2020年初夏、TwitterなどのSNSで自分の顔の性別を変換してアップするユーザーが多く見られました。ユーザーは「FaceApp」というアプリを利用し、自分の顔を加工しています。
FaceAppは、ロシア人エンジニアのヤロスラヴ・ゴンチャロフ氏が2017年にリリースしたスマートフォンアプリです。
FaceAppは顔写真をAIに処理させることで、性別、年齢、髪型、肌の色を自由に変更できます。
インパクトのある顔写真を無料で作れることが人気を呼び、TwitterなどのSNSで有名人も含む多くのユーザーが自分の顔写真を加工して楽しんでいました。
しかし、その裏ではFaceAppの利用規約や権限に対する疑惑の声も多く見られました。実際に危険なのかどうか、オンラインのアプリケーションやスマートフォン向けアプリを使う時に気を付けたい点についてまとめます。
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FaceAppは危険?利用規約に疑惑
2020年現在、FaceAppは既に3年の歴史を持っていますが、2017年のリリース当時から2019年頃までは現在とは異なる利用規約が用いられていました。
当時の利用規約には、氏名や顔写真をFaceAppが永久かつ自由に利用することに同意する旨が記されていました。
そのため、利用規約に同意すると、FaceAppはユーザーの顔写真と名前をいかなる目的にも本人の同意なしで利用できることになっていました。
この利用規約には多くのユーザーから不安の声が寄せられたため、現在では氏名や顔写真はFaceAppを利用している間、サービス提供のためにのみ用いられるという形に変更されています。
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米国上院議員も警鐘を鳴らしている
2019年7月、米国上院議員のチャック・シューマー氏はFaceAppの実態調査を連邦捜査局(FBI)や連邦取引委員会(FTC)に依頼しました。
同氏はこの件について、FaceAppの当時の利用規約ではユーザーの氏名や顔写真を他社へ販売することも可能であり、ユーザーデータを保存する期間や削除する時期も記載されておらず、削除されたことを確認する手段も存在しないため、実態を精査するために各機関に調査を依頼したとしています。
更にはFaceAppがスマートフォンに保存された写真を勝手に送信しているという疑惑も浮上しましたが、この疑惑に関しては再現されなかったということです。
しかし、顔写真はアプリ内ではなくFaceAppのサーバーで加工されており、FaceApp側は加工後一定期間が経過すると写真は削除されると説明しているものの、明確な期間が示されていないこともユーザーの不安の種となっています。
知らぬ間に有料プランに移行したという声も
FaceAppの基本機能は無料で使えますが、更に多くの機能を使いたい場合は有料プランに登録する必要があります。
iOS版のFaceAppでは初回起動時に有料プランの案内が表示されますが、その際に誤って購入を選んでしまい、後からクレジットカードへの請求で有料プランに加入してしまったことに気付いた例も一部で見受けられます。
iOS版のFaceAppでは有料プランに加入すると、月額550円か年額3,200円の利用料金が請求されます。有料プランではより多くの加工機能が利用できたり、透かしや広告を非表示にできますが、FaceAppをアンインストールしても有料プランは解約できません。
有料プランを解約するにはApp Storeのサブスクリプション管理から操作する必要があるため、FaceAppをアンインストールして有料プランを解約したと勘違いしてしまった場合、後々利用料金を請求されて初めて解約できていなかったことに気付く場合もあります。
危険なのはFaceAppだけではない
FaceAppの流行と共にアプリによるプライバシー侵害の危険性がクローズアップされていますが、これまでFacebookやTikTokなど、知名度の高いアプリでもプライバシー侵害の疑惑が巻き起こっていました。
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FaceAppと似通ったFacebookの利用規約
世界中にユーザーを抱えているFacebookの利用規約には、ユーザーのコンテンツをFacebookが包括的に利用することを認める旨が記されています。
Facebookに利用を許可するコンテンツの内容はユーザーが指定できるほか、ユーザーがコンテンツを削除した場合、そのコンテンツはFacebookも利用しないことが定められています。
しかし、当該部分の規約はFaceAppで問題となったコンテンツの取扱方法にとても類似しているといえます。
一方、FaceAppと比較すると、Facebookはコンテンツの削除に関する規定も明確であるため、ユーザーは比較的容易にFacebookに利用を許可するコンテンツを管理できます。
TikTokなど中国製にも潜む危険性
中国を中心に人気を博しているSNSのTikTokは、日本やアメリカなどの諸外国にも多くのユーザーを抱えています。
しかし、TikTokを運営しているByteDance(字節跳動)は中国の企業であるため、TikTokに投稿された内容は中国に送信される可能性があるとして、米国シンクタンク機関のピーターソン国際経済研究所などは警鐘を鳴らしています。
また、日本では2013年に、同じく中国企業のBaidu(百度)が開発した日本語入力ソフトの「Baidu IME」と「Simeji」が、ユーザーの入力内容を無断で外部に送信していたことが露呈し話題となりました。
中国ではインターネット通信に対して検閲が実施されているため、中国に送信されたデータも同じく政府当局により検閲を受ける可能性があります。
そのため、一般のユーザーはもちろんのこと、情報の保護が必須となる機関や部署では特に利用規約やアプリの挙動に注意を向けるべきだといえます。
FaceAppだけではない、アプリやサービスの利用規約に潜む落とし穴
インターネットのある生活はもはや日常となりましたが、インターネットで提供される各種サービスの利便性を享受する裏には個人情報の漏洩といった危険性も隠されています。
今回はFaceAppの利用規約が多くのインターネットユーザーに注目されましたが、Google、Facebook、Twitterなど、インターネットで提供されるサービスの多くは、利用規約にユーザーの情報を利用することを許可する旨を記しています。
例えばGoogleでは、ユーザーの検索履歴やWebサイトのアクセス履歴を収集することにより、ユーザーに適した広告が表示される仕組みを運用しています。
FaceAppの危険性にのみ目を向けていると、他のアプリやサービスで収集されているユーザーデータに気付かなくなってしまう「落とし穴」も存在します。
個人情報の漏洩を避けたい場合は、普段使っているアプリやサービスの利用規約をもう一度見直し、それぞれがどのようなデータを収集しているのか把握することが大切です。
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