中国の有力シンクタンク「瞭望智庫」と大手IT企業の「騰訊(テンセント)」が共同し、「2020年中国の都市におけるナイトタイムエコノミー影響力報告」を発表しました。
ナイトタイムエコノミーとは、主に夜6時から朝6時からの夜間における経済活動です。
調査対象は50都市で、上位10都市には、首都の北京や「新型コロナウィルスの震源地」として話題となった武漢などが選ばれています。
この記事では、本調査の指標と結果について、また、ナイトタイムエコノミーに期待される効果について解説します。
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2020年中国ナイトタイムエコノミー影響力TOP10都市が発表:あのコロナ震源地もランクイン
本報告は、4つの指標から対象50都市を分析、評価し、順位付けを実施しています。指標は、伝播力、革新力、産業規模、商業圏の集客数の4つです。
まずはこの指標についてより詳しく紹介します。
4つの指標評価とは
1. 伝播力
伝播力では、当該都市の公式媒体による伝播力と、マスメディアによる伝播力の両方が評価されます。
画像を有効利用した文章や、ショートビデオなどを用いたコンテンツプラットフォームにより、その都市の夜間経済活動がどれだけ広く伝わったかがポイントです。
2. 革新力
革新力では、当該都市が夜間の経済活動についてどれだけ革新的な政策やモデルを打ち出したかが評価されます。
特に今回の調査では、経済に大きな打撃を与えた新型コロナウィルスの影響をどうプラスに変えられたかも評価されたようです。
3. 産業規模
産業規模は、夜間経済活動の7大業態(夜ショッピング、夜食事、夜遊び、夜エンターテイメント、夜読書、夜運動)について、各都市の業態ごとの業態数や従業員数、売上高を評価しています。
4. 商業圏の集客数
商業圏の集客数では消費者に焦点をあて、一定期間内に各都市の商業圏に流通した消費者数やその構成、さらに消費能力などを評価しています。
2020年TOP10ランキング
調査の結果、2019年の調査でも1位だった重慶が連覇となりました。
中国では、第一財経が年に1回発表する都市商業魅力ランキングにもとづき、各都市を1線都市~5線都市にレベル分けしています。
1線都市は、北京、上海、深圳、広州の4都市で、すべて本調査のTOP10にランクインしています。
そのほかのランクインしている都市は、2020年6月の発表で新1線都市(1.5線都市ともいう)となった15都市のうちの6都市です。
経済や政治の面から国や周辺地域をリードする主要都市が、夜間経済にも大きく影響を与えているといえます。
1位の重慶はまんべんなくポイントが高く、中でも商業圏の集客数が高得点です。長江を有することで絶景スポットが多く、交通の要所でもあることから人が多く訪れます。
対して4位の青島は、産業規模や商業圏集客数は大きくないものの、伝播力や革新力で高いポイントを獲得しており、新しい取り組みによって上位に入っている点が興味深いといえます。
2線都市以下の都市はTOP10には入っていませんが、ナイトタイムエコノミーは成長しているようです。
2020年の国慶節連休で、夜の飲食消費額がもっとも増加したのが山東省の潍坊(いほう)、夜のエンターテイメント消費額増加が大きかったのが海南省の海口と広東省の河源でした。
いずれも2線、3線の都市ですが、夜の経済活動が活発化していることがうかがえます。
ナイトタイムエコノミーとは
ナイトタイムエコノミーとは、夜の時間帯、一般的に日没から夜明けまでの時間の経済活動をいいます。
時間軸で新たな市場を開拓できるとして、さまざまな国々で注目が高まり、取り組みがなされています。
日本の場合、深夜や明け方まで営業を行う施設やサービスが特定のエリアや業種に集中しており、夜間の観光や文化活動が難しいと感じる訪日外国人観光客もいるようです。
ナイトタイムにも楽しめる、またはナイトタイムだからこそ楽しめる娯楽を提供することで、訪日外国人観光客の満足度向上と消費の拡大が期待できます。
一方で治安の良好さが日本の魅力であり、夜間営業の施設やサービスの増加により治安悪化を懸念する意見が、地域住民などから出ると想定されます。
こうした点をクリアしながら、インバウンドと地域経済の両方にプラス効果がある政策を講じていくことが重要です。
ナイトタイムエコノミーとは?夜間に楽しめるコンテンツ提供:海外事例2選・国内事例7選
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日本独自の「コト消費」提供でナイトタイムエコノミーを活性化
中国ナイトタイムエコノミー影響力のランキングでは、日本人にとって夜景の印象も強い上海が7位でしたが、2019年の結果では上海は意外にも11位でした。
大都市であっても取り組みによってまだまだ市場を拡大できる可能性を示唆しています。
日本でも同じで、特に日本は現状ではナイトタイムを充実させるプランが少ないともいえるため、新しくプランを提供し夜を楽しむモデルを作ればナイトタイムエコノミーの大きな発展が期待できます。
これは、モノの所有を重視する「モノ消費」から体験を重視する「コト消費」へと旅行目的が変化した背景によって、さらに効果が見込まれます。
現在コロナ禍によって「夜の街」の活性化には課題があることも事実です。とはいえ、日本にいるからこそできる夜の娯楽や体験を提供するナイトタイムエコノミーを活性化することで、訪日外国人観光客の満足度向上や再訪への布石、さらには日本経済へのプラス効果をなすことが期待されます。
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