世界の「巣ごもり消費」ニーズを越境ECで応えるには?導入のメリットと注意事項を解説

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新型コロナウイルスによる外出自粛要請によって、さまざまな業界で大きな影響を受けています。

その中でも外国人が日本にほとんど訪れなくなったことにより、訪日外国人を相手にビジネスをしていた事業者にとっては、これまでのような収入が見込めない状況になっています。

その一方で、自宅で商品を購入したり、動画配信サービスを利用する「巣ごもり消費」のニーズが世界中で増加傾向にあります。

このような状況下で注目されるのが越境ECです。越境ECの導入により、これまで訪日外国人が日本で購入していたものを、ECサイトを通じて自宅からでも購入してもらうことができます。

ここでは、世界に広がる巣ごもり消費を利用して、日本の商品を海外に発信する越境ECについて紹介します。


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コロナ流行による世界の巣ごもり消費

2020年5月現在、新型コロナウイルスの全世界的な流行により、旅行に行くことはもちろん、自由に外出することもままなりません。

そんな中、ECサイトを活用することで、外出せずに買い物を楽しめる「巣ごもり消費」が目立っています。

世界でEC需要増加

外出自粛という状況下において、一般消費者の多くは外に出られない代わりに、ネットで注文し自宅で受け取れるサービスを利用して必要なものを購入する傾向があります。

その結果、世界的に見ても、この「自粛期間」におけるEC需要の拡大が顕著となっています。

具体的な例としては、EC業界最大手のアマゾンではアメリカ国内での人手不足が発生し、新たに10万人を雇用することを発表していることから、事業を拡大する姿勢がうかがえます。

また、イタリアやフランスなど欧州の一部の国においても、一時配送が間に合わないほど多くの注文が集まるなどの事態が発生し、必要品以外の注文を控えるように呼び掛けるほどの事態に陥りました。

日本国内においても、外出自粛の流れからスーパー以外の小売業の売り上げが軒並み下がる中、JCB消費NOWの調査によると2020年3月1~15日の間でEC業界の売り上げは対前年4.1%増という結果がわかりました。

訪日外国人から人気のある商品

インバウンドによる売り上げが落ち込んでいる現状においても、ECサイトを活用して外国人にむけて商品を販売するという方法もあります。

ここでは、越境EC海外の消費者の購入が期待できる商品について触れていきます。

日本のお菓子

農林水産省のデータによると、2018の訪日外国人観光客のお土産を含む食料品の買い物代は3,075億円、その内、菓子類の買い物代は1,639億円で食料品の中の10%を占めていました。日本からのお土産として菓子類が人気であることが分かります。

特に人気な商品は「キットカット 抹茶味」「ハイチュー」「ブラックサンダー」などです。

海外では子供向けのお菓子が中心に販売されている一方で、日本では大人をターゲットにした商品ラインナップも多いとされます。

また、特に抹茶味の商品は「日本らしさ」を連想されるので、お土産にも喜ばれることが多いようです。

抹茶の独特の苦みは海外ではあまり見つけられないので、キットカットだけではなく、そのほかの抹茶味のお菓子も人気があります。

確実に変わった日本のお菓子評、インバウンド戦略にどう活かす?「サロン・デュ・ショコラ2019」レポート

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化粧品

お菓子のほか、訪日外国人に人気のお土産には、化粧品があります。

特に、日本のドラッグストアは医療用品以外の商品も販売されており、訪日外国人観光客が多く訪れます。

そんな昨今のドラッグストアでは、お菓子を含む食料品を安価で販売しているだけでなく、化粧品も豊富に揃っています。

True Dataによると、2019年8月のドラッグストアにおいて、訪日外国人の売上個数TOP30のうちの半数が化粧品カテゴリーの商品であることが分かりました。そのため化粧品はかなり人気がある商品であるといえます。

特に注目なのが、「美容パック」で、売上個数TOP30にランクインする商品も増加しています。外国人からは日本の化粧品の安全性の高さが評価されており、メイドインジャパンの商品がお土産品としてよく選ばれる傾向があります。

これらのことから、海外に向けた化粧品の販売にも期待できます。

〈ドラッグストア2019年8月のインバウンド消費調査〉 訪日客数減少の8月、DgSのインバウンド消費も約14%減少 ~さらに存在感高まる化粧品 食品の成分を配合したコスメが人気~

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越境ECのメリットと注意事項

ここまで言及した通り、新型コロナウイルスの影響でインバウンド客が激減した状況であっても、ECサイト経由であれば外国人を対象に商品を販売することができます。ただし、オンラインでの商品販売には注意すべき点がいくつかあります。

ここでは、越境ECを始めるにあたってメリットと注意事項を紹介します。

越境ECのメリット

越境ECとは、オンラインで外国に向けて商品を販売する方法を指します。

訪日外国人のように国内の実店舗に直接足を運んでくれる顧客に対する販売とは異なり、家にいる消費者に商品情報を提供、販売することができます。

この越境ECを取り入れるメリットは、海外のインターネットユーザーを取り込むことができる点です。

少子高齢化にともない、縮小傾向にある日本国内の市場と異なり、中国や東南アジアといった海外市場では、消費財や家具や車など様々なジャンルの物を対象に、消費の拡大が起こっています。

また、2015年の英国のExpert Market社の調査によると、欧米の多くの国では日本以上にネットショッピングで消費する金額が大きいことがわかります。

海外の実店舗を持つには様々な準備や資金が必要になりますが、それに比べて越境ECは低コストで着手できることもメリットの一つです。

配送料・手数料

日本国内のみでECを行う場合に比べて、海外への配送は費用がかかります。そのため、事前に送料を消費者と販売者、どちらが負担するかを決めておく必要があります。

消費者が送料を負担する場合、配送料を含めると結果的にユーザーの支払い額は大きくなります。こうした前提を考えると、「安さ」を売りにしたビジネスは成立しづらい可能性があります。一方、販売者が送料を負担する場合、商品価格に配送料を上乗せして設定することも可能です。しかし、単価の安い商品であれば、割高に感じてしまう可能性もあります。

日本のブランドや、高額で品質の高いものを中心にラインナップを固める方向で進めていく方が有利になるといえます。つまり、値段よりも商品の質を重視するようなユーザーをターゲットに据えることが賢明です。

越境ECでは基本的に支払いは外貨によるので、為替レートの変動に売り上げが大きく影響を受けてしまうことも、注意点の一つです。

取引先の国の法律によって規制あり

世界基準で定められた物流ルールの他にも、国ごとに商品の規制が定められており、場合によっては販売できないものもあります。

そのほかにも、物流の仕組みや決済、発送方法など、それぞれの国に適したビジネスの形態を構築する必要があります。

具体的な例としては、中国ではライセンスがなければサイト開設ができず、電子商取引もできません。ライセンスなしにサイト上でのビジネスを行うと違法になる可能性があり、運営停止や罰金などが科せられることもあります。

越境ECを始める際は、事前にその国のECにまつわるルールを調べ、きちんと把握した上で展開していく必要があります。

関税や輸入禁止物による規制

サイト開設に問題が発生する可能性だけでなく、取引をする商品が問題になる場合もあります。

同様に中国では、古着の販売が禁止されていたり、電子機器類で合っても中古品はチェックを受けなければいけないこともあります。

また、国ごとに使用できる化学成分に違いがある場合も多く、日本では問題なく販売されていてもある国では規制の対象になる場合もあります。

どのような商品に輸出入の制限がかけられているかは、各国のHPに掲載されており、それらを確認してからビジネスに取り掛からなければなりません。

日本で問題なく進むような部分でも、その国のルールによって、思わぬ壁にぶつかることがあります。国内でのEC展開のノウハウを持っている企業であっても、越境ECの展開を計画している国に関する下調べを十分に行うことがポイントです。

「巣ごもり消費」ニーズが越境ECの可能性を拡げる

このように、新型コロナウイルスの影響で、インバウンド客の減少、国内消費の低迷など様々な課題に直面しています。

一方で家にいながら欲しいものを購入できる「巣ごもり消費」の需要は伸長している現状です。特に、欧州をはじめとした諸外国では日本よりもオンラインショッピングが浸透しているため、この外出自粛期間に売り上げが大きく伸びています。

越境ECサイトの開設は、実店舗の開設に比べると費用がかからず、より少ない予算で着手できます。

さらに、日本に実際に来て消費をしてもらえない状況であっても、外国人のニーズに適した商品を選定し、越境ECとして展開することで、新たな道が拓ける可能性があります。

しかし同時に、日本国内の販売ルールだけではなく、進出を予定している国の法律や状況についても熟知していることが求められます。

国ごとのニーズを知り、販売形態に合った適切な商品展開を行うことも重要であるため、事前にその国の情報を収集した上できちんと準備をした上での参入が望ましいといえます。


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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