北海道弟子屈町(てしかがちょう)は、阿寒摩周国立公園内にある「川湯温泉街」の再整備計画を発表しました。川湯温泉街は近隣に摩周湖や屈斜路湖(くっしゃろこ)が位置するなど、大自然に囲まれた温泉街として知られています。
温泉旅館施設を運営する星野リゾートも再整備に関するマスタープランの策定に参画し、2026年に開業する計画です。
本記事では、阿寒摩周国立公園「川湯温泉街」の再整備計画について解説します。
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阿寒摩周国立公園の川湯温泉街、20年間の再整備計画をとりまとめ
環境省が推進する国立公園満喫プロジェクトに阿寒摩周国立公園が選定されました。
国立公園満喫プロジェクトとは、国立公園を世界に通用する「ナショナルパーク」としてブランド化することを目的とした、「明日の日本を支える観光ビジョン」に基づく施策を指します。全34か所ある国立公園を拠点として日本独自の文化や自然を体感できるよう整備し、高付加価値な宿泊体験を提供することを目的としています。
北海道弟子屈町(てしかがちょう)は、阿寒摩周国立公園の魅力を世界に発信していくための新たな事業を推進するため、公園内に位置する「川湯温泉街」の再整備に関する基本的な方針について、計画期間を20年とするマスタープランを取りまとめました。
マスタープランでは、川湯温泉が持つ本来の魅力として、「火山・森・湖」「温泉の川」「稀な泉質」「道東の中心」の4つをピックアップ。「湯の川がつむぐカルデラの森の温泉街」を再整備のメインコンセプトに据え、何度も訪れたくなる温泉街にするために、さまざまな体験機能を整備することを発表しています。

なかでも注目すべきは「温泉の川」です。川湯温泉の最大の特長である「温泉の川」をまちの中心に作り出すことで、川から上がる湯煙が街全体を魅力的に包みます。また、宿泊客や日帰り客の散策スポットとして、「温泉の川」の両岸にテラスを設置するとしています。

「温泉の川」沿いには小区画屋台を点在させ、湯けむりと自然の景観が融合した幻想的な屋台村(通称、川湯横丁)が生み出される予定です。町民や観光客の交流の場を設けることで、旅の楽しみと滞在価値を向上させる目的があります。

加えて、温泉宿以外の目的で訪れる観光客を増やすため、キャンプ場も整備する予定です。近隣に位置する屈斜路湖(くっしゃろこ)と連動したキャンプ利用客の取り込みを実施し、キャンプついでに川湯温泉へ立ち寄ってもらうなど、新たな集客につなげるとしています。
ほかにも、 ロングトレイルセンターやアウトドアショップなどが一体となったアウトドア拠点を設ける予定。コンシェルジュ機能も有していて、弟子屈・川湯・屈斜路湖エリアのみならず、「ひがし北海道」を知って楽しんでもらう工夫として、現地の情報のみならず、ひがし北海道全体のアウトドア情報の紹介も行うとしています。

川湯で体感する“本物の森”をコンセプトにしたアクティビティゾーンも生まれる予定。国有林をなるべく伐採せず、専門家の監修のもと焚き火バーなどが設けられるとしています。開発は3つのフェーズに分けられて進められる予定で、現在は開発のシミュレーションを実施している段階です。
星野リゾートも参画、2026年に温泉旅館を開業へ
温泉の川の周囲には横丁のほかにホテルも設置される予定で、星野リゾートが温泉旅館ブランド「界 テシカガ」を開業することを発表しました。2026年の開業を見据えており、北海道では「界 ポロト」に続き、2軒目の界ブランドとなります。

温泉施設の名称に「テシカガ」とカタカナを取り入れた理由について、はじめてこの地名を知る人には読みやすさを、よく知る人には斬新なインパクトを与える目的があると説明しました。
阿寒摩周国立公園が広がる弟子屈町は観光資源の宝庫であるとし、界ブランドが目指す「ご当地の魅力に出会える温泉旅館」の核になると確信したとのコメントも発表されています。
まちづくりの一環として進められている「界 テシカガ」の開業。温泉旅館への滞在者が、弟子屈エリア全体の魅力をそれぞれのシーンで楽しみ、より深く理解できる場となることを目指しています。
国立公園満喫プロジェクトによって阿寒摩周国立公園が生まれ変わることで、インバウンド市場にどのようなインパクトを与えるのでしょうか。今後の動向に注目が集まります。
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<参照>
北海道弟子屈町:阿寒摩周国立公園弟子屈町川湯温泉街まちづくりマスタープランを策定
星野リゾートプレスリリース:【界】北海道・弟子屈(てしかが)町 川湯温泉の施設名称は「界 テシカガ」に決定~大自然の魅力を感じる温泉旅館~
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
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この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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