5月14日、観光庁が外国語ガイドの実態把握調査報告書(概要)を公表しました。
2018年の法改正により、資格を持たない人であっても「外国語ガイド」として有償で通訳案内業務ができるようになりました。本記事では、その外国語ガイドへの期待と今後の課題について解説します。
《注目ポイント》
- 外国語ガイドは、通訳案内士と比較して英語以外の対応や、グルメツアーなどに優れている
- 課題:地方での外国語ガイドが不足/4割以上の組織でガイド育成が不十分
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外国語ガイドへの期待と課題
「外国語ガイド」とは、2018年1月の通訳案内士法改正により参入が可能になった、資格を持たないガイドのことです。それまで、有償で通訳案内業務ができるのは通訳案内士の資格を持っている人に限られていましたが、法改正により、資格を持たずに有償でガイドができるようになりました。今回の調査では、外国語ガイド管理組織経由での外国語ガイド実態調査、外国語ガイドへの個人Webアンケート調査、観光地における訪日外国人へのインタビュー調査、外国語ガイド管理組織への個別ヒアリング調査の4つに加えて、外部データを活用した分析も行われました。
期待:英語以外での対応・グルメツアーなどに優れている
外国語ガイドは、中国語など、英語以外の言語でガイドを行っているケースが多いという特徴があります。実際に、通訳案内士は全国的に半数以上のガイドが英語対応である一方、外国語ガイド(有償)は、近畿と四国を除くほとんどのエリアにおいて、半数以上が英語以外の言語でガイドを行っています。
また、外国語ガイドは通訳案内士と比較してローカルカルチャー(街歩き、商店街等)ツアーや、グルメ・ドリンクツアー、ショッピングツアーが得意な傾向にあります。
課題:地方でのガイド不足/ガイド育成が不十分
訪日外国人の訪問エリアに対し、外国語ガイドの対応可能エリアが狭いことが課題として挙げられます。外国語ガイドの8割が関東・近畿エリアに集中しており、地方でのガイドが不足している状態です。
また、外国語ガイド管理組織のうち、42.9%はガイド育成を行っていないと回答しており、対策が求められます。
外国語ガイドにおけるその他の傾向
その他に、外国語ガイド(有償)は、通訳案内士と比較して年齢層、扱うツアーの長さに差が見られます。
通訳案内士は30歳代が10%未満、60歳代が約30%であるのに対し、外国語ガイド(有償)は30歳代が約25%、60歳代が15%未満と、若年層が活躍している傾向があります。東南アジアなど、若年層の多いエリアとの相性が良い可能性が考えられます。
また、通訳案内士は終日ツアーを中心に長時間のツアーを主に扱っている一方、外国語ガイド(有償)は短時間のツアーへの対応の割合が高いという特徴があります。
外国語ガイドの今後:地方での対応と体験型ツアーガイドの提供が求められる
今回の調査では、訪日外国人が求めるガイドツアーのニーズとして「四国など、英語が話せる人がいないエリアでは、ガイドがほしい」という声や、「food, cultural sights(食べ物や史跡)」、「nature trip(自然体験)」などのツアーでガイドを利用したいという声が紹介されています。
都市観光においては外国人にもわかりやすい案内板の整備が進んでいたり、英語を話せる人が多かったりする一方で、地方では対応が進んでいないことが多く、地方での外国語ガイドに対する需要が高まっているといえます。
また、近年モノ消費に代わって需要が高まっているコト消費の拡大に寄与するため、ガイド育成も行い訪日外国人の満足度を高めていけるかが鍵となりそうです。
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<参照>
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