JNTOによる、2019年の訪日外客数が発表されました。韓国を除く東アジア、東南アジアで引き続き訪日外客数は順調に増加しており、航空路線の整備など引き続き市場の成長が期待できる状況となっています。
2019年はアジア市場だけでなく、欧米豪市場の動きにも注目が集まりました。ラグビー大国である英国の訪日外客数の前年同月比は、ラグビーワールドカップの開催期間中である9月は84.3%増、10月は85.6%増となっており、大きくその数を伸ばしています
ロンドン〜関西線の就航等による航空座席供給量の増加をはじめ、現役オリンピック選手を起用した東北方面を巡る動画の制作と公開や、富裕層向け旅行会社との商談会など、さまざまな方面から訪日需要の喚起も行われています。
イベントをきっかけに、日本に対する情報が拡散され、また本年は東京オリンピック・パラリンピックの開催もあり、英国における日本への関心も相対的に高まっていると考えられます。
イギリス人にとって、日本滞在はどのような経験になりうるのでしょうか?今回は、日本の英国風パブ「HUB」に対するイギリス人の評価と、人気の秘密に迫ります。
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英国風パブチェーン「HUB」イギリス人の反応は?
「HUB」の店内は、日本では珍しい英国風のパブを再現しています。
外国にある「日本風」居酒屋は、本物を知っている人から見ると違和感を感じることも少なくありませんが、本場イギリス人にはHUBはどう見えているのでしょうか。
HUBとは?「キャッシュ・オン・デリバリー」まで再現
HUBとは、株式会社ハブが経営する日本の英国風パブチェーンです。2017年4月に店舗数が100店を突破し、同年6月末の時点で「HUB」87店に加え、第2のブランドである「82ALE HOUSE」15店を合わせて102店を展開しています。
創業者が1980年に1号店である神戸三宮店を開業したのが始まりで、英国の国内に数万軒あるとされるパブの文化を日本に広めることを同社の使命としています。
お店の内装やメニューはもちろん本場のパブを再現していますが、HUBでは支払い方法にもパブのシステムを採用しています。「キャッシュ・オン・デリバリー」システムと呼ばれるこの支払い方式は、注文と会計が都度レジカウンターで完結するのが特徴です。
在日アメリカ人Youtuberが動画で紹介!イギリス人から厳しいコメントも
英国風パブチェーンであるHUBですが、本場イギリス人からはどう見られているのでしょうか。
在日アメリカ人YoutuberがHUBを紹介した動画には、イギリス人などから厳しいコメントが多数寄せられています。
YouTube: Ericsurf6による投稿
この動画を投稿したのは、カリフォルニア出身日本在住のプロジャグラーで、日本の食べ物や文化を英語で発信している「Ericsurf6」さんです。
動画の内容は、Ericsurf6さんが実際にHUBに行き、ビールやフィッシュアンドチップス、サラダなどいくつかのメニューを注文してレビューをするもので、この動画に対して外国人からのコメントが多数寄せられました。
以下では、イギリス人からと思われるコメントの一部を紹介します。(2019年1月14日 編集部確認、翻訳)
- これは完全に日本人から見たブリティッシュフードだね。一度イギリスに来て本物のフィッシュアンドチップスを食べるべきだよ!
- イギリス人として言わせてもらうと、これは本物のブリティッシュフードとはとてもかけ離れているよ。
しかし、これらのコメントを書いた人は実際にHUBに行ったことはないようです。では、実際にHUBに行ったことがあるイギリス人の感想はどうでしょうか。
トリップアドバイザーにあふれる、イギリス人からの高評価!
訪日外国人に人気の渋谷や新宿、池袋などにあるHUBのトリップアドバイザーのページには、イギリス人からの高評価の口コミも多く見られます。
以下はその一部です。(2019年1月14日 編集部確認、翻訳)
- 表題:完璧なパブ ★★★★
本文:素晴らしい場所。行くのにためらう必要はない。そこには良い時を過ごすために必要なすべてが揃っている。価格は高くすぎず安すぎない!(投稿:2017年11月)
- 表題:東京で最もフレンドリーなバー ★★★★★
本文:東京でいくつかのバーを訪れたが、いつもここに戻ってきた。確かにここは小さくて少し煙たいけれど、客を温かく歓迎する雰囲気とスタッフでそれらの点は緩和できている。スタッフは通常の注文や顧客の好みをスムーズに理解してくれる。訪れてみて、きっと気に入るはず。(投稿:2015年12月)
- 表題:素晴らしい雰囲気の良いパブ ★★★★☆
本文:一番最近の東京への旅行中にHUBには2回訪れた。お店には素敵な雰囲気があり、西洋人と地元の日本人らしき人々が入り混じっていて、とてもフレンドリーだった。スタッフもフレンドリーで話しかけやすかった。(投稿:2016年7月)
- 表題:東京の真ん中にある英国風パブ ★★★★☆
本文:渋谷を訪れると、とても混雑した場所だと感じるでしょう。このお店は、立ち寄って冷たいビールで一休みするのにちょうど良い。スクランブル交差点から少し行ったところにあり、このパブは地下にある。喫煙エリアは隔離されていて、タバコを吸わない人にとっては嬉しい。冷たいビールはパイントで提供されていて、手の届きやすい値段だ。フレンドリーなスタッフに豊富なメニュー。メニューを理解する手間なく、ただ座りたいという西洋人にはぴったりの店だ。ラグビーワールドカップ観戦のために日本を訪れていた私達にとって、スポーツを流しているテレビがあったのも素晴らしかった。(投稿:2019年9月)
- 表題:素敵なパブだが、タバコの煙が玉に傷 ★★★☆☆
本文:16時の開店と同時に私達は入店し、場所をとった。センスの良いビールのセレクトと次のプランを練るためには十分なWi-Fiが提供されていた。HUBチェーンのパブはどこもかなり良い。禁煙エリアがあったのでそこに1時間程いたが、タバコの煙が押し寄せてきたので店を出た。ハイボールバーは数個のドア離れたところにあって素晴らしい。(投稿:2018年2月)
メニューや店内の雰囲気、スタッフに対する高評価が多くみられる一方、タバコの煙が気になるという声もありました。
イギリスでは屋内の喫煙が禁止されており、通常パブでも室内ではタバコを吸えないため、特に非喫煙者の中にはパブ店内でのタバコの煙が気になる人もいるようです。
また、HUB店内のテレビではスポーツを観戦できることもあり、昨年秋のラグビーワールドカップ観戦目的で来日した際に利用したという人もいました。
総じて、実際にHUBを訪れたイギリス人からの評価は高いようです。
欧米の喫煙事情については、以下の記事で取り上げています。
日本はまた欧米に後れを取ったのか?2020年ついにスタート改正健康増進法で「屋内原則禁煙」飲食店にどう影響?理想のターゲット戦略とは
2020年4月より改正健康増進法が全面施行され、喫煙ルールが変わります。海外と日本では喫煙事情も異なるため、インバウンドの利用が見込まれる飲食店などでは、喫煙ルールの適切な周知が必要となると考えられます。今回は、インバウンドへの影響やインバウンド対策として準備すべきことについて、解説していきます。目次2020年4月~「屋内は原則禁煙」吸える場所も明確に定義される施行に向けたスケジュール海外の喫煙事情欧米は日本よりも屋内禁煙が進んでいる屋内は厳しく制限あるも、実は路上喫煙には寛容な欧米諸国飲...
なぜHUBには外国人が集まる?
HUBは外国人に人気があり、日本人以外にも多くの外国人が来店します。
以下では、HUBが外国人からの人気を集める理由について解説します。
気軽に「一杯」飲んで帰れる
HUBはフードを注文せずドリンク1杯だけ注文することも可能なので、気軽に一杯飲んでサッと帰ることができます。外国人の中には仕事終わりに軽く一杯飲み、その後家で家族とゆっくり食事を楽しむというスタイルを好む人が多くいます。
また大人数で来店しても、注文の都度お金を個別で支払うことができるので、会計が楽というメリットもあります。さらにキャッシュ・オン・デリバリーで人件費を抑制できるため、リーズナブルな価格で楽しめるのも人気の理由といえるでしょう。
オーブンでフレンドリーな雰囲気
HUBでは席が決まっていないので、お店で出会った知らない人ともワイワイ話しやすい雰囲気があります。
また、英語メニューや英語を話せる店員がいるなど、日本語が話せなくても安心して楽しむことができる配慮がされています。パブに馴染みのある国からやってきた人にとっては、日本の普通の居酒屋とは違う、母国と似た雰囲気に魅力を感じるのかもしれません。
他の外国人に出会える
外国人が多く来店するHUBでは、外国人が入りやすくさらに外国人が集まるという好循環が生まれています。
同郷の外国人同士で盛り上がったり、観光客の情報交換の場としても活躍しています。
HUBチェーン成功の決め手は「手軽さ」
HUBが再現するイギリスの「パブ」文化は、もともと日本では馴染みの薄いものでしたが、現在では全国で100店舗以上を構えるまでに成功しています。
以下では、HUBチェーンの成功の理由について解説します。
オープン当初は苦戦
1980年に1号店の神戸三宮店を開業したHUBは、オープン当初は話題にはなったものの、当時の日本では自分でお酒を運ぶ「キャッシュ・オン・デリバリー」が普及していなかったため、面倒がられてしまい何年も苦戦が続きました。
また、お酒を飲ませる大衆業態にも関わらず、軽食以外の食事メニューが充実していないことも顧客離れの原因となっていました。
徐々にパブスタイルが受け入れられるように
創業者の中内氏は、居酒屋以外の「日本にはない新しいアルコールの文化を根付かせる」ことを説いており、苦戦が続いていても本場英国のパブのようなドリンク主体の形態を貫きました。
最初こそ伸び悩んだものの、HUBの新しいパブ文化は徐々に顧客に受け入れられて業績を伸ばしていきました。ドリンク主体のメニュー展開も功を成し、ドリンクとフードの売上高比率は8:2と圧倒的にドリンクのほうが高くなっています。
また、日本のビールが苦手な人でも飲みやすいエールビールやカクテルのメニューを豊富に用意することで、女性客を増やすことにも成功しました。
若者層の「ちょい飲み需要」にマッチ
若者がアルコール離れしていると言われる昨今、苦戦する居酒屋やビアホールなどが多い中で、HUBは20~30代前半の若者を中心に順調に顧客を取り込んでいます。
その理由は、HUBのビジネススタイルが若者層の「ちょい飲み需要」にマッチしているからです。
低価格が魅力のHUBでは、国産生ビール(400円~)、ハブエール(510円~)など、ワンコインから飲めるビールがそろっています。さらに、カクテルのメイン商品であるジントニックも400円で飲むことができ、おつまみも200~500円程で選ぶことができます。
このようにHUBの低価格のメニューが豊富であり、サッと一杯飲んで帰れるスタイルが最近の若者のニーズに合っているようです。
HUBは本場イギリス人からも高評価!外国人・日本人両方から人気の秘密はその手軽さ
HUBは英国風パブチェーンとして、イギリスのパブ文化を再現しており、実際に訪れた本場イギリス人からの口コミも高評価です。
外国人はもちろん、手軽に豊富なドリンクをリーズナブルに楽しめるとあって若者世代を中心とした「ちょい飲み需要」にもマッチし、日本人からの人気も集めています。
今年の夏に控える東京オリンピックの開催などによる訪日外国人の増加に伴い、今後HUBチェーンはさらに盛り上がりを見せるかもしれません。
<参照>
https://www.sankeibiz.jp/business/news/170730/bsd1707301313001-n1.htm
https://news.livedoor.com/article/detail/14232951/
https://www.pub-hub.com/index.php/menu/lists/HUB/3/26
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