東京オリンピックに向けて、事前キャンプの誘致等を通じ交流を深めるホストタウン事業として登録されている自治体は全国にあります。
しかし、今年1月から流行している新型コロナウイルスの影響は、ホストタウン事業にも影を落としています。
この記事では山形県のホストタウン事業への取り組みと、現時点で決定している新型コロナウイルスに対する対応も含め紹介します。
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山形県内のホストタウンは15ヶ所
山形県の中でホストタウン登録されている自治体は15件です。
ここでは、それらを表にまとめて紹介します。
そもそもホストタウンとは
2020年の東京パラリンピック、パラリンピック出場国・地域の人々と、事前キャンプの誘致等を通じ、人的・経済的・文化的な相互交流を図る自治体のことです。相手国・地域との交流を通じて自治体の活性化を目指します。
自治体がホストタウンになるには、相手国・地域の自治体と協議をし、
- 大会参加者との交流
- 大会参加国の方々との交流
- 日本人オリンピック・パラリンピック出場選手との交流
を含む交流計画を作成し、内閣官房オリパラ事務局に提出します。
申請内容が認められれば、ホストタウンとしての登録が完了します。ホストタウンに認定されることで、自治体は交流事業にかかる1/2の費用の支援を受けることができます。
ホストタウンって何する?東京オリンピック・パラリンピックに向けた各自治体の取り組みとは
ホストタウンとは、東京オリンピック・パラリンピック通じてスポーツ立国、グローバル化の推進、地域の活性化、観光振興などに資する観点から、参加国・地域との人的・経済的・文化的な相互交流をはかる地方公共団体のことを指します。オリンピックはスポーツ競技が大きな目玉となっていますが、本来は「平和の祭典」といわれ、スポーツを通じて国を超え平和を体現するお祭りです。それを成功させるために一役買っているのがホストタウンであり、地域の活性化やグローバル化の推進のため、ホストタウンの全国的な広がりを目指してい...
山形県のホストタウンを紹介
山形県は現在のところ、15の自治体(1県12市2町)がホストタウン登録しています。この数は東北でトップとなります。
山形県自治体 | 相手国 |
上山市 |
ポーランド |
山形市 |
台湾、タイ王国、サモア |
鶴岡市 |
ドイツ連邦共和国 |
鶴岡市・西川町 |
モルドバ共和国 |
天童市・山形県 |
トルクメニスタン |
村山市 |
ブルガリア共和国 |
長井市 |
タンザニア連合共和国 リヒテンシュタイン公国 |
酒田市 |
ニュージーランド |
寒河江市・山形県 |
大韓民国 |
東根市 |
ドイツ連邦共和国 |
米沢市 |
中華人民共和国香港特別行政区 |
南陽市 |
バルバドス |
白鷹町 |
中華人民共和国 |
新庄市 |
台湾 |
山形県のホストタウンの取り組みを紹介
上記の15自治体が実施するホストタウン事業のうち、長井市と村山市が個別で行っている取り組みと、15の自治体全体で行っている取り組みを紹介します。
ホストタウンの取り組みの中には新型コロナウイルス流行の影響により、取り止めざるをえなくなってしまったものもあります。現時点で決定している新型コロナウイルスへの対応を含め、紹介します。
長井市:市内中学生がタンザニアを訪問
長井市は2016年12月にタンザニアのホストタウンとして登録を受け、タンザニアとの交流を続けています。2019年7月から8月には、長井市長を団長とし、市内中学生2人と市民研修員3人を含む訪問団13人がタンザニアを訪れました。
訪問団は現地の柔道練習や小学校の授業風景の視察、長井市の特産品であるけん玉を用いた長井市紹介を行いました。中学生は現地の青少年チームと一緒に野球を楽しみ、交流を深めました。
村山市:食品大手の明治と協力し事前キャンプ開催
村山市は、ホストタウンとして特に精力的な取り組みを行っていることで知られています。
2017年6月、村山氏はブルガリアのホストタウンとして、ブルガリア代表選手とスタッフ26人を招き、初めて新体操の事前キャンプを実施しました。
このキャンプでは明治がパートナー企業となり、その代表商品の明治ブルガリアヨーグルトを毎日提供することで、栄養面から選手を支えました。また、ブルガリアに知見のある同社が、ブルガリアの食文化に関するセミナーを開き、市民はブルガリアについて理解を深めました。村山市は、明治との関係性も、ホストタウン事業のレガシー(遺産)となるように深めていきたいと考えています。
また、選手たちも、市の花でありブリガリア国花でもあるバラを市内バラ園で鑑賞するといった交流活動に参加し、新体操を披露した公開演技会では市内外から約3,500人が集まりました。
2017年に続き、2018年、2019年も村山市はブルガリア代表のキャンプ誘致をしており、ブルガリアとの繋がりを強めています。
しかし、2019年4月に予定していたブルガリア現地への市民と職員の派遣は、新型コロナウイルスの影響を考慮した上で取りやめを決定しました。
イオンモール天童で山形スポーツフェスタ 2019開催
2019年9月、山形県でホストタウン事業を行っている山形県と14市町村が集合し、イオンモール天童にて「ホストタウン大集合!山形スポーツフェスタ2019」を開催しました。
このスポーツフェスタでは、スポーツ体験、特産物の販売、スタンプラリー、ステージイベント、ホストタウンゆるキャラ大集合などのイベントを実施し、それぞれの自治体がホストタウン事業をPRしました。
ホストタウンが地域活性化・世代間のつながりに貢献
各自治体がホストタウン事業には、単に相手国・地域との交流深化やスポーツ振興だけでなく、このホストタウン事業を機に地域を活気づけたいという自治体の思いがあります。
地域活性化
ホストタウンになる自治体には、普段は外国人観光客が訪れる機会の少ない自治体もあります。そのような自治体にとってホストタウン事業に取り組むことは、オリンピックを機に日本への観光客増加が見込まれる中、自分の自治体をPRする大きなチャンスです。
相手国との交流が深まれば、日本各地の魅力を世界へ発信することができ、住民が気づかなかった自分の地域のポテンシャルを再発見することも期待できます。
スポーツ振興にとどまらず、地域が活性化していくことで、文化プログラムの活用や、高齢者や障害者にも優しい街づくりなどの機運が高まるきっかけとなるでしょう。
世代間のつながり
若い世代も含めた地域全体でオリンピックに貢献することで、世代間でのつながりの強化が見込めます。
外国からの選手やスタッフのホストとして事業を成功させることができれば貴重な体験となり、グローバル人材の育成にもつながります。
ホストタウンはオリンピック後にも活かされる
山形県のホストタウン事業について実例とともに紹介しました。各自治体は、ホストタウン事業をオリンピックに向けた一時的な事業ではなく、2020年のオリンピック後も残るレガシー(遺産)を創出する重要な機会としてとらえています。
新型コロナウイルスの影響により一部の交流事業は延期や取りやめを余儀なくされていますが、ホストタウンを通じた長期的なつながりは簡単に消えることはないでしょう。
ホストタウン事業は、大会の会場が集中する東京周辺以外でも、オリンピックを地域活性化につなげられる取り組みの一つです。スポーツをはじめとした交流は、オリンピック前や期間中だけでなく、開催後にも施策として利用する価値があるといえるでしょう。
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