インバウンド対策として注目されているキャッシュレス決済への対応。クレジットカードをはじめ、モバイル決済やQRコード決済など、キャッシュレスの手段も多様化しています。
この記事では京都市観光協会のキャッシュレス決済実態調査の結果をふまえ、導入促進を目指す背景やメリット、具体的な効果についてご紹介します。
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キャッシュレス対応とインバウンドの関係をおさらい
日本でも「PayPay」「LINE Pay」などが注目を集めていますが、2016年時点での国内キャッシュレス決済比率は19.8%でした。世界に目を向けると、韓国96.4%、中国60%、アメリカ46.0%、オーストラリア59.1%(中国のみ2015年時点のデータ)など、日本に比べてはるかに普及が進んでいることがうかがえます。
日本を訪れたインバウンド客の消費行動を促進するうえでも、彼らがストレスなくショッピングや飲食店を利用できるよう、キャッシュレス決済対応の整備は急務といえます。
訪日外国人旅行消費額を2020年までに8兆円、2030年には15兆円を目指す政府目標の達成には、キャッシュレス決済の普及が必要不可欠です。
京都市観光協会会員、キャッシュレス導入率8割超え
人気観光地を中心にキャッシュレス化を急ピッチで進めている日本ですが、一大観光地・京都での対応はどうでしょうか。
京都市観光協会によると、協会会員で「キャッシュレス決済を導入している」と回答した店舗の割合は83.8%にものぼりました。さらに2022年には88.2%に達する見込みとのことで、キャッシュレス決済に対する意識の高さがうかがえます。
特に導入率が高いのが宿泊施設(93.1%)、飲食店(90.8%)です。一方で文化・観光施設は63.5%と、分野により導入率には差があるのも現状です。
導入率の推移からも、京都市観光協会会員のキャッシュレス決済に向けた姿勢が示されています。
5年前から3年前までの2年間は7.0%増にとどまっていましたが、直近3年間では29.5%も増加しました。キャッシュレス化がやや遅れている文化・観光施設においても、導入済みの施設は直近3年間で46.4%も増加しており、今後もさらなる導入店舗数アップが期待できるでしょう。
約3割の店舗がキャッシュレス決済導入後、売上・収入が増加
京都市観光協会会員のキャッシュレス決済実態調査では、導入した店舗の33.4%は売上や収入が増加したことが発表されています。
特に飲食店は47.4%、土産店では45.6%と高い傾向が見受けられます。要因として、手持ちの現金額に関わらず購入できることによる客単価の増加と、キャッシュレス決済が浸透しているインバウンド客の集客拡大などが挙げられます。
キャッシュレス決済を導入している店舗の決済手段は、クレジットカードが最も多く97.8%、続いて中国で広く使われている銀聯カードが68.8%、電子マネーが39.1%、中国系のQRコードが27.7%、国内系のQRコードが17.4%となりました。
また49.1%の店舗が決済手段の拡充を検討しており、導入を検討している決済手段はQRコードがトップです。具体的には中国で浸透しているAlipayやWeChat PayなどのQRコード決済サービスの需要が高い傾向にあります。
まとめ:インバウンドのキャッシュレス対応拡大が顕著に
日本の有名観光地・京都では、インバウンドのキャッシュレス対応の拡大が顕著ということが明らかになりました。実際に、キャッシュレス決済の導入により売上・収入が増加している例もありました。
2019年9月には、大手カード会社のアメリカン・エキスプレスとJCBがキャッシュレス決済促進で地元店舗を応援する「ショップローカル」の取り組みを進めていくことを発表しています。
中小の店舗や商店街での買い物を通じて地域活性化を促すというもので、京都の約1,400店舗が参加しました。10月末まで行われたキャンペーンでは、参加している国内1万4,500店舗で両社のクレジットカードまたは電子マネー「QUICPay」で1,000円以上の買い物した人を対象にプレゼントを提供する施策が展開されました。
今後も訪日外国人旅行消費額の政府目標達成および利便性向上に向け、京都のみならず日本全国で、さらなるキャッシュレス決済対応の促進が求められるでしょう。
<参照>
・京都市観光協会:京都市観光協会会員におけるキャッシュレス決済実態調査結果について
・JTB INBOUND SOLUTION:インバウンド消費の決済動向は?キャッシュレス対応策を考える
・野村総合研究所:キャッシュレス化推進に向けた国内外の現状認識
・京都新聞:キャッシュレス決済で地元店舗応援 京都1400店舗で取り組み
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