近年、新しい観光のかたちとして「メタ観光」が注目されています。
メタ観光は、特定の場所や地域の観光的価値や魅力を複数のレイヤーでとらえ、観光客に重層的な観光を体験してもらおうとするものです。
2020年11月10日には「一般社団法人メタ観光推進機構」が設立され、メタ観光の推進・普及に取り組んでいます。
本記事では、メタ観光とはどのようなものなのか、実際の事例をまじえてご紹介し、メタ観光の可能性を考察します。
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「 一般社団法人メタ観光推進機構」が発足
2020年11月10日、「一般社団法人メタ観光推進機構」が設立されました。
同機構は、SNSの発達や地図アプリ、位置情報を活用したアプリの登場など、情報社会の変化と、その広がりのなかで作られる新しい観光のありかたをとらえるため、メタ観光の概念をまとめ、推進・普及していくことを目的としています。
2021年3月には法人発足を記念した、オンラインシンポジウムの開催も予定されています。
「メタ観光」とは?
一般社団法人メタ観光推進機構では、「メタ観光」を以下のように定義しています。
「ある場所が、GPSの位置情報上に、本来有していた歴史的・文化的文脈に加え、複数のメタレベル情報をICTにより付与することで、多層的な観光的価値や魅力を一体的に運用する観光」
メタ観光は、これまでのさまざまなツーリズム形態を、地域に観光地としての価値を与える要素「レイヤー(層)」としてとらえます。
そしてそれらを一つの地域に複数重ねることで、観光客に重層的な観光を体験してもらうというものです。
「メタ観光」の例
具体的にメタ観光はどのようなものなのか、実際のメタ観光の事例をご紹介します。
1.ゲームアプリ「Pokemon Go」×宮城県:イベント開催で経済効果20億円
宮城県は、2016年11月に石巻市で、イベント「ポケストップ追加企画 Explore Miyagi」を開催しました。
イベントでは、石巻市と、バスツアーの目的地・経由地となっている東松島市・女川町・南三陸町を対象として、新たなポケストップの追加申請の受付のほか、石巻市・東松島市・南三陸町への復興バスツアーを実施しました。
被災地を旅して、新たなポケストップ候補地を探しながら、現地で食事や買い物をし、被災地の「今」を知ってもらうというものです。
期間中は、岩手県、宮城県、福島県の沿岸部でレアポケモン「ラプラス」を登場しやすくするしかけが施されました。
イベントには1万人以上が来場し、さらに沿岸部での人気ポケモン「ラプラス」出現をあわせると、石巻市の観光客入込数は2016年11月11日~21日までの11日間で、約10万人に達しました。
期間中の観光消費額(試算)は約20億円とされています。
メインの目的に加えて、その土地でほかの魅力を偶然見つけて楽しむことが「メタ観光」の魅力といえます。
2.甘味処「竹むら」:複数の観光的価値を併せ持つ
東京都神田須田町の老舗和菓子店「竹むら」は、「揚げ饅頭の有名店」や「東京都都選定歴史的建造物」として有名です。
一方で、人気アニメ「ラブライブ」の登場人物の実家として登場したことや、小説・ドラマのロケ地となっていることから、ファンに人気の場所ともなっています。
このようにひとつの場所が複数の観光地価値を持つことも、メタ観光の特徴のひとつです。
「メタ観光」を行うためには:地域に「タグ付け」することで魅力を可視化
地域の人たちは、地元にある観光的価値に気づいていない場合も多く、その魅力を可視化することがメタ観光実現のために重要となります。
東京や都市部の人がローカルな場所を訪れ、魅力を可視化することで発展につながる可能性があり、その手段のひとつとして「タグ付け」があります。
特定の場所を訪れた際に、SNSでハッシュタグなどを付けて共有することで、訪れるきっかけになった映画やドラマなどのタイトルが場所に意味をもたらし、価値を高めることにつながります。
ひとつの地域に複数の観光的価値を見出す「メタ観光」
「メタ観光」は、ひとつの地域に複数の観光的価値を見出す、新たな観光のかたちです。
一般社団法人メタ観光推進機構の発足により、メタ観光の推進・普及は今後さらに強化されていくことが期待されます。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、観光業界は深刻な打撃を受けていますが、観光地の魅力を高めていくことで、より早期の旅行需要回復につながる可能性があるでしょう。
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<参照>
PR TIMES:デジタルとリアルが融合する新たな観光を創る、一般社団法人メタ観光推進機構が発足
一般社団法人メタ観光推進機構:一般社団法人メタ観光推進機構を発足しました。
東京都都市整備局:東京都選定歴史的建造物詳細 31~40
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