れる外国人観光客は、前年比42%と大幅に増加しており、川越市の過去最多記録を更新しました。

各都道府県でインバウンドの需要は高まっていますが、埼玉県の数字はひときわ目立っています。外国人観光客をとりこにするエッセンスを探りました。

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埼玉は観光庁の政策に選定されていた

2012年、観光庁は「訪日外国人旅行者の受入環境整備事業の地方拠点」を選定しました。選ばれた都道府県の中に埼玉県があります。

これを受けて埼玉県は「埼玉県観光づくり基本計画」を定め、インバウンド事業により力を入れるよう提示しました。

埼玉県観光づくり基本計画は、2016年から5ヶ年計画とされています。2020年までの5年間で、3つの分野にフォーカスをしていくことを計画しています。

積極的にインバウンド政策を行う埼玉県

埼玉県観光づくり基本計画は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでに外国人観光客を年間100万人誘致する目標を立てています。世界盆栽大会 inさいたま(2017年)・ラグビーワールドカップ(2019年)など、世界的なイベントが埼玉県内で行われる予定です。

観光客100万人達成に向けて、他にも細かな目標を設定しています。

  • 観光客の需要と好みを踏まえた資源のブラッシュアップ
  • 埼玉観光の魅力を海外に協力にアピールする
  • 観光施設等の受け入れ態勢の整備
  • 県内外の自治体や民間事業との連携したプロモーションの展開

誘致に向け、世界に対して強烈なアピールをしています。大規模なイベントの開催という機会を最大限生かそうという、集客にかける意気込みがうかがえます。

しかし、ひとたびイベントの開催が終了すると、その後観光施設に転換できない施設がたくさん残ってしまうということが、これまで世界各国で起こってきました。

こうした点から考えると、訪日外国人のニーズをしっかり押さえた施策を展開し、彼らに刺さる独自の魅力を届けられている埼玉県は、長い目で見て集客力に優れていると言えそうです。

外国人観光客の埼玉人気には4つのキーワード

訪日外国人を誘致している自治体は数多くありますが、埼玉県は特に急増しています。細かなターゲット設定と仕組みが影響していると言えます。

ターゲット層を見極める:鉄道会社と連携したプロモーション活動

埼玉県でインバウンド事業に力を入れているのは、自治体だけではありません。鉄道会社も埼玉県の大規模なイベントに一緒に取り組んでいます。埼玉県の観光地には、東京から電車を利用して観光に流れてくる外国人も多いため、鉄道会社の取り組みが集客に効果を発揮しています。

埼玉県の訪日外国人の国籍は、台湾が40%、タイ15%、香港10%、中国6%の割合です。アジア圏観光客がイメージする古風な日本をその魅力の中心に据えて訴求していることが理由の一つとなっています。埼玉県に存在する観光資源は、実は江戸時代のものが多く、外国人がイメージしやすい日本が演出できます。

台湾とタイでも、自撮りやフォトジェニックな写真が若者の間で流行しています。有名人やメディアに影響されやすい旅行者も多く、SNSで話題となった旅行先に行きたいと思う人も多いそうです。埼玉県は鉄道各社と一緒に、こうした"映える"スポットの存在を宣伝しています。

観光資源:江戸時代の城下町

埼玉県川越市は、江戸時代に北方の要である川越城の城下町として栄えていました。明治の川越大火以降、土蔵造りの蔵が立ち、今も蔵造りの街並みが残っています。ノスタルジーな雰囲気が残る一番商店街周辺は、京都や浅草のような人力車や着物が行き交う地区です。

また、和装用のアクセサリーショップやレンタル着物店も軒を連ねています。外国人受けを意識して、はっきりとした柄の着物を取り入れている店舗もあります。江戸時代にタイムスリップしたような雰囲気と、着物を着たり写真を撮影しながらその場を楽しむことができます。

移動手段を整備:インバウンドパスなどの割引乗車券

東武鉄道は、外国人観光客用の乗車券を発売しています。埼玉県の割引乗車券だけではなく、飲食店や土産物店で利用できる割引クーポンもつくお得な乗車券です。

都心からアクセスしやすいため、ニーズがあります。また、主要の観光地も離れ過ぎずコンパクトにまとめられているため、観光や宿泊に適しています。

当初は、国内観光客向けに販売していましたが、累計販売枚数のうち約43%が訪日外国人により購入されていた事が分かりました。そこで、ターゲットを国外にシフトして販売を始めました。同時に、西武グループのホテルでも販売を開始し、売上を伸ばしています。台湾に支店があるため、アジア圏の販路にも繋がっています。

環境整備:多様な外国人に対応

埼玉県では、この部分に着目し「指さしコミュニケーションシート」を利用した案内を行なっています。このシートは、書かれているフレーズや数字を指さすだけで、本人の意思をスムーズに相手にできるツールです。アジア圏(中国語・韓国語)を中心に、英語にも対応しています。

また、埼玉県では地元商店街に向けて無料英会話教室も開いています。アジア圏の訪日観光客は、話しかけられてようやく“外国人”である事が分かるほど外見が似ています。見た目だけで判断せず相手に分かる言語でのサービス提供を心がけるなど、外国人観光客に滞在しやすさを感じ取ってもらえるような心遣いを周知しています。こうした配慮も、リピーター獲得に繋がっていると考えられます。

情緒あふれる日本を外国人向けに提供している埼玉

埼玉県の宿泊予約は、まぐれあたりに増えた訳ではありません。2020年を見据え、ターゲットを精査し、継続的にプロモーション施策を行うことで、認知度の向上に努めているからこそ、このような結果を手に入れたと言えるでしょう。

プロモーションにより認知を高めるだけでなく、実際の訪日観光客が滞在を目いっぱい漫喫できるよう、商店街も一体となり多言語対応に努めたり、デジタル化を推し進めています。こうした観光客目線の細かな配慮があるからこそ、日帰りの観光だけではなく、宿泊にもつながります。

地方へのインバウンド集客にはまだまだ伸びしろがあります。埼玉県の先進的で長期的な取り組みが、インバウンドから発生する地方創生の1つのモデルケースになるのではないでしょうか。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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