中止or延期?東京オリンピックは「また」幻になるのか:過去の五輪中止の歴史と経済損失予測を整理

新型コロナウイルスの流行が影響し、今年夏に開催を予定している東京オリンピックにも中止の噂が流れています。

しかし、もしオリンピックが中止となれば、その前後に見込まれていた様々な業界での経済的成長が阻まれ、多大な損失が発生することは明らかです。

多くの関係者が予定通りの開催へと向けて動いていますが、コロナウイルスの蔓延度によっては最悪の事態も考慮しなければなりません。3月23日には残念ながら、カナダのオリンピック委員会(COC)により、2020年東京オリンピック・パラリンピックに同国の選手団を派遣しないことが表明されました。

近代の夏季オリンピックは現在に至るまで、実は3度の中止を経験しています。今回はこれら3回の「幻のオリンピック」を振り返るとともに、オリンピックが中止や延期となった場合の影響について解説します。

※新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京オリンピック(五輪)・パラリンピックは1年程度の延期が決定しました。詳細な日程、選考基準などは、公式情報が発表され次第、順次更新します。

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2020年東京オリンピックは中止されてしまうのか

2020年東京オリンピックは、7月24日から8月9日の17日間にわたり開催される予定です。また、2020年東京パラリンピックは、直後の8月25日から9月6日の13日間で開催されます。

安倍総理大臣や小池東京都知事など、多くの関係者が予定通りの開催を目指していますが、一方で米国メディアなどからは中止や延期を求める声が上がっています。

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安倍首相「完全な形で実施したい」「延期の判断も行わざるを得ない」「中止は選択肢にない」

安倍首相は、3月16日に開かれたG7の緊急テレビ会議にて「東京オリンピック・パラリンピックを完全な形で開催する」と述べていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて国際オリンピック委員会(IOC)が東京五輪の延期の検討を始めたことについて、3月23日午前には「(大会の)完全な形での実施が困難な場合、延期の判断も行わざるを得ない」と表明しています。

同時に、「中止は選択肢にはない。この点はIOCも同様だと考えている」と述べ、IOCが中止を判断することはないとの認識を示しています。

また、小池東京都知事も、3月12日に開かれた記者会見にて「新型コロナウイルスの影響がないとは言えないが、中止はあり得ない」と述べています。

東京オリンピックの開催を巡っては国際オリンピック委員会(IOC)も「今は抜本的な決定をすべき時ではない」と考えを示しており、現時点では多くの関係者が予定通りの開催に向けた準備をしています。

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米国メディアからは中止・延期すべきとの声も

一方で、米国・ニューヨークタイムズ(The New York Times)は3月18日付で「オリンピックを中止せよ」という記事を掲載しており、そこでは「新型コロナウイルスが世界的に流行している中での開催は無責任だ」という専門家の意見が取り上げられています。

また、同じく米国の媒体であるUSAトゥデイ(USA TODAY)でも、同日、「選手と人々のためにオリンピックは延期すべき」という記事を掲載しています。

IOCが今まで通りの準備をオリンピック出場選手に求めているものの、トレーニング施設が閉鎖されたり選考会が延期されている現状では今まで通りの準備は難しい、という意見を投げかけています。

この他にも、SNSなどにおいても感染拡大を防止するためにオリンピックは中止または延期すべきだとの声が多く見られています。

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過去に中止されたオリンピックを振り返る

近代の夏季オリンピックは、過去3度にわたり中止の憂き目を見ています。3度の大会が中止された原因について解説します。

1. 1916年の第7回ベルリンオリンピック

最初に中止となったのは、1916年の開催が予定されていた第7回ベルリンオリンピックです。

1916年のベルリンは第一次世界大戦の最中にありました。競技場として1913年にはドイツスタジアムが完成し、後の冬季オリンピックとなる冬季競技の開催も決まっていたものの、戦争が激化したことにより中止となっています。

ベルリンでは1936年にオリンピックが開催されています。この大会は、第二次世界大戦前最後の開催でしたが、成功を収めました。

2. 1940年の第12回東京オリンピック

次に中止となったのは、1940年の開催が予定されていた第12回東京オリンピックです。

1940年は皇紀2600年という節目の年でもあり、当時の東京ではオリンピックと併せて万国博覧会の開催も予定されていました。また、有色人種国家で初かつアジアで初のオリンピックということもあり、各界の重鎮が組織委員会の委員を務めるなど、本格的な準備が進められていました。

会場は現在の駒沢オリンピック公園を予定しており、同時に札幌にて第5回札幌冬季オリンピックが開催される予定でした。

しかし、当時は日中戦争の真っただ中で、これにより資材と人材が不足するようになりました。こうした背景から、日本政府は1938年7月15日にオリンピックの開催権を返上しています。また、当時は第二次世界大戦の前夜であり、日中間だけでなく世界各国の間に緊張が走っていたことも、開催中止に影響を与えました。

その後、1964年に開催された第18回東京オリンピックでは、駒沢オリンピック公園に新設された陸上競技場などが競技会場として利用されました。

3. 1944年の第13回ロンドンオリンピック

東京オリンピックからバトンを受け取るはずであった第13回ロンドンオリンピックは、第二次世界大戦の激化により中止となりました。

第14回ロンドンオリンピックは、4年後の1948年に改めて開催され、戦後初のオリンピックとなりました。

中止や延期された場合はどうなる?

近代オリンピックはこれまで3度にわたり中止となっていますが、もし今年の東京オリンピックが中止や延期となった場合は、どのような影響が考えられるのでしょうか。

中止なら日本経済への莫大な影響も

万が一東京オリンピックが中止となった場合、最も懸念されるのは経済への影響です。

東京オリンピックには既にスポンサー料として各企業から3,480億円が投じられているほか、テレビ局の放送権、各施設に関する費用や人件費など、莫大な金額が費やされています。

オリンピックに投じられた金額は合計約2兆7,000億円とも言われており、中止となった場合は国内総生産(GDP)が約1.4%減少するとの試算もされています。

また、中止となった場合でもチケットの購入規約により、すでに購入されたチケットの代金は払い戻されない見通しとなっています。

オリンピックが中止、延期になった場合には、各宿泊施設や交通機関、観光施設なども予定していた収益を失います。多方面に影響が波及することが予想されています。

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延期でも積み重なる課題

延期となった場合、中止よりも全体的な損失は防げるかもしれません。しかし、関係各社はオリンピックに関係したスケジュールを全て調整し直す必要が出てきます。

この場合、延期期間の資金繰りなどを乗り越えられず、立ち行かなくなる企業が出てくる可能性もあります。

これ以外にも、2020と記した各種グッズや印刷物などをどう処理するかという問題も発生します。

そもそも、夏になっても新型コロナウイルスの流行が世界で続いている場合には、その分経済活動の停滞期間も長期化することが予想され、期間を調整したオリンピック開催に向けて乗り越えなければいけない困難は、現在より増えているかもしれません。

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東京オリンピックの予定通り開催は達成されるか

各国は事実上の国境封鎖や市民の移動制限などの措置を発動していますが、新型コロナウイルスの流行はいまだ収束の見通しは立っていない状況です。

人命は最重視すべきものですが、経済活動は健全な社会には欠かせないものです。経済的損失のダメージも最小限にとどめられるような施策や決定が、今後政府や国際機関には求められているといえるでしょう。

東京オリンピックの開催のタイミングや形式によって、今後の事業計画や方針を変更しなければならない企業や組織も少なくありません。

多くの事業者が今、新型コロナウイルスの流行の影響で、厳しい局面に立たされています。機を逃さず適切な決定を下せるよう、情報の選択や真偽の見極めに注意を払いながら、今後の展開を見守っていくべきでしょう。

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<参照>

朝日新聞:首相、東京五輪の延期容認 「中止は選択肢にない」

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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