日本の流行発信地と言われる「渋谷」は、外国人観光客に人気の観光エリアで、特に「スクランブル交差点」は一気に人々が通行する様子を写真や動画に収めようと世界各国から数多くの観光客がやってきます。
しかし渋谷は、集客力を効果的にインバウンド客の消費につなげられないという課題を抱えているようです。
この記事では、渋谷の訪日外国人観光客の現状と抱える課題、その解決策について解説します。
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渋谷のインバウンド消費が伸びない理由
多くの外国人観光客を集める渋谷ですが、訪問数を上手く消費につなげられていない現状があります。
ここでは、渋谷が抱えるインバウンド誘致の課題について解説していきます。
渋谷は訪日客に人気の観光スポット
渋谷は国内外から、古くから日本の最先端を感じられる、日本の若者カルチャー流行の発信地として知られています。
渋谷のトレンドマークとも言える「スクランブル交差点」は、多い時で一度に3000人が横断する世界でも珍しい光景を見られることから、海外の旅行サイトやガイドブックなどでも必ず紹介されている世界的に有名な日本の観光スポットです。たとえば、SNSなどで検索すると、あらゆる国籍の観光客がスクランブル交差点の写真や動画を投稿している様子がうかがえます。
また、スクランブル交差点以外にも、ファッションや雑貨をはじめとする買い物スポットや渋谷周辺エリアの表参道や青山、原宿、代官山まで足を伸ばして楽しんでいるようです。特に、明治神宮は渋谷から歩いていけるため、日本の伝統文化を感じられるスポットして、訪日外国人観光客を魅了する人気観光地となっています。
また渋谷は、新宿と並び、夜も活気がある街として人気があります。
これまで一般的に知られてきた観光名所の他にも、「渋谷肉横丁」や「元気寿司」なども人気スポットとして訪日外国人観光客から注目を集めています。
渋谷肉横丁とは、焼肉屋牛タンホルモンなどが楽しめる、レトロな雰囲気の名店が20店舗以上並ぶお肉のテーマパークです。訪日外国人観光客の間で「肉料理」が密かにブームとなっているため、ここを目当てに渋谷にやってくる人も数多くいるそうです。
元気寿司は通常の回転寿司とは異なる「自動でお寿司が運ばれるシステム」が珍しいと好評を得ています。
加えて海外発祥のイベントであるハロウィンは、外国人観光客にとっても馴染みあるトピックであるため、この強みを活用したインバウンド市場活性化も見込めます。
渋谷に外国人が集まる3つの理由とインバウンド観光スポット5選
日本の流行の発信地とも言える東京都渋谷。連日たくさんの訪日外国人観光客が訪れています。スクランブル交差点や明治神宮、ファッションや雑貨をはじめとした様々なショッピングスポットなど、訪日外国人観光客にとって魅力的なスポットがたくさんある場所です。それではなぜ渋谷は、訪日外国人観光客から注目されているのでしょうか。その理由は、独自のインバウンド対策を行っているお店などが多数存在しているから。とはいえ、渋谷は知名度が高いため外国人が訪問したいと考えてしまうのでは?という疑問も浮かびますよね。そこ...
消費額は訪問数の割に低い
渋谷は多くの観光スポットを持つにもかかわらず、「訪問」から「消費」に上手くつなげられていないのが現状です。
渋谷区によると訪日外国人観光客のほとんどは交差点の撮影後に渋谷センター街や渋谷公園通りなど町の奥には行かず、すぐに駅へと引き返して次の観光先へと移動していると言います。
訪日外国人観光客は、ただ単にスクランブル交差点を訪れることが主な目的で、撮影が終わり次第、買い物や食事、宿泊などの消費活動は別エリアに移動して楽しんでいることがわかっています。
人気ゆえに不足するインバウンド対策
渋谷は、日本の最先端を感じられる、若者カルチャーの流行発信基地として日本国内のみならず、世界的に知られています。古くから認知度が高かったため、特に集客に工夫を懲らさなくとも自然に多くの観光客を集めてきました。
そのため他の観光スポットと比較して、渋谷は観光に関しての主体的な情報発信をあまり実施してきていません。また、外国人観光客に対しての受け入れ整備も不足しており、数年前まで観光案内所も数カ所のみでした。
その人気ゆえにインバウンド対策の不足が課題として浮上してきた今、渋谷はどのような取り組みをしているのでしょうか。以下で見ていきます。
渋谷パルコ・渋谷スクランブルスクエアOPENが渋谷を変える
2019年11月、渋谷に「渋谷パルコ」「渋谷スクランブルスクエア」の2つの商業施設がOPENしています。
ここでは、これらの商業施設によって渋谷でのインバウンド消費にどんな影響があるのか、詳しく見ていきます。
施設内を歩いて楽しむ「渋谷パルコ」
11月22日に再オープンした「渋谷パルコ」は、来客の3割をインバウンド客として見込み、「日本文化の発信」を目標の一つに掲げています。7階の飲食フロアに外国人が好むようなお寿司や天ぷら、焼肉などの店舗を集結させ、インバウンド集客を狙っています。また、インバウンド対策として多言語の音声認識が可能なインフォメーションシステムを導入し、パスポートを読み取るだけで簡単に免税申請できるシステムも採用されています。
新パルコにはファッションのみならず、芸術やサブカルチャー、テクノロジーなどバライティに富んだ要素が詰め込まれており、幅広い消費者に対応した施設になっています。各フロアのテナントは「婦人服」といったカテゴリーではなく「NEXT TOKYO」などのテーマに沿って集められており、施設内を歩くこと自体が楽しめるようなつくりになっています。
Twitter:新「渋谷パルコ」に関する投稿(https://twitter.com/dkatsura/status/1198441220558618625)
交差点の需要→消費へ転換「渋谷スクランブルスクエア」
渋谷スクランブル交差点を観光コンテンツ化する取り組みが実施され始めており、109MEN’Sの屋上のスペースが展望台として開放されていました。
これに加えて11月1日開業の渋谷スクランブルスクエア東棟の屋上には、屋上展望空間「渋谷スカイ」が設けられています。
交差点を上から見られるという訪日外国人にとってのメリットに加え、施設内でのショッピングや食事につながることが期待されています。
渋谷が抱える観光問題は?
消費額が低いという悩みもありますが、渋谷が抱える問題はそれだけではありません。
以前から訪日外国人の悩みとして、「渋谷駅の複雑さ」がたびたび問題視されてきました。渋谷駅に到着してもなお、なかなか地上に出られず、目的地から一番遠い出口に出てしまって苦労したなどの声が数多くありました。
また、近年では名物イベントとなったハロウィン期間中の治安を不安視する声もあがってくるようになりました。イベントの際に、大勢の人が集まる中で発生する犯罪やトラブルが社会問題として注目され始めています。特に2018年は、軽トラックがひっくり返されたり、痴漢や盗撮の疑いで逮捕される人も出てきていました。
渋谷駅はなぜ人気?”ダンジョン”に対する反応まとめ/世界一難しい路線図の東京でできるインバウンド対策
近年、個人旅行者の割合がますます増加し、自分たちで公共機関を利用しながら自由に旅行するインバウンド客が増えています。日本の電車、駅構内の「複雑さ」は世界的に有名で、「日本旅行中の困まること」として常に上位ランクインし続けています。特に大都市のターミナル駅では、駅構内から外に出られずに困っている外国人旅行者を目にしたことのある人も多いのではないでしょうか。2019年11月1日より、渋谷駅の利便性向上とまちの回遊性の向上を目的に、地下出入口番号の変更と駅構内の誘導案内サインの改善が開始されます...
2019年渋谷ハロウィン「参加100万人・警官100人・予算は1億円以上」海外から見た日本のハロウィンは”暴力的”
10月31日をメインにハロウィンの時期には、渋谷を中心に仮装した人々が集まり、お祭り気分を味わうのが東京の風物詩となっています。近年ではそのお祭り騒ぎの度合いを強め、2019年にはついに車両を転倒させるなど本来の趣旨とは到底関係のない行動まで観察されました。ハロウィン目当ての人出もあいまって、若者の自由さを代表するエリアでもある渋谷の名所でもあるスクランブル交差点には、ピーク時には1日100万人を超える人が集まるとも言われています。2019年、会場となる渋谷区は事前の対策や警備体制の構築な...
観光問題の対策事例:ecbo cloak
渋谷駅の1日の乗降客数は約300万人と言われており、非常に多くの訪日外国人が渋谷を訪れていますが、荷物をロッカーに預けて手ぶらで観光したいという訪日外国人客のニーズに応えきれていません。渋谷駅周辺には、コンロッカーが約1400個と少なく、大型ロッカーは約90個しかないと言われています。
そんななか、西武渋谷店1階案内カウンターで「ecbo cloak」が導入されました。立地もスクランブル交差点を渡ってすぐの場所であるため、コインロッカーに空きがなく困っている訪日外国人から好評のようです。
ecbo cloak(エクボ クローク)とは?シェアリングサービス・荷物と空きスペースをマッチング・注意点・事例3件も紹介
ecbo cloak(エクボ クローク)というサービスが、旅行者の間で話題となっています。様々なイベントや施設、店舗、交通機関と提携し、荷物預かりを通じて旅行者の利便性を高めるサービスです。外国人観光客の数は近年増加の傾向にありますが、海外旅行には大きな荷物がつきものです。荷物の預け先がなく、スーツケースを転がしながら観光している外国人を多く見かけるようになりました。通勤客で混雑している電車やバスではさらに混雑の原因となったり、荷物が邪魔で観光や買い物を控える外国人もいると考えられます。イ...
観光問題を解決し、インバウンド消費UPへ
認知度が高く、世界的にも有名な観光スポットとして知られる「渋谷」ですが、消費額を上げるための仕組みを作っていく必要があります。
新たな商業施設のオープンやスクランブル交差点を真上から見下ろせるロケーションの創出により、消費につながる観光コンテンツが増えてきたと言えるでしょう。
今後はこの観光コンテンツを渋谷全体での集客に活用して、周辺施設での消費活動が活性化されるよう連携し、それをしっかり発信して認知させるように全体で取り組んでいくことが重要になります。
加えて前述のような観光課題を一つずつ解消していくことで、より満足度の高い観光スポットとして認知されるようになるでしょう。
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<参照>
- 渋谷が外国人に人気の3つの理由とインバウンド観光スポット5選 | 魅力・インバウンド対策の事例解説:訪日ラボ
- 2019年渋谷ハロウィン「参加100万人・警官100人・予算は1億円以上」海外から見た日本のハロウィンは”暴力的”:訪日ラボ
- コインロッカーが足りない!西武渋谷店で荷物預かりサービス「ecbo cloak」開始:訪日ラボ
- 【海外の反応】渋谷ハロウィンに外国人「日本は清潔なはずでは?」「治安が悪すぎる」2019年は路上飲酒禁止条例の実効性に疑問の声:訪日ラボ
-
【海外の反応】進化する渋谷駅”ダンジョン”はより複雑に?世界一難しい路線図の東京で、インバウンドが感じること&対応策:訪日ラボ
- 外国人が多いのになぜ? 渋谷区が観光施策に注力する事情:ITmediaビジネスオンライン
- 脱「若者ビル」、渋谷パルコの全方位作戦は功を奏すか:日経ビジネス
- 渋谷観光の新名所誕生! 地上230メートルの屋上展望空間「渋谷スカイ」全貌リポート:シブヤ経済新聞
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今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。
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