6月9日から6月14日にかけて、ドイツ発の日本映画祭「ニッポン・コネクション(Nippon Connection)」が開催されました。例年ドイツのフランクフルトで行われる同イベントですが、第20回目となる今回は、新型コロナウイルスの流行によりオンラインでの開催となりました。
同イベントでは、日本の長編・短編映画の配信のほか、映画監督のパネルディスカッション、折り紙体験、オンライン料理教室など、多岐にわたるプログラムが展開され、10日には、無料で視聴できるイベントの一つとして、JNTOのドイツ人職員による日本旅行をテーマとした講演「理想の日本旅行」がライブ配信されました。
講演では日本旅行をすべき5つの理由やおすすめの観光地などが紹介され、特に東京お台場・豊洲にある「チームラボ」のアートミュージアムがとり上げられた際には、「行かなきゃ!」「すっごくクール」などの反応が見られました。さらに講演の後半には質疑応答の時間が設けられ、ドイツ人が日本旅行に関してどのような疑問を持っているのかが明らかになりました。
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ドイツ発の日本映画祭「ニッポン・コネクション」開催
ドイツにおける日本の映画祭「ニッポン・コネクション」は2000年に第1回が開催され、以降毎年フランクフルトにて開催されてきましたが、今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、6月9日から14日にかけてオンラインで開催されることになりました。
日本アカデミー賞3冠獲得『新聞記者』などヨーロッパ初公開の作品も多数
同イベントではさまざまな日本映画が配信されましたが、その配信作品の半分以上がヨーロッパ、ひいては日本国外で初めて公開される日本映画で、昨年の日本アカデミー賞で3冠を獲得した藤井道人監督による『新聞記者』も今回ヨーロッパ初公開となりました。また、長井龍雪監督最新作『空の青さを知る人よ』などのアニメ映画も複数配信されました。
ニッポン・コネクションの開催期間中には、イベントチケットを購入した参加者は70本以上の日本映画を1本5ユーロ(約610円)で24時間レンタルできるシステムとなっています。
20周年である今年の重点テーマは「FEMALE FUTURES? ー 日本における新たな女性像」で、女性監督による作品や、日本における女性の役割を問う映画作品も数多く上映されました。東日本大震災で被害を受けた岩手県陸前高田市のラジオパーソナリティーの女性を追った小森はるか監督によるドキュメンタリー作品『空に聞く』もその一つです。
折り紙・ラジオ体操などユニークなコンテンツも
今回のデジタル版ニッポン・コネクションでは日本映画の配信だけでなく、折り紙体験や紙芝居など日本文化に関連するさまざまなオンラインイベントも無料で配信され、なかにはラジオ体操や忍術などユニークなコンテンツもありました。
こちらは6月13日に行われた折り紙体験イベントの様子です。「ぴょんぴょんカエル」の作り方が紹介され、参加者からは「とってもクールだ!」「うわ、紙が分厚くて折るのが難しい」「私のカエルは飛ばないけど…でもかわいい」などの声が聞かれました。
JNTOのドイツ人職員が「理想の日本旅行」をテーマに講演
無料で視聴できるコンテンツの一つとして、6月10日にJNTOのドイツ人職員アンゲラ・トロイージ(Angela Troisi)氏による講演「理想の日本旅行(Traumreise Japan)」が行われました。
講演では、関東から九州までのさまざまなおすすめ観光地がとり上げられ、「桜は1週間くらいしか咲かないので、日本で桜を見たいなら綿密に旅行の計画をしなければいけない」など、日本旅行に役立つさまざまなヒントも紹介されました。
講演は動画共有サイト「Vimeo」でライブ配信され、参加者はそのチャット欄から質問やコメントを送れるようになっています。そのため、講演中には参加者の反応や疑問がリアルタイムで反映され、そこから「ドイツ人にはどのような観光地が人気なのか」「日本での旅行に関してどのような疑問を持っているのか」が見えてきました。
JNTOドイツ人職員が解説:日本旅行をすべき「5つの理由」とは?
講演の冒頭でトロイージ氏は「日本旅行をすべき5つの理由」について言及しています。その中には、日本の自然やおもてなしの心だけでなく、食事や日本の現代性など、日本人からすると少し意外な視点での理由もありました。
- 伝統と現代性
- 多彩な自然
- 日本のおもてなしの心
- 安全性と快適さ
- あらゆる人の口に合うおいしい食事
トロイージ氏によると、日本の持つ独自の歴史は現代とも強く結びついており、旅行をすることで伝統と現代性の両方を十分に体験できるとのことです。
日本には、京都や奈良など歴史遺産を数多く遺す地域だけでなく、東京や大阪など現代的な都市もあります。それらが一つの国に共存しており、また大都市の中でも歴史を感じられるスポットが多くあることが魅力的に感じられるのでしょう。
また、日本はとても治安が良く、女性一人でも安全に旅行できるということも理由の一つとしています。
ドイツでも女性が一人で出歩くことはもちろん可能であり、それがすぐに危険に結びつくというわけではありません。しかし地域によっては特に夜間の治安が悪く、一人でいた場合男性でも危険を感じることがあります。日本では夜間でも比較的安全に出歩けることから、このように評価されたと考えられます。
さらに、ドイツ人から「日本の食べ物が口に合うかわからない」という声がよく聞かれる食への不安については、「日本には寿司だけでなく非常に多くのおいしい食べ物があり、旅行でそれを体験すべき」としています。
近年ドイツでは寿司をはじめとした日本料理やアジア料理の人気が高まる一方で、特に年配の人ではアジア料理に抵抗がある人も少なくありません。長年食べ慣れたドイツ料理・ヨーロッパ料理に対して、アジア料理は新しく、そして異質なものに感じられるのでしょう。
しかしトロイージ氏は「これだけ多くの人が日本を旅行しているとても大きな理由として、食べ物が挙げられる」とこの点を強調しています。日本にはさまざまなおいしい食べ物があるため、誰でも自分の口に合う食べ物を見つけられるだろうと述べています。
ドイツ人の反響:チームラボの紹介に「すっごくクール」
講演中、特に多くのコメントが寄せられたのが東京お台場のデジタルアートミュージアム「チームラボボーダレス」と、豊洲の「チームラボプラネッツ」についての紹介でした。
有名な「呼応するランプの森」という作品や、器に入れた緑茶に花が咲いたように見えるデジタルアートなどが紹介され、「自分も行きたい」という声が多く聞かれました。
ドイツでは日本について「デジタルで現代的な国」という印象を持っている人が多く、これらチームラボのアートミュージアムはまさにそのイメージに当てはまります。紹介されたミュージアムの写真が視覚的に大きなインパクトを持っていたことと相まって、良い反応が見られたのだと考えられます。
わー!ここは行かなきゃ!
わぁ、このミュージアムはすっごくクールだね。
うん、このミュージアムはリストに入っているよ。
チームラボプラネッツは行かなきゃな。
ドイツ人参加者からの質問「スクランブル交差点は入場料いる?」
1時間の講演のうち後半の30分は質疑応答にあてられ、参加者からチャット欄に打ち込まれた質問のコメントにトロイージ氏がその場で回答しました。
参加者の質問から「ドイツ人旅行者が日本旅行について本当に知りたい情報」がわかります。以下はその質問の一部です。
- 1か月旅行をしたら費用はどのくらい?
- 3週間で7~8か所を巡る場合、どのくらい前から計画すべき?
- 渋谷のスクランブル交差点を渡るのに入場料はいる?
- 横浜は東京からの日帰りで行く価値はある?
- 沖縄への一番良い・安い行き方は?
- 弓道を体験できるところはある?
- 日本は自転車で旅行しやすい?何か気を付けるべきポイントは?
- 文化的なタブーは?
- バスや電車などの公共交通機関の利用は日本語がわからなくても大丈夫?
- 2021年の日本旅行は例年より高くなる?(オリンピックの影響、もしコロナ後に旅行者が増加した場合)
いくつかの質問では「1か月旅行をしたら」「3週間で7~8か所を巡る場合」など、具体的な期間や内容が提示されており、質問者はかなり積極的に日本への旅行を検討していることが見てとれます。日本旅行についての講演ということもあり、やはり参加者の訪日意欲は高いと感じられます。
なかには、「渋谷のスクランブル交差点に入るのに入場料はいる?」という質問があり、スクランブル交差点は一般的な交差点と同様に無料で通行できる場所ですが、このように日本人にとっては当たり前と思えることであっても、訪日する外国人観光客にとっては疑問に感じられることもあります。
そのほか、「日本語がわからなくても公共交通機関の利用は問題ないか」「博物館や公共交通機関などで子ども割引・シニア割引はあるのか」という公共交通機関の利用に関する質問が複数見られました。また、自転車での旅行や弓道体験など、個々のニーズが見てとれる質問もありました。
インバウンド事業者としては、アフターコロナに向けて広く観光地や観光スポットをPRすることはもちろん必要です。しかしその次の段階として、このような「実際に訪日する可能性の高い潜在客」に向けて、地域での滞在を前提としたより詳しい情報を提供することが求められるでしょう。
「訪日を検討している層」に向け具体的かつ有用な情報発信を
ドイツでの新型コロナウイルスの感染状況は徐々に落ち着いてきており、4月初めには6,000人を超えることもあった1日の新規感染者数が、現在は1日300人程度になっています。しかし日本と比べるとその状況は依然として良いとはいえず、現在のところドイツからの訪日観光客受け入れ再開の目途はまだ立っていません。
JNTOの調査によると、ここ数年訪日ドイツ人客数は3月と10月に多く、意外にもバカンスのシーズンである7月から8月にかけては少ない傾向があります。このことから、今年の夏は厳しいとしても10月までに入国制限が解除されれば、訪日ドイツ人観光客の客足はある程度回復すると予想されます。
ドイツを対象とした入国制限は3月17日に始まりましたが、ハイシーズンである3月に訪日を検討していたドイツ人も多かったと考えられます。そういった人たちは今後再度訪日を検討する可能性が高く、アフターコロナの訪日旅行に向けてすでに情報収集を開始している人もいるはずです。
アフターコロナに向け、今から観光地や観光スポットに関する情報のほか、そういった「すでに訪日を強く検討している層」に向けた具体的かつ有用な情報を発信していく必要があるといえます。
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<参照>
・Nippon Connection:公式サイト
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