ハチ公やスクランブル交差点など、東京の定番観光地として人気の渋谷では、今とあるカフェがインバウンドの注目を集めています。
わずか5坪のカフェがインバウンドを魅了する理由とは何なのか。今回は、道玄坂にあるインバウンドの客足が絶えない極狭コーヒースタンドの人気の秘密について、解説していきます。
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渋谷・道玄坂にある「外国人が絶えない」極狭カフェ
渋谷の道玄坂にある「ABOUT LIFE COFFEE BREWERS(以下、ALCB)」は、わずか5坪のコーヒースタンドながら、外国人の来店が絶えない極狭カフェとして話題です。外国人ウケするSNS運用の鍵とは?
ALCBに外国人が集まってくるようになった理由の1つが、フラットなコミュニケーションです。
インスタグラムでは海外のフォロワーを増やすために、オーナーと繋がりのあった海外のコーヒーショップと相互フォローをし、お店の投稿にいいね!をするなど、海外との繋がりを大切に積極的にコミュニケーションを取りました。
SNSに投稿する英語は、なるべくフレンドリーでネイティブに近い表現を意識しています。
同社はインスタグラムの分析ツール「インサイト」を使用して、インスタの人気投稿の傾向を独自分析していると言います。こうした分析も踏まえ、ナチュラルさや人が写っている「動きがあり、よりカジュアルな写真」を投稿するといった、オリジナルの方法を確立しました。
また、海外のフォロワーや来客を増やすきっかけとなったのは、「お店の前のベンチに座って写真を撮る」ことが定着したことだといいます。もとはバリスタが定点観測のように毎日同じアングルからとった写真をインスタグラムに投稿していたのが、いつしか撮影スポット化したようです。
気軽に立ち寄れる雰囲気で集客&日本人も再評価「リ・バウンド効果」に発展
フラットかつフレンドリーな姿勢は、SNSだけでなく店頭でも同様です。過剰接客の傾向がある日本の飲食店とは一線を画し、まるで友人とおしゃべりをしているかのような心地よさを心がけています。
外国人が気軽に立ち寄りたくなる雰囲気づくりは、お店のファンを作りやすく、高いレビューの獲得や口コミが広がるきっかけとして有効と言えるでしょう。
ALCBの集客術の1つとして、リ・バウンド効果を意識した日本人へのPRも挙げられます。リ・バウンド効果とは、インバウンド消費の拡大をきっかけに、日本人が日本の観光スポットや店、モノを再評価する動きを指します。
外国人が集まるおしゃれなスポットといった空気感が魅力となり、日本人をも惹きつけ、日本人の集客にも繋がっているとのことです。
リアルを発信!大人気ロボットレストランのSNS活用事例
インバウンド誘客の鍵とされるSNSの運用では、よりリアルな情報を発信することが重要と言われています。
SNSを有効活用し、インバウンド対策を行っているスポットの1つが、新宿・歌舞伎町のショーレストラン「ロボットレストラン」です。月に1万5,000人以上の訪日外国人観光客が訪れ、インバウンドに大人気のレストランとして知られています。
1万件以上のいいねを獲得している公式Facebookやinstagramでは、訪日外国人を視覚的に惹きつける色鮮やかな写真の数々がアップロードされています。動画も頻繁に更新されており、お店の雰囲気が伝わりやすい仕組みも、来店促進に効果的です。
インバウンド誘客において、SNSで店内の様子やお店の日常を発信することが鍵と言えるでしょう。
「欧米人に人気」渋谷の立地も成功要因に
クイックビジョン株式会社の調査によると、渋谷への訪問率は、アジア圏が2〜4割なのに対し、欧米圏は6〜7割にも上っており、渋谷はとりわけ欧米人観光客に人気が高いことが明らかになりました。
なかでも、渋谷スクランブル交差点は、訪日外国人観光客に絶大な人気を誇る観光スポットとされています。
同社が調査・作成した、渋谷スクランブル交差点と2ショットが撮影できる「CROSSING PHOTO」の利用者グループ数のランキングでは、トップ10のうち8か国が欧米圏の国となりました。
国別の利用者の割合は、欧米諸国が約73%となっています。スクランブル交差点が人気の理由は、大勢の人々が四方八方に歩いているにもかかわらず、体を接触することなくスムーズに渡って行く様子が、非常に不思議に映るからのようです。
スクランブル交差点のような、欧米人人気が高いスポットが集まる渋谷の立地の良さも、初めに紹介したALCBにおけるインバウンド誘客の成功要因の1つと言えるでしょう。
また、渋谷で多く見られる欧米人は、世界的にコーヒー消費量が多いとされており、渋谷のコーヒースタンドが外国人行列店になる要因になっていると考えられます。
SNSでの情報発信+立地性考慮で、ターゲット層へアプローチが可能に
カフェなどの飲食店におけるインバウンド戦略では、SNSを通じた「リアルな」情報発信と、来店客が「体験」し、「アウトプット」の動機づけができることこそ、大きな鍵となります。
今回の渋谷の事例のように立地性も活かして、ターゲット層の趣味嗜好をふまえ、商品展開することも重要です。
これら2点を満たせば、店舗の大きさは知名度にリンクしないことが、ALCBの事例からは明らかになったと言えるでしょう。
<参照>
・Forbes JAPAN:わずか5坪の店に外国人が殺到 インバウンド戦略の成功例
・instagram:ABOUT LIFE COFFEE BREWERS
・訪日ラボ:居酒屋・バー・ナイトライフのSNS・ソーシャル活用に関するインバウンド対策事例集
・instagram:robotrestaurant
・PR TIMES:渋谷訪問数「TOP 10」に欧米8カ国がランクイン!インバウンドで賑わう渋谷はどこの国からの旅行者が多いのか、IoTフォトスポットを使って自動集計してみました。
・訪日ラボ:7割超!渋谷は欧米諸国に人気のスポット!「フォトビーズ!」から分かる訪日外国人
・livedoor NEWS:渋谷スクランブル交差点は外国人に人気?
・TRIPGRAPHICS:世界のコーヒー消費量 TOP30
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