インバウンドの需要から学ぶ 国際的な往来の再開に向けた準備

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2022年に入っても、国内外ではいまだ新型コロナウイルスの収束が見通せない情勢が続いています。

東京五輪の開催で訪日需要の高まりが期待されていた2021年も、終わり頃から新型コロナウイルス変異株の出現により世界経済ならびに観光業は振出しへと戻ることとなりました。

しかし過去を振り返ると、2017年の訪日外国人旅行者数は2,869万人と東日本大震災以前の3倍以上を記録し、3,000万人超えが目前となっていました。

また新型コロナウイルス感染拡大前の2019年には3,188万人でアジアで3位、世界で12位とJNTOが統計を集計し始めた1964年以降最多を記録しています。

本記事では、日本国内で課されている渡航制限の解除および国際的な往来の再開に向けた訪日外国人旅行者の需要の理解と、インバウンド需要の回復に備えて準備しておくべきポイントについて解説していきます。

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インバウンド需要とは

インバウンド」とは直訳すると「内向きの、内に入ってくる」という意味で、外国から自国に訪れる旅行のことを指します。

ここでいうインバウンド需要とは、訪日外国人観光客からの需要を指します。

以下では、インバウンド需要が日本に与える影響について説明します。

なぜインバウンド需要が重要なのか

コロナ禍の影響により、2020年の訪日外国人旅行者数は412万人と前年比87.1%減へと大きく落ち込みました。

さらに2021年は24万人と、前年比94.0%でJNTOが集計を始めた1964年以降、過去最低を記録しています。

しかしコロナ禍前に観光庁が公表した「訪日外国人の消費動向」によれば、2019年の訪日外国人旅行消費額は4兆8,135億円となっていました。

また訪日目的の内訳は、観光目的(観光・レジャー)が全体の76.8%、ビジネス目的は13.9%を占めており、観光のみならず業務目的での訪日外国人からの需要も無視できない数字となっています。

2019年度の日本国内での旅行消費額は27.9兆円で、うち訪日外国人消費額(4.8兆円)が約2割(17.2%)を占めていました。

コロナ禍に入った翌2020年度の日本国内での旅行消費額は11兆円で、うち訪日外国人消費額は11.4%減となる7,446億円となり、割合は6.8%に減少しました。

国内における日本人人口(外国人を除く)をみると、2011年の1億2,620万9,681人から2021年8月時点で1億2,289万8,000人と約10年で331万1,681人減少しています。

国内での需要減を補うための新たな需要の創出のためにも、インバウンド需要は新たな需要のひとつとして期待されます。

日本では人口の減少に伴って引き続き内需が減少すると考えられるため、訪日外国人の消費行動は国内旅行消費額に寄与すると考えられます。

日本を旅行中のインバウンド客が、不便さを感じていること

より多くの外国人に日本に来てもらうためには、訪日旅行中のインバウンド客が不便に感じる点は改善していく必要があります。

2018年11月~2019年2月の観光庁の調査では、2016年~2018年にかけて多くの項目で改善の傾向がみられ、「困ったことはない」とした人が2018年度で多数となりました。

しかし訪日外国人は、旅行中困ったこととして「スタッフとのコミュニケーションをとれないこと」や「多言語表示の少なさ」、「無料公衆無線LAN環境」を挙げており、多言語に対応した環境や公衆無線LAN環境に問題点があることが分かります。

ゴールデンルートをはじめとする大都市圏への旅行だけでなく、地方部への旅行も視野に入れてもらうためには、事前に地方部を認知してもらうことが重要となります。

訪日外国人が旅行前に役立ったとする情報源として、個人ブログやSNS、ホームページといったインターネット上の情報源の利用率が高まりをみせています。

先述通り訪日外国人は通信環境に不満がありますが、旅ナカにおけるインターネットを活用した情報取得のニーズが伸びているため、通信環境の整備および事前の認知に向けたこまめな情報発信が求められます。

以上のポイントより、外国人が来日中不便に感じていることがアフターコロナインバウンド需要増加に向けたヒントになると考えられます。

訪日外国人の消費額(費目別)

訪日外国人(一般客)の旅行消費額全体に占める割合を、費目別に訪日外国人の消費動向(2019年)から国籍別でみると、中国がすべての項目(宿泊費・飲食費・交通費・娯楽等サービス費・買い物代)で最も高く、特に買い物代は8,698億円と突出して高くなっています。

また訪日外国人の費目別購入率を見てみると「菓子類(69.5%)」、「化粧品・香水(42.2%)」、「その他食料品・飲料・たばこ(38.9%)」の順で高くなっています。

買い物をする場所としてはコンビニや空港の免税店に続きドラッグストアの順で多くなっており、ウィズコロナ時代においても、衛生面の意識の高まりからドラッグストア業界は強いと考えられます。

インバウンド需要の回復に向けた情報発信のポイント

以下では、インバウンド需要の回復に向け準備しておくべきポイントについて解説します。

1. インバウンド客の訪日旅行時における需要の把握

まずインバウンド客が訪日旅行に何を求めているのか、需要を正しく把握することが重要です。

観光コンテンツをはじめ、ツアー内容などは日本人ウケの良いコンテンツが必ずしも外国人に刺さるとは限りません。

訪日意欲のある外国人の需要を把握して深く理解するためには、観光庁や様々な民間事業者が実施している訪日外国人および在日外国人に向けたアンケート調査や統計調査が参考になります。

2. 国籍や年齢に見合ったコンテンツ・媒体を用意し、発信

ターゲットとする国からの観光客の国・年齢によっては、スマートフォンやPCからSNSを中心として情報を取得する人もいれば、インターネットが普及しておらず、旅行会社のガイドブックを中心として情報を取得する人もいるかもしれません。

SNSでの発信をこまめにするのか、ガイドブックでの発信をするのかなど、ターゲットの状況に応じて適切な発信方法を検討する必要があります。

媒体での発信に関しては、自らSNSを運用して発信する方法や口コミサイトを活用した情報発信など、やり方は多岐にわたります。

ICTによるサービスが当たり前になりつつある昨今、SNSや媒体には多様なものがありますが、広告掲載や情報発信などにあたっては、ターゲットとしたい国籍や年齢に見合った媒体選定が大切となります。

関連記事:インバウンド対策でチェックすべき口コミサイトは?代表的なサイトを紹介

3. リピーター獲得に向けた発信のポイント

内閣府によれば、インバウンド需要が少ない潜在成長圏へ旅行する潜在成長圏旅行者は、SNSやブログを参考にしておらず、観光協会ホームページや旅行会社パンフレット、旅行会社のホームページを参考にする傾向が高いとされています。

SNSやICT端末の発達した時代ではありますが、インバウンド需要の少ない地域に旅行する人に向けインターネットを使用した誘客・PR活動は改善の余地があるでしょう。

また潜在成長圏を訪問した旅行者ほど、訪日旅行へのリピーター意欲があることが分かっています。

日本での活動内容との関係をみると、「日本の酒を飲むこと」、「旅館に宿泊」、「繁華街の街歩き」、「ショッピング」などを行った人ほど再訪日意欲が高くなっています。

そのため都市部を中心としたゴールデンルートのみならず、地方部へ観光するインバウンド客にも注視する必要があるのではないでしょうか。

リピーター獲得に目を向けると、SNSを中心とした発信やブログだけでなく原点に立ち返り、観光協会や旅行会社から発信していくことも重要となります。

インバウンド需要に備えた事例を紹介

以下ではインバウンド需要に備えた取り組みについて、コロナ禍以前、そしてコロナ禍での取り組み事例を紹介します。

農泊 食文化海外発信地域(SAVOR JAPAN)

SAVOR JAPANは、訪日外国人を農山漁村に誘客することを狙いとして農林水産省が創設した取り組みです。

農泊を推進する地域のうち、特に食と食文化を中心にインバウンド客の誘致を図る取り組みを農林水産大臣が認定し、「SAVOR JAPAN」ブランドとして国外に対しPRするものです。

「SAVOR」とは英語で「味わう、楽しむ」という意味があります。

1月14日には「SAVOR JAPAN」の認定証授与式が行われ、青森県の十和田市や岡山県津山市など、新たに6地域が「SAVOR JAPAN」ブランドに追加されました。

関連記事:「食」は旅行の最大の楽しみ→インバウンド地方誘致の起爆剤に活用 | 農水省「SAVOR JAPAN(セーバージャパン)」の取り組みとは

モスバーガーでの多言語翻訳機導入

PCソフトやスマートフォンアプリの開発を行うソースネクスト株式会社は2018年、63言語に対応(実証実験当時)した翻訳機「POCKETALK(ポケトーク)」の実証実験をモスバーガーで実施しました。

外国人利用客へのサービス向上を目指すため、訪日外国人の増加が見込まれる関西東京都内の計8店舗で実証実験を行い、将来的に全国の店舗で本格導入することを検討するものです。

ポケトークは手のひらサイズのコンパクトな通訳機で、お互いに相手の言葉を理解していなくても対話することができます。

スマートフォン上の専用アプリと連携でき、アプリには辞書機能も付いているため、単語の詳しい意味を確認することもできます。

関連記事:AI翻訳機POCKETALK(ポケトーク)とは?4つの特徴と使い方を解説

アフターコロナのインバウンド需要に向けた、効果的な対策を

コロナ禍で原則外国人の入国を認めない日本では、2022年も前年と前々年同様にインバウンド需要が消滅しています。

いっぽう世界に目を向けると、国内の感染症をめぐる規制や、国外からの渡航制限を徐々に緩和しつつある国が数多く見られます。

日本が世界と同様に渡航制限を解除し、外国人が訪日旅行を視野に入れるその時に備え、外国人の需要を熟慮した対策が必要といえます。

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<参照>

国土交通省:公式サイト

総務省:人口推計-2022年(令和4年)1月報 -

内閣府:第2章 第2節 インバウンド需要のすそ野の拡大に向けて

農林水産省:インバウンド需要の回復に備え、新たに6地域を認定

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2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

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【インバウンド情報まとめ 2025年5月後編】2025年の訪日客数「4,500万人」へ、観光庁長官の見解は? ほか


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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