2020年3月24日夜、安倍首相と国際オリンピック委員会(IOC)バッハ会長の間で電話会談が開かれ、2020年東京オリンピック、パラリンピックを1年程度延期する方針で一致したことが伝えられました。
新型コロナウイルスの世界的感染拡大は収束が見えず、3月24日時点で合計33万1,129人が感染、1万4,462人の死亡が伝えられています。
こうした状況を受け、両大会はともに延期する方針となりました。
2020年7月17日と8月3日にはそれぞれ、延期された東京オリンピック、パラリンピックの日程が発表されました。
両大会は本来の予定と曜日を合わせて1日前倒しの日程となり、東京オリンピックは2021年7月23日に開会式を迎え8月8日まで、東京パラリンピックは8月24日に開会式を開催し9月5日までの日程で開催されます。
オリンピック、パラリンピックの観戦チケットを入手していたものの、日程の変更により観戦が難しくなり、払い戻しのニーズも生まれています。
世界の頂点が競う国際的祭典とあって、チケット価格が数十万円という場合もあり、払い戻しの可否やその窓口に注目が集まっていました。
チケット販売当初は原則できないとされていたチケット代金の払い戻しですが、前代未聞のオリンピック開催延期とあり、イレギュラーな対応がとられることになりました。
払い戻しは2020年秋以降に開始されることが伝えられています。
東京オリンピック、パラリンピックのチケット払い戻しについて、組織委員の見解や各報道機関の調査を整理しました。
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東京オリンピック・パラリンピック延期/組織委はチケットの取り扱いを案内
東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、2020年3月24日の大会延期の決定を受けて、3月30日、公式ウェブサイトで観戦チケットの取扱いについて以下のように案内しています。
1. すでに購入済のチケットについて
- 原則そのまま使えるよう検討
- 日程変更により来場が困難な場合等では希望者に払い戻し
- 競技スケジュールや会場変更等により観戦チケットの利用が難しい場合には払い戻し
- 6月以降に予定していた観戦チケットの発送はいったんとりやめ
2. 観戦チケットの春期販売
観戦チケットの春期販売は見合わせとなりました。
3. 整理券はがき抽選による先行窓口販売
観戦チケットの窓口販売はいったん見合わせるものの、パラリンピックの整理券はがき抽選の申込みは4月5日の申込期限まで受付を継続しました。
<参照資料>
東京2020オリンピック 公式チケット販売サイト:東京2020大会延期に伴うチケットの取扱いについて
東京オリンピック・パラリンピック競技大会の延期の場合のチケットにかかわる規定は?
2020年3月24日、安倍首相(当時)とIOCバッハ会長は東京オリンピックを2021年の夏までに開催する方向で合意しました。
今後は1年遅れの開催へと向け、さまざまな準備が進められることになりそうです。
延期となった場合のチケットの取り扱いは、チケット購入・利用規約の第38条に記されています。
第38条(セッションの遅延)
3.セッションが中断され、実質的にも完了していないと当法人が判断し、さらに、当初から予定されていた既存のセッションとは異なる新規セッションが設定された場合には、当法人は、当法人の判断により、(1)チケット保有者が元のチケットを使用して新しいセッションを観覧することができる、または(2)新しいセッションのチケットには変更せず、東京2020チケット規約の定めに従ってチケット購入者に対する払戻しを認める、のいずれかの取扱いをいたします。
開催が2021年に延期となったいま、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の発表するように、チケットをそのまま使って観戦するか、払い戻すかのどちらかを選ぶかたちになりそうです。
東京オリンピック・パラリンピック中止ならチケット払い戻し不可の見方も
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の関係者によると、オリンピックやパラリンピックが中止となった場合でも、観戦チケットの払い戻しは実施されない可能性があります。
これは、「不可抗力に起因する損害により開催に至らなかった場合」はチケットの払い戻しを保証しない、との規定に則ったものです。
ネット上の声「購入しないでよかった」
東京オリンピックが中止となった場合、チケットの払い戻しは実施されないという関係者の見解は、インターネット上で大きな波紋を生んでいます。
Twitter上では以下のように、チケットの購入を踏みとどまったユーザーから安堵の声が出ています。
Twitter:東京オリンピックのチケットを購入しなかったことを安堵する投稿(https://twitter.com/borivian/status/1240403525991124992)
一方で、チケットを購入したユーザーの中には、払い戻しが実施されないことを確認した上で購入したユーザーもいます。
万が一オリンピックが中止となった場合には潔く諦める、という声も見受けられました。
Twitter:チケット購入規約の免責条項を知ってチケットを購入した人の投稿(https://twitter.com/marotee/status/1240089441001037824)
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東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は「払い戻し不可」否定
観戦チケットの払い戻しが実施されない件は、一部のメディアによっても大きく報じられました。
一方、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は3月18日、公式サイトにて「規約には『払い戻し不可』との記載はなく、報道は事実とは異なる。」との声明を発表しました。
東京オリンピック公式サイトに掲載されているチケット購入・利用規約には、不可抗力により大会が中止となった場合、チケットの払い戻しは保証しないとの記載があります。
しかし実際のところ、規定上は払い戻しを拒否できるものの、状況により臨機応変に判断されるとの見方もできそうです。
判断左右する「自らの裁量」か「不可抗力」か
東京オリンピックのチケット購入・利用規約を詳しく見てみると、チケットの払い戻しには大会が中止となった原因が「自らの裁量」か「不可抗力」かという点が関係してきます。
大会の中止については、チケット購入・利用規約第39条に以下のような記載があります。
第39条(セッションの中止)
1.当法人は、自らの裁量により、セッションを中止することができます。
また、チケットの払い戻しに関する免責事項については、同規約第45条に以下のような記載があります。
第45条(免責)
4.当法人、公式チケット販売元、会場の保有者および管理者その他本大会の運営に関与する当法人の委託先または本大会関係団体は、その責めに帰すべき事由がある場合を除き、チケット保有者がセッションを観覧する際に生じた損害について一切責任を負いません。例えば、免責される責任には以下に定めるものを含みます。
(3)不可抗力に起因する損害
第39条で述べられている「(主催側の)自らの裁量」により大会が中止された場合、これは第45条で述べられている「(主催者側の)責めに帰すべき事由」に該当するため、チケットは間違いなく払い戻されます。
しかし、新型コロナウイルスの流行や地震、戦争などの不可抗力により大会が中止された場合、これらは第45条で述べられている「(主催者側の)責めに帰すべき事由」に該当しないため、チケット保有者の損害について責任を負わないとされています。
チケットの購入費用はチケット保有者の損害として数えられるため、仮に大会が中止となった場合には、払い戻しが実施されない可能性はあり得るといえるでしょう。
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<参照資料>
東京2020オリンピック 公式チケット販売サイト:東京2020チケット購入・利用規約
東京2020オリンピック競技大会公式ウェブサイト:安倍総理大臣、森会長、バッハ国際オリンピック委員会(IOC)会長との電話会談について
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