訪日外国人はいつ戻る?「ニューノーマル」時代のインバウンド|これからの旅行スタイル・観光事業者に求められる対策とは

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新型コロナウイルスが猛威をふるい、訪日外国人観光客インバウンド需要はいつ戻るのかと不安が募る中、感染予防対策を前提とした新しい生活様式に適応したサービス提供が求められています。

ニューノーマル」時代に選ばれる事業者とはどのような事業者なのか。

本記事では新型コロナウイルス収束後のインバウンド業界について、ニューノーマル時代に対応するために観光事業者に求められていることや取り組むべきことを解説します。

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インバウンド業界注目の「ニューノーマル」とは

生活が変わりゆく中、苦境に立たされているインバウンド業界においても、「ニューノーマル」という考え方が注目されています。

ニューノーマルとは?

ニューノーマルとは「新たな常態、常識」という意味を表す言葉で、エコノミストであるモハメド・エラリアン氏が提唱しました。元々はリーマンショック下における世界経済の衰退は、回復後も以前の姿に戻らないという彼の見方から生まれた言葉です。

ニューノーマルという言葉は、リーマンショックのような大きな打撃を受け、構造的な変化を避けられない状況を示しています。今回の新型コロナウイルスは、リーマンショック同様世界各国で大きな影響を及ぼしました。その影響から変化を求められている「新たな日常」を意味する言葉として使われています。

国をまたぐ移動が困難な現状では、インバウンド業界においてもニューノーマルという考え方に注目が集まっています。

ニューノーマル時代の外国人の訪日意欲は?

アジア向けコミュニティサイト『FUN! JAPAN』を運営する「株式会社Fun Japan Communications」は、2020年4月に新型コロナウイルスによる訪日旅行への影響について調査を実施しました。調査は台湾、香港、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、インド、韓国、中国の9か国に住む10代から60代の男女2,425名を対象に実施されました。

この調査において「訪日旅行が安全であると判断出来れば、訪日したい」と回答した人は、韓国、中国の以外の7か国で90%が「はい」と答えています。この結果からも、新型コロナウイルスが収束したニューノーマル時代において、アジアからの訪日外国人客が戻ってくることへの期待が高まります。

アジア7か国「安全なら日本に行きたい」90%超、欲しい情報は「正確な安全情報」:新型コロナ インバウンド意識調査で

現在日本では新型コロナウイルスの影響で訪日旅行客が大幅に減少しており、2020年3月の推定値は前年同期比93.0%減少の19万4,000人まで落ち込んでしまいました。 訪日旅行客の減少はいつまで続くのか、いつになったら客足が戻ってくるのか、それらのことが

ニューノーマル時代のインバウンドの客足予想は?

訪日ラボでは読者、メールマガジンユーザーの皆様を対象に「緊急事態宣言解除と新型コロナ意識調査」を実施しました。この調査でインバウンドの客足が戻る時期について質問したところ、「オリンピック開催までには戻る」と答えた人がもっとも多く、全体の36.6%を占めました。

海外では緊急事態宣言やロックダウンが解除された後に「第二波」が訪れ、再度感染が拡大している国があるように、日本においても「第二波」が来ると予測されています。一方で収束時期の目安や抑え込める程度に関しては予想できない状態です。

「第一波」だけでは新型コロナウイルスの収束が難しいという見通しがなされているニューノーマル時代において、流行が続く中どのように事業を続けていくかを考えなければなりません。

【独自調査】9割がインバウンド売上「大きく落ち込んだ」…客足戻り始めは前回調査より楽観傾向に:新型コロナ意識調査実施

安倍晋三首相は5月14日の記者会見で、39県における緊急事態宣言の解除を発表しました。一方東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、京都府、兵庫県、北海道の7都道府県については緊急事態宣言継続となり、そのうち大阪府、京都府、兵庫県の関西3府県については21日に改めて判断される予定です。そこで、訪日ラボでは各社のインバウンド事業に対する影響度合いを探るため、読者・メールマガジンユーザーの皆様を対象に「緊急事態宣言解除と新型コロナ意識調査」を実施しました。前回の調査では主に、事業への影響やそれ...

外国人旅行者のニーズの変化

ニューノーマル時代のインバウンドについて考える際に、旅行者のニーズの変化について把握する必要があります。

実際に、東日本大震災後の福島では、自県がもつ観光資源と相性のいいコンテンツを企画し、特定の層にアピールすることで観光復興に一役買いました。

このように、時代と旅行者のニーズの変化に合わせた旅を提案していくことが、ニューノーマル時代の観光にも求められています。

クリーン、サスティナブル・ツーリズム

ニューノーマル時代においてキーワードとなるのが「クリーン(清潔)」だといわれています。

シンガポールでは実際に観光局を中心に「SGクリーン」といわれる認証制度が始まっています。宿泊施設を例にとると、この制度では室内の衛生状態、室温、消毒の回数、従業員の呼吸器の症状といった確認項目において基準が設けられています。

同様の制度が世界各国で導入され、同時に安心、安全をPRすることが重要です。

日本においては、京都のような人気観光地において問題となっていたオーバーツーリズムが見直されています。

交通機関の混雑、ポイ捨て、騒音といった地域に住む人の生活に影響を及ぼしていたものの、コロナの感染拡大防止の観点から「密を避ける」ことでオーバーツーリズムを改善し「サスティナブル・ツーリズム(持続可能な観光)」が構築され始めています。

ヴァーチャル・ツーリズム

旅行に行くのが難しくなったことで話題となっているのが「ヴァーチャル・ツーリズム」です。近畿日本ツーリストでは360°カメラで撮影した画像を無料で公開し、ヴァーチャル観光を楽しめるようになっています。

ヴァーチャル・ツーリズムに取り組んでいるのは日本だけではありません。

フィンランドでは、「Visit Finland(フィンランド政府観光局)」が新しい取り組みを始めています。「バーチャル Rent a Finn(レント・ア・フィン)」と呼ばれるこの取り組みでは、フィンランド流のウェルビーイングをヴァーチャルで体験できます。

観光DX(デジタルトランスフォーメーション)の可能性|VRでのデジタル旅行など事例も紹介

新型コロナウイルスの感染拡大は旅行業界に甚大な影響を及ぼしています。世界中で規制が広がり、国境を超えることはおろか、国内の移動も大きく制限を受けるようになりました。人が動くことで成り立っていた旅行業界には今、最新のデジタル技術を活用した新しいビジネスモデルの創出が求められています。実際に多くの旅行会社・旅行代理店では、コロナ禍を機にデジタルトランスフォーメーションによる事業変革が積極的に進められています。今回はデジタルトランスフォーメーション(DX)とは一体なにか、旅行業にできるデジタルト...

トリップチケット

北海道札幌市にある株式会社FULLCOMMISSION は、「TRIPTICKET (トリップチケット)」という宿泊施設特化型のクラウドファンディングサービスをスタートしました。

経営難に立たされる宿泊施設を支えると同時に、新型コロナウイルスの収束後に宿泊したいというユーザーのニーズにも応えるサービスだといえます。

各旅行業協会が提唱する「ニューノーマル」における新型コロナウイルス対策

新型コロナウイルス収束後の旅行への意欲が旺盛な中、感染拡大は防ぐ必要があります。

そこで各旅行業協会ではニューノーマル時代に向け旅行者が安心安全に旅行するための基準やガイドラインを提唱しています。

全米旅行産業協会が提唱する新しい基準『旅のニューノーマル』

全米旅行産業協会では、旅行業界で働く従業員や顧客の安全性維持のために、教会のメンバー企業や医療専門家とともに「旅の新しい常識“Travel in the New Normal”」を発表しました。

アメリカでは州や地方自治体で物理的距離に関するガイドラインが作成されており、これが緩和された際の新しい基準として作成され、大統領や各州知事に提出されました。

このガイドラインは、「従業員の作業手順や公共スペースの再設計」、「非接触方式のソリューションの導入」、「高度な衛生手段の導入」、「従業員の健康管理」、「感染者発生の際の措置」、「飲食サービスの対応」の6つに焦点を当てて作成されています。

日本旅行業協会による新型コロナウイルス対応ガイドライン

日本旅行業協会でも新型コロナウイルスの対応に関するガイドラインが作成されました。

このガイドラインには、新型コロナウイルスの主たる感染経路とされている「接触感染」と「飛沫感染」の両方について記載されています。旅行会社に従事する従業員や顧客の動線、接触機会を考慮しリスク評価を行うもので、リスクごとの対策方法について解説しているものです。

各対策方法については、従業員であれば健康管理、通勤、勤務中、休憩中、顧客であれば来店時、相談中、店内清掃など項目ごとに対応について具体的に書かれています。

他にも旅行商品の取り扱いや手配時の注意点、旅行に添乗する際の注意点といった業務上留意する事柄にも触れ、適切な旅行販売を呼びかけています。

日本旅行業協会「旅行業における新型コロナウイルス対応ガイドライン」を発表:これからの旅行の形とは

日本旅行業協会は5月14日に「旅行業における新型コロナウイルス対応ガイドライン」を発表しました。これは同日に39県で緊急事態宣言が解除されたことを受けて発表され、カウンターでの接客業務や旅行業務遂行の際における感染防止対策を示しています。新型コロナウイルスの感染拡大によって大打撃を受けた旅行業ですが、感染リスクを低減しつつ産業が消滅しないためにも消費の継続を目指しています。目次ガイドラインの概要旅行業務取扱上における対策日本旅行業協会(JATA)とは自粛解除後は、旅行に対しての不安を取り除...

星野リゾートが考える三密回避

星野リゾートでは、「衛生管理」三密回避」の2つを軸として掲げ、安心して宿泊できるようにと独自の対策を実施しています。

衛生管理では通常の清掃だけでなく、除菌対応やスタッフ、顧客の健康面の確認を実施し、三密回避ではスタッフと顧客、顧客間での三密が発生しないよう環境を整備が進められています。

特に重点を置いているのが三密の回避です。三密回避において、星野リゾートではチェックインからチェックアウトまでをチェックイン、客室、食事、アクティビティ等7つの場面や施設に分けています。それぞれの対策について顧客にもわかりやすいよう具体的に記載することで、三密回避を呼び掛けるきっかけとなっています。

感染防止策と「ニューノーマル」へのシフトを

新型コロナウイルスの感染が世界的に広がっている今、構造的な変化は避けられません。

新型コロナウイルスの収束後に回復するとされているインバウンド需要に対し、現段階からニューノーマル時代に合わせた対策を講じることが重要です。

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今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。

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この記事では、主に11月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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