コロナ後の「インフラ」担うキャッシュレス決済 注目企業、銘柄は

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新型コロナウイルスの感染拡大もひとつのきっかけとなり、非接触のキャッシュレス決済が日本でも普及しています。

本記事では、キャッシュレス決済が普及した背景や、関連銘柄について紹介します。

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キャッシュレス決済について

キャッシュレス決済とは、紙幣と硬貨など現金を使わない決済方法を指します。

キャッシュレス決済が普及した背景などを解説します。

「キャッシュレス後進国」の日本

キャッシュレス決済の種類を大きく分類すると、まずSuicaなど電子マネーICカードに代表される、事前に入金する前払いの「プリペイド」が挙げられます。

次にデビットカードやQRコードなど、銀行口座から直接引き落とす即時払いの「リアルタイムペイ」、そしてクレジットカードに代表される後払いの「ポストペイ」があります。

現金志向の根強い日本のキャッシュレス比率は、世界的に見るとまだ低い状況です。

決済に占めるキャッシュレス比率(2017年実績)は、韓国で90%以上、中国でも70%以上、欧米先進諸国でも40~60%が中心となるなか、日本はわずか20%程度にとどまっています。

いっぽう近年は日本でも、キャッシュレス決済サービスを展開する各社が普及に力を入れており、積極的にポイント還元などの施策を展開しています。

経済産業省の調査によると、2010年に13.2%だったキャッシュレス比率が2019年に26.8%と大幅に上昇するなど、日本においても徐々にキャッシュレス化は浸透しつつあります。

クレジットカードにとどまらず、QRコード決済など新たな決済手段を利用する人も急速に増えていることが要因のひとつとして挙げられます。

背景は消費税増税 

2019年に実施された消費税増税は、キャッシュレス決済関連銘柄に大きなメリットをもたらしました。

消費税が8%から10%に引き上げられるのにあわせて、キャッシュレス決済を利用することで消費者に最大5%のポイントが還元される政策が実施されました。

PayPay(ペイペイ)」や「LINE Pay」、「楽天ペイ」、「Origami」、「メルペイ」などの決済サービスは、相次いでポイント還元やキャッシュバックなどのキャンペーンを実施し、顧客の囲い込みを図りました。

消費税増税を考慮せずとも、キャッシュレス決済の普及は世界的な流れとなっており、中国をはじめ多くの国でキャッシュレス決済は急速に普及しています。

店舗やATMを基盤とする銀行のビジネスモデルは大きな変革を迫られており、日本でもATMの数は減少傾向にあります。

政府は2025年までにキャッシュレス決済比率を4割程度に引き上げることを目標に掲げ、総務省もマイナンバーカードを活用した地域のキャッシュレス化を推進しています。

クレジットカード払いや銀行の口座振替で「自治体ポイント」をチャージし、電子マネーのように商店街での買い物などに使用できる取り組みも行っています。

キャッシュレス決済は今や国策テーマとなっており、国を挙げて普及が進められています。

キャッシュレス決済の関連銘柄

キャッシュレス決済に関連する銘柄は広範囲にわたります。

銀行やクレジットカード会社などの金融機関のほか、決済サービスを提供する決済サービス会社やシステム開発会社、決済機器やSuicaなどに使用されるICチップを製造する電子機器メーカーなども含まれます。

Zホールディングス(東証1部:4689) キャッシュレス決済業界の圧倒的シェア

東証一部上場のZホールディングスは、ソフトバンクグループの持株会社で、傘下にYahoo! JAPANやYahoo!ショッピング、Yahoo!トラベルなどヤフーブランドサービスを擁しています。

2021年3月にはLINEとの経営統合も行いました。

MMD研究所が実施した「2021年1月スマートフォン決済(QRコード)利用動向調査」によれば、QRコード決済サービスの中で43.1%と最大シェアを占めたのは、Zホールディングスが擁する「PayPay」(43.1%)でした。

2位のd払い(18.2%)を大きく引き離し、圧倒的シェアを誇っています。

同社の強みとして、ヤフオク!やYahoo!ショッピング、ZOZOTOWNなど、グループ内のモールサイトで消費者が決済する点が挙げられます。

PayPayLINE Payの決済事業とサービス経済圏を組み合わせることで、ユーザーの囲い込みを図ることができます。

同社によれば、2022年1月時点でPayPayの登録者数は4,500万人にのぼっています。

中小個店への決済手数料有料化後も順調に推移し、取扱高は四半期で1.5兆円規模に成長しました。

今後は各種ECサービスにおける保険サービスの提供開始や、PayPay経由の個人ローン拡大が推進される見込みとなっています。

コロナ禍で株価は300円台まで大きく下落しましたが、半年で一時800円近くまで上昇し、直近の株価は落ち付きを見せています。

すでに獲得している多くのユーザーが、自グループのサービス経済圏で決済してくれるという構造的な強みなどから、株価は今後も堅調に推移すると期待されています。

東日本旅客鉄道(東証1部:9020) Suicaの成長が鍵を握る

JR東日本はその業績の大部分が鉄道事業や一部ホテル事業、駅ナカ事業で構成されており、電子マネー「Suica」も擁しています。

Suicaは現在、基本的に鉄道運賃や加盟店での支払いに利用されています。

電子マネーとしてのポテンシャルはまだ十分には発揮されておらず、今後Suicaに残高送金機能や資金管理機能なども追加されれば、キャッシュレス決済サービスとして注目度が高まることが期待されます。

コロナ禍で主力の輸送サービスによる収益だけには頼れないなか、同社は経営ビジョン「変革 2027」において、駅の役割に関して従来の「交通の拠点」から「暮らしのプラットフォーム」への転換を掲げるなど、新たな収益源を模索しています。

新たな取り組みの中で、同社がSuicaをどう活用していくのか注目されます。

株価はコロナ禍で大幅に暴落したのち一時的に回復したものの、長引く緊急事態宣言などを背景に株価は大きく落ち込んでいます。

ただ直近ではアフターコロナを見据え、株価は7,000~8,000円台に戻りつつあります。

GMOペイメントゲートウェイ(東証1部:3769) 株価が1株1万円を超える

東証一部上場のGMOペイメントゲートウェイは、国内トップのオンライン決済代行サービスを提供しています。

同社の「PGマルチペイメントサービス」を企業が導入すると、クレジットカード決済やコンビニ決済、PayPayや楽天Payなどのさまざまな決済サービスが利用できるようになります。

キャッシュレス決済のニーズが高まるなか、決済手段の導入を検討する企業が増えており、同社はオンライン決済代行サービスにおいて圧倒的なシェアを誇っています。

2007年には20億円程度だった売上は、2021年の本決済で400億円にものぼるなど、わずか14年で売上20倍を見込む成長ぶりを見せています。

株価が割高か割安かを示す指標として使われる「PER(株価収益率)」は、通常高くても15~20倍程度ですが、同社のPERは120倍と非常に高く、投資家から注目を集めています。

株価はコロナ禍で6,000円台まで下落しましたが、ウィズコロナ銘柄としての注目が高まり16,000円台まで急上昇し、現在は1万円前後で推移しています。

「キャッシュレス決済」はアフターコロナの重要なインフラ

コロナ禍における感染対策として非接触が継続的に求められるなか、非接触で支払いが可能となるキャッシュレス決済は、すでに社会に必要なインフラの一部となっています。

国内のキャッシュレス決済市場の競争激化や、それに伴う企業再編が進む可能性などを踏まえ、キャッシュレス決済関連銘柄への注目が高まっています。

店舗側などのキャッシュレス対応の動きは今後一段と広がると考えられ、キャッシュレス決済は中長期的なスタンスで見ておきたいテーマといえます。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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