日本を代表するファーストフード店の一つであるファーストキッチンは、日本人の味覚に合う独自商品を開発し、人気を博してきました。
近年、需要拡大が見込まれている訪日外国人観光客への対応を強化するため、多言語対応の無人レジや、キャッシュレス決済の導入を進めています。
本記事では、ファーストキッチンの基本情報や、インバウンド需要を獲得するためのファーストキッチンの取組について紹介します。
【訪日ラボは、インバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を8月5日に開催します】
ファーストキッチンとは
ファーストキッチンとは、日本発祥のハンバーガーチェーン店です。
日本人の味覚に合うオリジナルのハンバーガーに加え、パスタや豊富なサイドメニューにも力を入れており、従来の欧米発祥のハンバーガーチェーン店とは異なる客層からも人気があります。
女性ファンの多いハンバーガー&パスタチェーン
ファーストキッチンは、1977年に日本で創業した大手ハンバーガーチェーン店です。欧米の食文化であった「ハンバーガー」を日本人の口に合う様にアレンジをした「ベーコンエッグバーガー」が同社の看板メニューです。
その他「博多明太子味ポテト」「焦がしバター醤油味ポテト」など様々な味から選べるフレーバーポテトなど独自のメニューを開発し、ファンを増やしてきました。
ハンバーガーショップでありながら、パスタや和スイーツなども提供しており、女性にも人気の高いハンバーガーショップです。
日本人の口に合うハンバーガーづくり
ファーストキッチンの特徴は、冒頭から述べている通り、日本人の繊細な味覚にあうよう、ハンバーガーの味をアレンジしていることです。
「ベーコンエッグバーガー」はその名の通り、ベーコンと卵を組み合わせているだけでなく、食感を楽しめるよう玉ねぎ、ピクルスを大きめに切って入れたオリジナルのタルタルソースを組み合わせています。
またレタス、トマトなどのハンバーガーに使う野菜は全て国産にこだわっており、味と安全性を追求し「FK-GAP」という独自の認証を考案、認証基準に則った契約農家からの野菜の仕入れに取り組んでいます。
アメリカ発のハンバーガーチェーン「Wendy’s」とコラボ
日本発祥のハンバーガー店であるファーストキッチンは、アメリカ発祥のハンバーガーチェーン店の「Wendy's」とのコラボ店を出店しています。
Wendy'sは、本場アメリカのボリュームある本格ハンバーガーに人気があり、昼食、夕食時の集客ピーク時には男性客が多数を占めていました。
一方のファーストキッチンには、オリジナルメニューに加え、パスタやフレーバーポテトといった女性向けに開発された豊富なサイドメニューも人気です。客層は女性客が7割を占め、カフェタイムにも集客ができます。
この2社の強みを生かすべく「Shake Handsプロジェクト」は立ち上がりました。2015年3月に第1号店である「ウェンディーズ・ファーストキッチン 六本木店」を出店後、続々と店舗数を増やし、2020年4月時点では53店舗にのぼります。この2社のコラボにより、集客ができる時間帯が広がり、客層も拡大し、ファーストキッチン単独での店舗と比較して、昼と夜の客数を増やすことに成功しました。
訪日外国人観光客が飲食店の利用の際に困ること
観光立国を目指す日本としては、訪日外国人観光客が快適に過ごせる環境を整えることが必要です。各飲食店がインバウンド消費を伸ばす上で、訪日外国人観光客が何に困るのかは把握しておくべきことの一つです。
訪日外国人観光客が日本の飲食店で特に困る「多言語表記」「カード決済」「Wi-Fi設備」について、解説します。
多言語表記がされていない・分からない
訪日外国人観光客が日本で最も困ることの一つが、言語への対応です。料理を注文する際、食べ方の説明を受ける際など、言語の壁に不便を感じる訪日外国人観光客は数多くいます。
多言語対応だけでなく、対応していても表記が間違っているケースや、「Takoyaki」などのアルファベット表記しかされておらず、訪日外国人観光客にとっては何かわからないケースなど、課題は多岐にわたります。
また、「お通し」の文化など日本特有の慣習に戸惑いを覚える訪日外国人観光客も少なくありません。さらに、宗教的な理由から食べられないものがある訪日外国人観光客も多く、外国人に向けて飲食を提供する際は、原材料の表記など、多くの情報提供が必要です。
「無理、無駄、ムラ」を解決すれば、ハラールやベジタリアン対応も「スタンダード」に!国際化で避けられないフードダイバーシティ対応
食の多様化対策について支援するフードダイバーシティ株式会社の守護です。ハラール、ベジタリアン、ヴィーガンで数多く成功事例が積み上がってきた昨今。しかしまだまだ全国で講演させてもらう中で「手間がかかるから対応できません」という声も多くいただきます。もちろん人材不足が加速する中で、現状に加えて新しいオペレーションを組み込むことが難しいのは私もよく理解しているつもりです。そのなかで「手間がかかるから対応する」という声も最近とても増えてきました。それは一体どういうことなのでしょうか。今日はこちらに...
カード決済に対応していない・種類が少ない
訪日外国人観光客の母国では、キャッシュレス決済が当たり前の国も少なくありません。一方日本の飲食店では、クレジットカードを始めとするキャッシュレス決済に対応していない店舗も多く存在するのが現状です。
また、近年ではクレジットカードだけでなく、スマートフォンでのバーコード読み取りや、プリペイド決済等多様な決済方法が浸透してきていますが、各店舗で取り扱いが可能な決済の種類が少ない場合もあります。
加えて、中国のAlipay(アリペイ)や、韓国のKakaoPay(カカオペイ)など、普及しているキャッシュレス決済も国ごとに異なるため、機会損失を避けるためにも各国で普及している決済端末の導入を検討することが重要です。
Wi-Fiの設備がない
海外では、空港や駅だけでなく多くの店舗で無料Wi-Fiが整備されています。よって、旅先での情報収集は無料Wi-Fiを活用しインターネットで行うことが外国人にとっては一般的です。
一方、日本での無料Wi-Fiの整備は不十分で、SIMカードも海外ローミングも高額となるため、無料Wi-Fiが整備された店舗を利用することで、不要な支出を抑えたい訪日外国人観光客のニーズを満たすことが可能となります。他店舗との差別化に繋がる無料Wi-Fiの整備は、訪日外国人観光客の集客を検討する上では重要です。
ファーストキッチンが行っているインバウンド対策
これまで、訪日外国人観光客が日本の飲食店で感じる不便な点について紹介しました。ファーストキッチンでもインバウンド対策として、これらの課題に積極的に対応しています。ファーストキッチンが行っている多言語対応への取り組みと、多様な決済方法の導入について紹介します。
多言語対応可の無人レジを設置
ファーストキッチンでは、飲食店での訪日外国人観光客対応に向けた課題の代表格である言語の問題に対応すべく、多言語対応ができる無人レジを導入しています。
2018年から東京都江東区にある「ウェンディーズ・ファーストキッチン パレットタウン店」にて実証実験を開始し、その後は他店舗にも続々と導入しています。日本語、英語、中国語、韓国語に対応をしたこの無人レジでは、従業員が日本語以外に対応ができなくてもスムーズに注文・決済を進めていくことが可能です。こういった多言語対応のレジ導入は、近年増加傾向にある外国人従業員が働きやすい環境づくりにもつながります。
無人レジの効果を検証した実験では、以下2点のことが分かりました。1点目は、有人レジよりも無人レジの方が客単価が向上すること、2点目は、テイクアウト目的で来店した顧客の6割は無人レジを使用したことです。
また、狙い通り、訪日外国人も直感的に不便なく購入でき、外国人従業員も正確かつ迅速な対応が可能となりました。こうした無人レジでの取り組みは、人手不足を補い、訪日外国人への対応を省力化することができるため、店舗オペレーションの効率化につながります。
幅広い支払いに対応
ファーストキッチンは、訪日観光客の困りごとの一つであるキャッシュレス対応にも取り組んでいます。
「ファーストキッチン」と「ウェンディーズ・ファーストキッチン」では、従来のクレジットカードや交通系電子マネー等に加え、2019年5月からは独自のプリペイド式電子マネーである「My First Card」の導入を開始しました。
さらには2019年6月から、「楽天Pay」や「LINE Pay」といったスマートフォン決済も可能になりました。ファーストキッチンは幅広いキャッシュレス決済方法を採用することで、訪日外国人観光客等が要望する多様な決済方法への対応を進めています。
キャッシュレス対応や無人レジの導入によるインバウンド対策を
ファーストキッチンは、日本人の味覚に合わせたハンバーガーの開発や、充実したサイドメニューを通じて、他のファーストフード店と差別化を図っています。またWendy'sとのコラボレーションにより、ファーストキッチン単体では得られなかった客層へのアプローチも実現しました。
さらに、キャッシュレス対応や無人レジなど訪日外国人観光客のニーズに対応することで、インバウンド需要の取込みが見込めるだけでなく、店舗運営の合理化や、顧客や従業員の満足度も上がっていくことが予想されます。
近年増加をつづけるインバウンドの需要を見据え、飲食店は早期にインバウンド対策を講じることが重要といえます。
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インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
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