観光庁は、海外への修学旅行や研修といった「海外教育旅行」を推進し、高校生を中心に諸外国との相互交流を拡大させるとしています。2020年2月上旬にも官民連携の協議会を設置し、推進に向けた課題の整理や具体策の検討などを行う方針です。
若者の海外離れが話題となっている日本の現状をふまえ、なぜ若者が海外旅行をしないのか、そしてなぜ今日本人の海外旅行が重要なのかについて、解説していきます。
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「中国への修学旅行」が物議をかもす
2020年1月、高校生を中心とする青少年の諸外国との双方向交流を拡大するため、観光庁は海外への修学旅行等の「海外教育旅行」を推進すること、またその対象国として中国を念頭においていることが伝えられました。
全国修学旅行研究協会のまとめによると、2017年度に修学旅行で海外を訪れた生徒は、全国で合計895校、約15万6,400人となっています。訪問先は台湾が最も多く、シンガポール、オーストラリアが続く結果となりました。
高校生の海外修学旅行は年々増加傾向にあるなか、中国への訪問数は以前より減少しているのが現状です。2007年度は日本から中国に延べ140校約1万6,500人が訪問しましたが、2017年度には29校約3,300人にまで落ち込んでいます。
一方で、近年の中国から日本への修学旅行生徒数は緩やかに増加しており、2018年度には前年比約2.4倍の延べ約1万7,800人が訪れました。日中間で数に開きが生じていることから、中国側は双方の交流拡大を日本政府に繰り返し要求してきているそうです。
「海外教育旅行」の推進にあたっては、主な対象国として中国を検討しており、これについて批判的な見方をする人もいるようです。なかには「海外への教育旅行を推進するにしても、親日国を重視してほしい」といった声も寄せられています。
ただし、「若い世代の交流が将来的に諸外国からの訪日旅行の拡大につながる」と期待する観光庁の考えに基づくのならば、むしろ親日的でない国や地域との交流こそ重要であると考えられるでしょう。
日本の若者は海外に興味がない?
観光庁が発表した、2019年1月の「若者アウトバウンド推進実行会議」の資料では、2000年までは毎年400万人を超えていた日本の20代の出国者数が、2017年は305万人に留まったことが明らかになりました。
さらに20代のパスポートの新規取得率が10%未満であることも、海外旅行への意欲の低さがうかがえます。取得率は1995年に9.5%、2003年以降は5〜6%前後、2017年に若干上昇し6.9%となったものの、依然として取得率の低迷は顕著です。
若者の「内向き志向」が指摘される日本では、政府がパスポート取得費用の補助などの支援策を実施し、2020年の20代の出国者数を350万人に増やすことを目標としていますが、達成は厳しいとの見方が出ています。
旅行費用に対して収入が足りない
日本旅行業協会は「JATA経営フォーラム2018」において、旅行会社が若者に対し提供すべき旅行商品やサービスについて議論する分科会を開催しました。
分科会では、大学・専門学生が、若者の海外旅行を促進する上で重要なターゲットになるとの指摘がされています。学生時代に海外旅行に行くかどうかが、その後の海外旅行頻度に影響するとしました。
しかし現状として、学生が旅行に行きやすい長期休暇の旅行代金が高いことが、若者の海外離れに影響をおよぼしていると問題視しました。円安の長期化により現地での宿泊費や飲食代がかさむようになったことも、理由の1つといえるでしょう。
実際に東洋大学で大学2年生と3年生を対象に実施したアンケートでは、海外旅行に行けない1番の理由として「お金がない」が全体の63.7%にものぼっています。
社会人になってからも、非正規労働者の増加から雇用が安定せず給料が上がらない、ボーナスが支給されないなど、収入が十分でないことを理由に、海外旅行を敬遠する若者が増えたと考えられます。
地方空港に海外への直行便がない
日本の若者の海外旅行離れのもう1つの理由として、地方空港からの直行便がないことが挙げられます。国際線を利用するために新幹線や国内線を使い、成田空港や羽田空港まで向かうなど、時間もお金もかかるのが現状です。
さらに社会人は長期休暇のタイミングでなければまとまった休みも取りづらく、地方在住の若者にとって海外旅行はよりハードルの高いものになっているといえるでしょう。
この続きから読める内容
- なぜ日本人の海外旅行が重要なのか?
- インバウンドを呼ぶために重要な航空路線の拡大
- まとめ
- JNTO発表、2019年の訪日外国人数は過去最高 !ラグビーなどの影響:一方韓国市場は減速【グラフで見るインバウンド】
- 日本の魅力ある商品を在日外国人インフルエンサーとつなげるマッチングプラットフォーム「trial JAPAN」
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