2020年6月末より、中国アプリに対する世界からの風当たりが強くなっています。
インドでは中国との係争地域でのインド兵死亡をきっかけに、6月29日、ショートムービーアプリのTikTokはじめとする59のスマホアプリの使用禁止を発表しています。アメリカやオーストラリアでも同様の規制が検討されています。
また6月30日から香港では国家安全維持法が施行され、香港での反政府的活動の取り締まりが開始されました。TikTokは同地域から撤退することが伝えられていました。
こうした中、7月28日には日本でも、自民党「ルール形成戦略議員連盟」会長の甘利明元経済再生担当相により、中国発アプリの利用制限を政府に提言する考えが示されました。
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日本でも「TikTok」規制の動き:自民議連9月に提言提出
自民党の「ルール形成戦略議員連盟」は28日、国会内での会合でショートムービーアプリの「TikTok」など、中国企業が提供するアプリやソフトウエアの使用制限を求める提言をまとめる方針を確認したことが伝えられました。
この提言は9月にも政府に提出する方針とのことです。提言提出の理由について「個人情報が中国側に漏洩する恐れ」が指摘されています。
6月末のインドの中国アプリ使用禁止の流れから、世界に広まりつつある中国アプリへの疑念が背景にあることも考えられます。
TikTokやスマホゲーム「荒野行動」「アズールレーン」の絶大な人気
TikTokは主に娯楽のためのツールで、日本では若者中心にユーザーを拡大しています。著名人を起用したテレビCMや、アプリ内でのキャンペーンにより絶大な認知を獲得してきました。
TikTokは実名制のFacebookや、視聴に時間を要するYouTubeなどと異なり、身構えずに短時間で楽しめるプラットフォームとして人気を博しています。こうした生活の楽しみを奪われることを残念に思う人も少なくないようです。
日本で普及する中国アプリはTikTokだけでなく、スマホゲームの「荒野行動」「アズールレーン」なども、幅広い年代で人気を博しています。
荒野行動と同じ運営企業、ネットイースが提供する「第五人格」も日本人プレイヤーから支持されています。
禁止の可能性を想起し、惜しむ日本人ネットユーザーの声を中国メディアも報じています。
あなたのスマホにも...実はそれ「中国アプリ」です:TikTok、Simeji、荒野行動、アズレンも…海外でも規制の動きが加速
中国では数多くのスマートフォンアプリが開発されており、その一部は日本はじめ各国のApp StoreやGoogle Playなどにも公開されています。 若年層を中心に多大な人気を持つショートムービーSNS「TikTok」やスマートフォン向けTPSゲーム「荒野行動」なども中国産アプリの一つです。TikTokを運営するバイトダンスは、同中国事業を分社して株式市場に上場する見込みであることが、2020年10月末日本経済新聞により報じられています。 中国国内での好調な展開と対照的に、2020年に...
WeChat規制で日本人は何が困る?
海外発のアプリを制限する中国では、LINEやメッセンジャーは利用できません。こうした事情から、中国現地と連絡をとるためには基本的にWeChatが必要です。
WeChatでは反政府的発言が見られた場合アカウントが凍結される場合もあり、政府の検閲が入っていることは明らかといわれています。
これまでも、日中間のオンラインでのメッセージ、データのやりとりには中国現地のサービス使わなければならない場合が多く、インターネットが整っていても様々な工夫が必要でした。今後さらに考慮しなければならない事情が増えることにもなってしまう可能性もあります。
WeChatは主にメッセージに利用されていますが、それ以外にも企業や組織が開設する公式アカウントの配信、タイムライン機能、決済機能、ECはじめとするミニプログラムが存在し、中国市場展開に欠かせないマーケティングツールともなっています。
Weiboは中国市場への窓口
中国版Twitterと言われるWeiboは、中国向けのマーケティング施策には欠かせないSNSです。中国社会に大きな影響力を持つプラットフォームです。
こうしたアプリの使用に制限がかかるようなことがあれば、今後、日本からの中国市場へのさまざまな働きかけに、大きな不都合が生じることも考えられるでしょう。
Weiboコンテンツの更新を日本から行えないとなれば、不便を被る企業や組織もあるでしょう。
TikTokとドウインの違い、各国規制の動き
中国のバイトダンスが運営するショートムービーアプリのTikTokとドウインは、同じデザインと機能の動画投稿サービスです。
TikTokは国際版であり、世界150カ国でサービスを展開しています。ドウインは中国国内向けのアプリストアで展開されており、投稿内容は中国国内の検閲の対象となります。
世界中でユーザーを拡大し、2019年には世界の月間アクティブユーザー数は5億人と発表されています。国際版であるTikTokに対する各国での規制の動きを整理します。
アメリカ
アメリカのポンペオ国務長官は7月、TikTokをアメリカ国内で使用禁止にすることを検討していることを表明しています。
TikTokだけでなくアプリの利用者の個人情報が、中国に渡る恐れがあり、アメリカ国内で利用することにリスクがあるためと説明しています。
オーストラリアでもこうした措置を検討中と伝えられています。
インド
インドでは中国アプリの使用禁止発表後、AppleとGoogleのアプリストアで59のアプリは削除されました。TikTokはサービスの展開を中止したとのことです。
香港
香港ではTikTokは7月9日から使えなくなっており、7月13日にはアプリストアから削除されていることが中国語メディア「香港経済日報」により伝えられています。
TikTokの中国国内版である「ドウイン」もアプリストアにはまだリリースされていないとのことです。
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