新型コロナウイルスの影響で国外への旅行がほぼできない状況が続いていますが、この間にも訪日旅行をいつかしたいと考えてくれている外国人がいることもまた事実です。
今回は、アフターコロナの訪日旅行需要に関する中国人、台湾人、タイ人、オーストラリア人の各種データと、改めて「なぜ日本に来たいのか」を分析しまとめました。
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中国の訪日旅行需要
日本のインバウンドに大きな影響を与えてきた中国市場では、アフターコロナの訪日需要も高いという予想が出ています。
2019年の中国人の訪日目的となったキーワードをふまえ、中国市場のニーズについて解説します。
コロナ収束後半年以内に訪日したい中国人が9割
中華圏向けの日本旅行予約サイト等を運用するENtrance株式会社は5月28日から6月18日にかけて、中国本土在住の中国人300人を対象に、アフターコロナの訪日意識調査を実施しました。
「もし2020年10月から日本に入国できるようになった場合、いつ頃に訪日したいか」という質問では、90%以上が「半年以内に訪日意向がある」と回答しました。
なかでも31%と最も多くの人が、花見シーズンとして楽しめる「2021年の3~4月」と回答しています。
次回の訪日旅行のスタイルについては、70%近くが「個人旅行」と回答しました。これまで団体旅行で訪れる訪日中国人観光客も多かったなか、今後はFITのニーズも新たに高まることが予想できるでしょう。
日本インバウンド・メディア・コンソーシアムは、中国の人気メッセンジャーアプリ「WeChat」のユーザーを対象に、「訪日旅行に関する緊急調査」しました。
調査の結果、79%が新型コロナの収束後に国内外への旅行に意欲的であることがわかりました。
日本で訪れたい地域は、北海道が1位となり、2位の東京の約2倍以上の回答数を獲得しています。リピーターの増加から、東京などの有名観光地から北海道などの地方都市へと、関心が変化していることがうかがえるでしょう。
2019年の中国人の訪日目的:体験・癒しがキーワードに?
世界最大級のOTAであるTrip.comグループによる「2019年訪日中国人観光客動向レポート」では、訪日中国人観光客の訪日目的のランキングを発表しています。トップ10は以下のようになりました。
- お花見
- 紅葉狩り
- 温泉
- 雪見とウインタースポーツ
- 離島バケーション
- 着付け体験
- グルメ巡り
- 神社仏閣への参拝
- テーマパーク
- コンサート/ショー観賞・スポーツ観戦
これまで注目されてきた爆買いから、コト消費を求める傾向に変化したことが改めてうかがえる結果となりました。
今後の訪日中国人の主な目的として、四季を感じるようなアクティビティをはじめ、さまざまな体験アクティビティが考えられます。
中国人の訪日意欲は?各種アンケートデータから、コロナ禍の関心事、アフターコロナに向けた対策を紹介
新型コロナウイルスの影響により外出に制限がかかっていた中国では、旅行に行けなかったという事情もあり、訪日意欲が高まっています。中国人が行きたい国を調査した統計によると、日本が1位にランクインしており、そのなかでも訪日中国人にもっとも人気となっている都道府県は北海道であることが明らかになっています。「日本インバウンド・メディア・コンソーシアム」が実施した調査では、日本および中国政府が安全宣言を出した時期に日本を訪れたいという意見がもっとも多くなり、その時期を見越した訪日中国人に対するアフター...
台湾の訪日旅行需要
台湾はリピーター率が非常に高い市場であり、新型コロナが収束し安全が確認されたことを条件に、再び日本を訪れたいという意欲は高い傾向にあります。
訪日台湾人観光客の最新の訪日需要について、データとともに解説していきます。
リピーター多い台湾、従来と変わらない訪日姿勢
日本インバウンド・メディア・コンソーシアムは、コロナ禍のインバウンドに対する影響を把握する目的で、訪日旅行に関する緊急意識調査を実施しました。本調査は、台湾のインターネットユーザー450名を対象とし、約95%が訪日経験者です。さらにそのうち約67%が6回以上の訪日経験があるなど、リピーター層が多い点が特徴です。
訪日旅行への意欲について、約54%が「台湾政府が安全宣言を出したら行っても良い」と回答した一方で、「一年以内は行かない」との回答も約21%あり、慎重な姿勢もうかがえます。
ただし、アフターコロナの訪日旅行への意識については、約48%が「従来と変わりなく、行きたい時に行く」と回答し、前向きな姿勢がみられました。
今後の海外旅行先としては、約64%が日本を選びトップとなったほか、訪日旅行で行きたいエリアは北海道が1位となっています。
台湾で訪日旅行メディア「トラベルバー(旅行酒吧)」を運営するBEENOS Travel株式会社は6月、同サイトの台湾人会員1,538名を対象に、訪日旅行に関する調査を実施しました。
訪日旅行のタイミングに関する質問では、41%が「台湾と日本の入国制限が解除されたらすぐ」と回答しました。
また、6%の回答者が「2020年9月から12月には訪日旅行を再開したい」と回答しています。一方で、20%の回答者は「治療薬やワクチンができてから」としており、台湾人はすぐ訪日したい層と、状況を注視しつつ慎重に訪日時期を見極めたい層の二極化がみられます。
また、3密を避けて訪日旅行を楽しめる自然が多いところに行きたい人が83%にも上りました。台湾市場には、感染予防対策をしっかりアピールすることが大切といえるでしょう。
2019年の台湾人の訪日目的:風景・飲食・ショッピングが中心
総合マーケティング支援を手がける株式会社ネオマーケティングは、2019年1月30日~2月1日の3日間、台湾人の訪日経験者400人を対象に訪日観光に関する調査を実施しました。
人気の観光目的トップ3は、「風景・景色の観光」(91.8%)、「飲食をする」(75.8%)、「ショッピング」(64.5%)となりました。また、全体的に「清潔感」と「治安」が、台湾人にとって大きな満足度を感じる要因となっていることも明らかになりました。
アジアを専門にデジタルマーケティングを行うFun Japan Communicationのレポートでは、訪日台湾人観光客の傾向として、関東や関西の大都市の人気が高いとしています。
京都では、金閣寺や清水寺といった伝統的なお寺巡りに加え、八坂庚申堂のくくり猿や正寿院のハート窓など、SNS映えを求めてお寺巡りをする人も増えています。
台湾市場は地方に商機?訪日旅行で「自然が多い場所」に行きたい人が83%:アフターコロナで訪日台湾人が求めるものとは
台湾にて訪日旅行メディアサイト「トラベルバー(旅行酒吧)」を運営しているBEENOS Travel株式会社は、2020年6月5日から6月25日にかけて同サイトの台湾人会員1,538名を対象に、訪日旅行に関する調査を実施しました。 台湾国内では既に2か月以上にわたり新型コロナウイルスの感染者が確認されておらず、6月からは段階的に新型コロナウイルスの感染拡大予防措置を解除し、国内旅行を再興させる取り組みが政府主導で実施されています。 一方、現在でも...
タイの訪日旅行需要
訪日ビザの要件緩和以降、順調に増加していた訪日タイ人観光客は、アフターコロナの旅行意欲も高いことがうかがえます。
なかでも訪日旅行に対する意欲について、データをもとに解説します。
「安全を確認できたら訪日したい」タイ人が40%
日本インバウンド・メディア・コンソーシアムは、タイ人インターネットユーザー417名を対象に、訪日旅行に関する緊急意識調査を実施しました。
アフターコロナの国内外への旅行意欲について、約76%が積極的に旅行したいと考えていることが明らかになりました。また、14%が「ダメージが大きい観光産業支援のためにも積極的に旅行をする」と回答しています。
一方で、「口コミやマスコミ報道によって安全だと感じられたら行ってもよい」といった慎重な回答も約40%ありました。
アフターコロナで訪れたい国として、約75%が日本と回答し、2位の韓国(7%)を大きく引き離しトップに立ちました。タイの旅行メディア「Go went Go」が4月に投稿した日本各地の写真は、1.7万いいね!と3.5万シェアを記録するなど、新型コロナの流行下でも訪日旅行への関心の高さがうかがえます。
2019年のタイ人の訪日目的:自然と食が定番、「温泉」が新たなトレンドに
JTBが実施した「JTB訪日旅行重点15カ国調査」によると、訪日を決めた理由として、約90%が「自然や風景が魅力だったから」と回答しました。次いで約78%が「食事が魅力であったから」72%が「ショッピングが魅力であったから」と答えています。
71.5%が回答した「温泉が魅力であったから」という理由は、2017年の調査の結果と比べて8ポイント上昇しており、60%台のマレーシア・ベトナム・フィリピン、50%台のシンガポール・インドネシアと比較しても突出しているといえます。
タイには他人と入浴する文化はなく抵抗を感じる人も多いものの、バンコクに日本のような入浴施設ができるなど、温泉への人気は高まっています。
このような状況から、訪日旅行の際の目的としても温泉への注目が高まったことが考えられるでしょう。日本で行きたい温泉スポットとしては、「別府温泉」「城崎温泉」「銀山温泉」などが特に人気です。
訪日タイ人が4月に増えるのはなぜ?「本当に求めるもの」を訪日ラボ著『インバウンド調査報告書』から読み解く
2020年の日本は、3連休以上の連休が合計8回予定されています。中でも、5月2日から5月6日のゴールデンウィークは5連休、9月19日から9月22日のシルバーウィークは4連休となっており、海外旅行を考えている方も多いでしょう。世界各国にはそれぞれ独自の文化や習慣に基づく休日があり、地域によってその傾向は異なります。今回は、訪日ラボが執筆したインバウンド調査報告書2020の掲載データを基に、東南アジアの連休の傾向と東南アジア最大の訪日外国人市場であるタイの連休事情について紹介します。タイの大型...
オーストラリアの訪日旅行需要
観光庁が定めるインバウンド重点市場のなかでも特に滞在期間が長く、旅行消費額も多いオーストラリア市場は、アフターコロナの訪日旅行に慎重な姿勢をみせています。
オーストラリアにおける、最新の訪日旅行需要について解説します。
太平洋諸国から海外旅行を再開意向、訪日旅行の戻りは遅い?
オーストラリアは、ニュージーランドや太平洋諸国とトラベルバブルを実施したのち、その他の地域へ旅行先を広げていく見通しです。
トラベルバブルとは、複数の国の間で隔離をせずに人々が移動することを許可し、経済活動を活発化させるといった動きを指します。
オーストラリアとニュージーランドは、新型コロナの感染拡大抑止に比較的成功しているため、まずは2国間で観光需要の回復を図る見込みです。そのため、訪日旅行の需要回復までは、多少時間がかかることも考えられるでしょう。
トラベルバブルとは何か/日本は中国、台湾、韓国とスタート?
トラベルバブルとは、ある特定の条件に合致する人々だけが、限られたエリアの中を自由に行き来することを意味する新しい概念です。地理的、社会的、経済的に結び付きが強い国同士を一つの大きな泡(バブル)の中になぞらえて表現しています。泡の中に含まれる地域間で、相互に納得できる新型コロナウイルスに対する感染防止策を講じ、海外旅行市場の回復を図る試みです。新型コロナウイルスの流行を受け、国同士の行き来が制限されたことは、インバウンド業界にとって大きな打撃となりました。インバウンド業界が冷え込む中、各国が...
2019年のオーストラリア人の訪日目的:長期滞在でコト消費・文化体験や自然が人気
オーストラリアは長期休暇を取得しやすい労働環境であるため、旅行期間も長くとり旅行消費額も大きい傾向にあります。観光庁の訪日外国人消費動向調査によると、オーストラリア人の平均宿泊日数は13.3泊、1人当たりの平均消費額は約24万5,000円となっています。
滞在日数の長さから、宿泊や飲食・交通・娯楽等への消費額が大きく、コト消費を重視する点が特徴的です。2018年時点の訪日豪州人観光客の旅行目的として、99.2%が日本食を食べることと回答しており、次いで自然・景勝地観光 (76.5%)繁華街の街歩き(75.8%)となっています。
さらに日本の歴史・伝統文化体験(69.3%)と、日本の日常生活体験(46.3%)への関心も高いことがうかがえます。
訪日オーストラリア人市場の特徴
2016年の訪日オーストラリア人は44万人を記録し、2012年と比較すると倍以上に増加しています。2016年、訪日オーストラリア人は一人当たり246,866円を訪日旅行時に使いました。
コロナ明けに何を訴求すべきか
アフターコロナのインバウンド施策では、衛生管理の徹底や感染リスクの低さといった安全面に関するPRが重要です。
また、バーチャルツアーなどのオンラインでのアプローチといった、ニューノーマルに合わせた施策も鍵となるでしょう。
特に、3密を避けながら楽しめる自然体験をはじめ、さまざまなインバウンド市場で注目されている日本食や温泉といった日本文化体験といった観光資源の訴求が求められます。
訪日外国人はいつ戻る?「ニューノーマル」時代のインバウンド|これからの旅行スタイル・観光事業者に求められる対策とは
新型コロナウイルスが猛威をふるい、訪日外国人観光客、インバウンド需要はいつ戻るのかと不安が募る中、感染予防対策を前提とした新しい生活様式に適応したサービス提供が求められています。「ニューノーマル」時代に選ばれる事業者とはどのような事業者なのか。本記事では新型コロナウイルス収束後のインバウンド業界について、「ニューノーマル」時代に対応するために観光事業者に求められていることや取り組むべきことを解説します。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、イ...
<参照>
・PR TIMES:中国人の9割がコロナ収束後半年以内に訪日を熱望、リピーターや富裕層の旅行ニーズも明らかに
・PR TIMES:訪日中国人の主目的は体験型消費。雪見とウインタースポーツ、着付け体験、グルメ巡りが人気上昇。
・PR TIMES:【台湾人最新訪日意識調査】アフターコロナの訪日台湾人リピーターは行きたい場所に行く!
・PR TIMES:【タイ人最新訪日意識調査】アフターコロナに「日本へ行きたい」が7割超え!訪日急回復に期待大のタイ
・日本商工会議所:【最新海外事情レポート】訪日オーストラリア人の取り込み(オーストラリア)
・JNTO:訪日旅行データハンドブック2019年
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今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。
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