中国IT企業の京东(ジンドン/ピンイン表記:jingdong)は、アリババグループのECサイトに次ぐ、中国国内第2位の総合ECサイト「京东商城(JD.com)」を運営しています。
2017年度の営業利益は3,643億元(約6兆2,591億円)、純利益は50億元(約860億円)を記録し、今後も他社との業務提携や人工知能(AI)技術開発でさらに規模が拡大されていくことが見込まれる、いま勢いのある企業です。
本記事では京东(ジンドン)が運営するECサイトの特徴と日本企業はどのように関わっているのかを解説していきます。
インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)
京东(ジンドン)とは?
「京东」はジンドンと読み、劉強東(リウ・チアンドン)氏が設立した中国の大手総合ECサイト運営会社です。
「京东(ジンドン)」が運営するECサイトはアリババグループのECサイトに次ぐ中国第2位のシェアを持ち、独自の流通ネットワークを駆使して迅速な商品配送やサービスを提供しています。
京东(ジンドン)は、アメリカ合衆国の世界最大の中小企業やベンチャー企業向けの株式市場であるNASDAQ(National Association of Securities Dealers Automated Quotations)に上場しています。
2015年頃から日本企業の中国EC市場の参入の支援も積極的に取り組んでいる、日本企業にとっても注目の中国企業です。
取り扱っている商品は、家電、デジタル通信、コンピュータ、家具、家庭雑貨、衣類、書籍、食品、旅行など多岐にわたり、2014年にはBtoC市場の49%以上を占めるようになりました。
商品によっては、中国から日本へ配送可能なものもあります。
「京东」の読み方
「京东」は「ジンドン/JingDong」 と読み、中国の大手総合ECサイトを運営する会社です。
英字での会社名はJD.comであり、ECサービスである「京东商城」の英語名称も同じくJD.comです。
京东(ジンドン)は中国でECプラットフォームを運営する大手企業
京东(ジンドン)が運営するECサイトは大きく分けて2つあり、中国国内製品を取り扱った「京东商城(JD.com)」と海外製品を取り扱った「京东全球購(JD Worldwide)」があります。
元々「京东(ジンドン)」は1998年に設立した電子機器販売会社でしたが、2004年に実店舗を全て閉鎖し総合ECサイトとなりました。前身が電子機器販売会社であったため、特に電化製品が充実しており、アフターケアサービスも良いと中国国内で評判が高いECサイトです。
さらに、独自の物流ネットワークも持っており、中国国内に約6,900ヶ所の配達センターと約84,000人の配達員を抱えています。そのため、主要都市では商品の当日配送サービスの提供が可能となっています。
また、自社の海外購買チームによる偽物商品の厳しい取り締まりで消費者に正規品を届けるシステムが構築されており、他社のECサイトとの差別化を図っています。
タオバオ(淘宝)とは
タオバオ(淘宝網/Taobao)とは、
「京东商城(JD.com)」は中国国内 2位のECサイト
中国国内製品を取り扱った「京东商城(JD.com)」は、アリババグループが運営する「天猫(Tmall)」に次ぐ中国第2位の総合ECサイトです。
「京东商城(JD.com)」は2004年にPC機器専門ECサイトとしてスタートし、徐々に家電製品や携帯電話など取扱商品を増やしていきました。そして現在のような、ありとあらゆるジャンルの商品を取り扱う巨大な総合ECサイトへ成長しました。
2016年時点で「天猫(Tmall)」の中国国内のEC市場でのシェア率は57.7%、続く「京东商城(JD.com)」は25.4%であり、この上位2サイトだけで市場全体の8割を占めています。
「天猫(Tmall)」と「京东商城(JD.com)」の二大サイトが中国BtoC - EC市場を独占していると言えます。
京东商城(JD.com)の特徴
同じ総合ECサイトでも「天猫(Tmall)」と「京东商城(JD.com)」のビジネスモデルには大きな違いがあります。
直販型モデル
「京东商城(JD.com)」は、Amazon(アマゾン)のようなオンライン直販型モデルを採用しています。
一方で「天猫(Tmall)」は、楽天のようなマーケットプレイスを出店者に提供して出店料を徴収するモデルを採用しています。
「京东商城(JD.com)」は中国直販型ECサイトの分野では最大手で、シェア50%以上を占めています。
中国人によるAmazonでの「爆売り」日本市場は楽勝?販売ノウハウを蓄積する中国若者の悩み
Amazon日本で中国人が出品する中国の商品をよく見かけるようになりました。安くて面白そうな製品もあるけれど、クオリティは大丈夫なのかというのが悩ましいところ。ひとつの見分け方としては、中国の淘宝網(タオバオ)での買い物の仕方と同様に、商品の星の数で判定するだけでなく、ネイティブの日本語レビューの中身を見て判定するといったところでしょうか。日本に中国人が出品する商品が多いということは、販売業者も多いことを意味します。また怪しげな日本語の商品や、微妙な商品がよく見つかるということは、それだけ...
自社独自の物流網を持つ
「京東商城(JD.com)」は独自の物流ネットワークを中国全土に持ち、迅速な配送を誇っています。その規模は日本最大の物流ネットワークを誇るヤマト運輸を超え、中国国内に約6,900ヶ所の配達センターと約84,000人の配達員を配備しています。
この大規模な物流ネットワークにより、午前11時までに注文した商品をその日中に配送することを保証する「211限時達」と呼ばれるサービスがあります。
他にも2時間以内に届ける「急速達」、指定の時間に届ける「京準逹」、購買当日に届ける「当日達」、翌日に届ける「次日達」、翌々日に届ける「隔日達」があり、ユーザーのニーズに合った配送を実現しています。
デジタル家電に強く、アフターケアも充実
「京东商城(JD.com)」を運営している「京东(ジンドン)」は、ECサイトの前は電化製品を販売する実店舗でした。実店舗を廃止しEC化した当初は電化製品をメインに扱っていたことから、中国ではデジタル家電に強いECサイトとして認知されています。
2015年までは「京东商城(JD.com)」内での売上はデジタル家電が多く占めていましたが、2016年以降はアパレルや生活用品などにも注力するようになり、その結果、デジタル家電以外の売上の方が多くなりました。
しかし、依然として中国では「デジタル家電を買うなら京东商城(JD.com)」と言われるほどブランドイメージを確立しています。
「京东商城(JD.com)」の人気は電化製品の質や量だけではなく、購入後7日以内なら理由を問わず返品できるサービスや15日以内なら返品・修理が可能なアフターケアの充実にあります。
このおかげで、実物が見れなくてもユーザーは安心してECサイト上で買い物ができるようになっています。
京东商城(JD.com)の現状
中国EC市場では第2位の「京东商城(JD.com)」は今後どのように競合に対抗していくのでしょうか。
様々な企業と業務提携でビジネスを拡大、目指すは打倒アリババ?
「京东(ジンドン)」は最大の競合である「天猫(Tmall)」を運営するアリババグループに対抗するために、様々企業と業務提携を始め売上げアップを目指しています。
2018年には新浪(SINA.COM)やミニブログサイト「新浪微博」を運営するSINAと提携し、互いのユーザーデータ共有を始めました。
また、2016年にはアメリカの大手小売りチェーンWalmart(ウォルマート)と提携し、在庫や顧客データ、プラットフォームが統合されました。現在「京东商城(JD.com)」ユーザーはJD.comプラットフォーム上にあるWalmartストアから直接商品を購入できるようになっています。
さらに2018年には女性向けECの美麗連合グループと合資会社を設立し、WeChat上のECモールをリニューアルすると発表し、「京东(ジンドン)」は外部との業務提携でデータを強化し、プラットフォームの利便性も同時に上げています。
新しい技術開発やAIの導入に非常に積極的
「京东(ジンドン)」のECサイトの物流を支えている京東物流は倉庫、輸送、配送、カスタマーサービス、アフターサービスなどの物流業務以外に「ロジスティクス・クラウド」「ロジスティクス・テクノロジー」「ロジスティクス・データ」などのテクノロジーサービスも提供し、「ボーダーレス・ロジスティクス」を目指しています。それに伴い、人工知能(AI)、ビッグデータなどの技術を研究・応用する機構「X事業部」と「Y事業部」を立ち上げました。
「X事業部」では人工知能(AI)を活かした無人倉庫や無人配送車、ドローンの活用について研究開発しています。この研究開発成果は自社だけではなく、他社にもサービスとして提供。「Y事業部」では、サプライチェーンに人工知能(AI)を活かし、業務の効率化とコストダウンを図っています。
さらに「京东(ジンドン)」は、AI家電の開発にも着手しています。AI家電でユーザーの生活用品などの在庫や消費期限を把握し、タイミングよく商品購入のリマインドをして購入させる仕組みを構築し、ECサイトのさらなる利用に繋げる事が目的です。既にAI冷蔵庫が開発され、この冷蔵庫ではカメラと画像認識でユーザーの冷蔵庫の中身が把握できるようになっています。
また「京东(ジンドン)」では、人工知能(AI)に精通している人材確保を積極的に行っており、2017年にCEOの劉氏は技術革新を進め、「京东(ジンドン)」を技術会社に進化させると発表しました。
京东全球購(JD Worldwide)には「日本館」も、日本企業の越境EC参入をサポ―ト
「京东(ジンドン)」は、2014年に海外製品を取り扱ったECサイト「京东全球購(JD Worldwide)」を開設しました。そして、2015年6月1日には日本製品を専門的に取り扱う「日本館」を「京东全球購(JD Worldwide)」内にオープンしました。
オープン時には、花王、キヤノン、ソニー、資生堂などの有名企業約300社の製品が約5万種類掲載されました。消費者への正規品の確実な提供にこだわる「京东(ジンドン)」は、日本館に出品できるのはブランドの正規代理店のみとしています。
また「京东(ジンドン)」は、日本企業が中国EC市場へ進出を支援するために、フランクジャパン社とヤマトグローバルロジスティクスジャパンと業務提携をしています。そのため、中国に販売チャネルを持っていない日本企業でも安全に越境ECに参入することができます。
中国EC界の代表企業「京东(ジンドン)」独自の物流網や越境EC
「京东(ジンドン)」は独自の流通ネットワークを強みに、今後もEC事業やロジスティクス関連のテクノロジー事業を着実に拡大しています。
日本企業やアメリカ企業とも業務提携をし、人工知能(AI)を始めとした研究開発により、その成長は益々加速していくでしょう。
中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】
短時間でインバウンドが学べる「訪日ラボ トレンドLIVE!」シリーズの第6弾を今月も開催します!訪日ラボとして取材や情報収集を行う中で、「これだけは把握しておきたい」という情報をまとめてお伝えするセミナーとなっています。
今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。
今回もインバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」副編集長が、10〜11月のインバウンドトレンド情報についてお話ししていきますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
詳しくはこちらをご覧ください。
→中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】
【インバウンド情報まとめ 2024年11月前編】UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。
この記事では、主に11月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で:インバウンド情報まとめ【2024年11月前編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」
スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!